プレゼント、よし。
 魔法の空飛ぶそり、よし。
 トナカイたち、よし。
 準備万端!
 少し不安もあるけど…。
 頑張るしか、ないよね!

「行ってらっしゃぁーい!」
「行ってきまぁーっす!」
 みんなは笑顔で、私を見送ってくれた。

 私は勢いよく鞭を振るった。
 トナカイが夜の空を飛び立つ。
 夜空の旅は、まるでフッワフワの綿菓子を食べているかのよう。
 夢のような時間は、あっという間。
 よし、頑張るぞ!
 私はプレゼントの入った袋を肩に担いで、そりを降りた。
 そりは、魔法でポンっと消える。

 まず行ったのは、小さな女の子が眠る家。
 私は女の子の枕元に、そっとクマのぬいぐるみを置いた。

 次に来たのは、小学生の男の子の家。
 私はリビングに置いてあったツリーの下に、ゲームカセットを置いた。

 次は高校生の女の子の家。
 その子はなんと机に突っ伏して寝ていた。
 顔の下には、参考書とノート。
 あらまあ、受験勉強中だったみたい。
 私は、その子が好きなアニメのグッズを机に置いておいた。

 それからも私は、いろいろな家にプレゼントを置いて行った。

 そしてようやく、最後の家。
 そこには、中学生の男の子がいた。
 寝ているけど、なんだか悲しそうな顔をしている。
 どうして悲しいんだろう。
 私はその子のプレゼントを取り出そうとして、固まった。
 …ない。
 この子のプレゼントが、見当たらない!