「涼平! 涼平!」

もう、何も見えない。

姉貴の嗚咽混じりの声が聞こえてくる。


そういえば、梨歩へのプレゼント。
姉貴は届けてくれただろうか。

せめて最後くらいは、直接会って渡したかった。
こんな回りくどいことまでしたくなかった。

それでも、梨歩には生きていてほしい。

俺のせいで、心臓に負担をかけたくない。


本当はどうすればよかったのかなんて、わからない。

(はた)から見れば、俺のやってることはただの独りよがりだろう。

それでも。


それでも俺は。

梨歩を死なせたくなかった。


梨歩には、生きていてほしい。


たとえ、この先俺がいなくなっても。