ヤバい。気持ち悪い。

体中に走る激痛……。

もう少しで完成する、梨歩へのプレゼント。


春にきらめく彼女の横顔。

うららかな春の訪れを予感させる、薄桃色の空に舞う無数の桜の花弁。


初めて梨歩に出逢った日のことを思い出しながら、俺は全身に迸る電流のような衝動と痛みの間で筆を踊らせた。


この絵だけは、完成させたい。

これが俺の描く最後の一枚になるのなら。


生涯に一度の、渾身の一枚として。


梨歩の記憶のほんの一部でもいい。


俺が誰よりも梨歩を想っていた瞬間があったことを、忘れないでいてほしい。