1、この恋を永遠にしたかった。
★悪かったを、まだ実感できないよ。
テーブルのコーヒー2つを挟んで、
君との沈黙は今までの思い出の重さみたいだね。
私は君の心変わりをまだ素直に受け入れられず、
ソファにもたれかかり、
雪の降る街を眺めていた。
「悪かった」って君は静かに謝った。
君に謝られても、
まだ好きな気持ちは変わりそうにないから、
コーヒーを一口飲んで、
とりあえず今は、
苦味をしっかり感じることにした。
★無理させてごめんねって言いたかった。
優しすぎる君は、いつも私のことを考えていてくれてたと思う。
だけど、私は君に一方的に甘えすぎていたのかもしれない。
3年、君と暮らしたこの部屋に、
君がいない事実を受け入れることは、
まだ、出来ていないよ。
「いいよ、無理しないで」
そう言った君を無理させていたのは、私だった。
★重ねた君との深さと傷はきっと、君と同じだと思う。
同じフラペチーノを頼んでくれた君は優しいと思った。
スタバで話を始めると、その優しさは本物だった。
君と出会った日の夜は、
本当に君と、
あらゆることについて親和性を感じ、
簡単に夜明けを迎えた。
無限に続く話の中で、
「こんなに合う人と会ったの初めて」
と君が別れ際にポツリと言ったことが頭の中に残っている。
何年も重ねて、
悲しみと喜びを重ねて、
すれ違う言葉を重ねて、
最初の親和性はいつの間にか消えてしまった。
本当に君と最後の日になると思う今、
スタバで向かいあって、
君と同じフラペチーノを飲んでいる。
今、別れることにしたけど、
楽しかった思い出は消えないよ。
だから、今、こう言うことにした。
「いままで、ありがとう」
そう言い終わると、君は寂しく微笑んでくれた。
★君は別な人を選んだ。
すれ違った言葉はもう戻すことはできないね。
ありのままの君は冷たくて、
私は君に甘えすぎていたのかなって後悔した。
それは君と私との共通認識になっていて、
時が戻ればいいなんて言いたくないくらい、
君の「中途半端で悪かった」って言われたことが
私の柔らかすぎる赤いハートを傷つけた。
今すぐに謝って、なんて、
言う気も出ないほど、
大好きだった君は最低になっていく。
もうひとりの人にも、
私にくれた優しい言葉を同じようにあげていたのかな。
君は君の道を進んだらいいのかもしれないけど、
勝手に私のことを置いていかないで欲しかったな。
その気持ちすら君に届かなくなってるのは、
単純にキツいよ。
ただ、君が私によく言ってくれた
「ありのままな君が好きだよ」って、
言ってくれたことに安心しきっていたんだ。
★尽きない輝きは永遠だ。
尽きない輝きを保存したくて、
あの夏、キラキラの海で
ふたりで自撮りした画像は、
今、見返しても最強の夏に思えた。
ただ、君ともう、別れてしまったんだ。
帰ってきたあと、
テーブルに置いたままの君からもらった、
イエローゴールドのネックレスが
午後の光で輝いているのが寂しいよ。
★オレンジ
誰もいない美術室の中で、
ふたりきりで話した日々は、
私の青春のすべてだった。
今日みたいに駅からぶらぶらと歩きながら、
冬の弱々しい夕日を見ると
たまにそのときのことを思い出すんだ。
射し込む夕日で、
弱いオレンジにライトアップされた君は、
そのまま溶けてしまいそうなくらい、
切なさをしっかり放っていた。
それくらい、君の印象が残ったままだから、
きっと、数年経った今でも君は、
最高にどこかで輝いてると思っている。
★一瞬が長すぎて、つらい。
12月の闇の中で、赤が点滅している。
私と君は、今、踏切の前でふたりきりで
電車が通り過ぎるのを待っていて、
君との冬の帰り道は世界の中心だって信じることができるくらい、
私はドキドキしていた。
もしかしたら、
最後になるかもしれない一瞬だと思うとつらい。
だけど、勇気を出したら、
週末、君と楽しめるような気がしたから、
君に聞いてみることにした。
「もし、週末も会いたいって言ったら、どうする?」
「――ごめん、今は上手く返せない」
そう言われてすぐ、
見慣れた電車が私と君の前で風を切った。
――聞いた噂は本当だったんだ。
風で弱く揺れて乱れた髪を口元から戻しながら、
君に憧れたまま、私の恋は消えるんだと理解した。
★たまに自分の気持ちを隠せないときがあるよ。
大好きだった歌を口ずさんでいることに気が付き、
そんな私自身が嫌になった。
ひとり分のTシャツをハンガーにかけて、
私はため息をついた。
どうして、君が好きだった歌を未だに歌っちゃうんだろう。
もう、君との日々を
思い出そうとしないように努力してたのに。
★スノードームに恋を保存したかった。
スノードームの吹雪の中、
二人きりで針葉樹の前で、
ただ、抱きあうような、
最高の恋だと思っていた。
そんな君との当たり前も
簡単に消えることがわかったから、
私も少しは大人になったのかな。
★君と初めて手を繋いだ瞬間は、忘れない気がする。
去年の冬、
君と付き合い始めて、
ふたりでお互いの心の痛みを分かちあった。
だから、帰り道、初めて手を繋いでいたのは、
ものすごく自然なことだった。
夏頃から急にそれが上手くいかなくなり、
衝動とイライラでお互いにぶつかりあい、
ひどいことを言ったり、
悲しいことを言ったりした。
そして、今年の冬になり、
私と君はY字の交差点で、
それぞれの道を歩き出し、
お互いに別れを告げた。
ただ、去年の冬、
君と初めて手を繋いだ瞬間は、
永遠に忘れない気がするよ。
2、鮮やかな君は、頑張りすぎる癖がある。
★別れは一瞬でも、君の言葉は永遠だよ。
君と積み重ねてきた瞬間が、
私の中で弾けて、
痛みが胸に広がり終わったあと、
恋が終わる鈍い音がした。
君と過ごした中で、
たくさんの優しい言葉を与えてくれて、
嬉しかったよ、ありがとう。
★少年少女だった僕たちは、大人に近づいている。
コーヒーを飲む数だけ、
君と僕はお互いのことを知り、
大人に近づいていくような気がするね。
少年少女のままだったら、
守れた純粋な幸せから、
離れていくのは寂しいけど、
落ち着いた今の君のほうが好きだよ。
★鮮やかな君は、頑張りすぎる癖がある。
秋の深いオレンジの中で、
「頑張る理由なんてないことは知っているよ」と、
君は静かにそう言ったから、
きっと慰めてほしいんだと思い、
君はもっと理由をつけて休むべきだと伝えた。
★君を失って、初めて君の大きさに気がつく。
君が隣りにいない所為で、
もう、ひとりだけで頑張れそうもないよ。
君の存在を失いたくなかった。
★黄色いうちにささやかな恋を叶えたい。
秋色の木の下のバス停でお互いに黙ったままで、
私の緊張も溶けないまま、
冷たい風が通りすぎる無言の魔法に呪われる。
もっと、君のことが知りたいのに、
隣の君は近くて遠い。
★君はソーダ水より透明だ。
周りのことを気にしすぎて、
疲れ切った君は単純に素直なんだよ。
君の疲れと嫌なことが消える願いをかけながら、
純粋すぎる君の手元にソーダ水をそっと置いた。
★鮮やかさが消える前に、心の傷を消したい。
電球色のカフェでコーヒーを飲みながら、
ぐちゃぐちゃな気持ちをノートに書ききった。
カウンターの窓越しから見える
街路樹のイチョウは街灯の鋭い白に照らされ、
黄色が輝いているけど、
そんな鮮やかさも感じられないくらい、
まだ、心は傷ついたままだよ。
★恋をもっと夢中にさせて。
初雪に夢中な君と一緒に、
ずっと、君と青い夢を見続けていたい。
★今日は特別に泣いてもいいよ。
頑張りが報われなくて、
悔しい渦に君の心の中が支配されているんだよね。
午後の光の下で飲むカフェオレの甘さだけじゃ、
君はきっと、癒やされないだろうから、
今日は特別に泣いてもいいよ。
★雪と一緒に君の悲しみを空に戻したい。
初雪が降る夜、
君と手を繋いで静まり返った世界と、
冷たい空気をゆっくり切り裂いていく。
泣き続けた君の顔には、
理不尽に負けて溢れた悔しさの涙が
まだ残っているから、
君の悲しみを粉雪と一緒に空に戻したい。
★優しい君の所為で、明日もきっと上手くいく気がした。
叫びたいくらい、
今日もなにもかも上手くいかないけど、
偶然、帰りが一緒になった君が駅のホームで、
新調したマフラーのこと褒めてくれたから、
明日も頑張れる気がした。
★君の存在だけで癒やされる。
「疲れ切った今日を癒やしてあげる」と言って、
夜のスタバに連れ出した君の存在だけで、
甘さがなくたって、
今日の疲れなんて忘れてしまいそうだよ。
★十分、知っているよ。
君が頑張ってることは知っているよ。
だから、これ以上、頑張る必要なんてないし、
君は君らしく過ごしているだけで十分だよ。
★そんな君のことが好きだよ。
君の悲しみに触れちゃった所為で、
君との恋が青色に染まってしまったんだ。
だけどね、
君が心の奥にしまっていた、
大事なことに触れることができて嬉しいから、
君のすべてを受け止めたいと強く思った。
★しっかり、君の話を聞けばよかった。
忘れていた君との記憶で胸が痛いよ。
あのとき、君に寄り添うような言葉を
もっとあげればよかった。
後悔するくらいなら、
もっと君の気持ちを聞けばよかったのにね。
★素直に謝っても取り返せるか不安だけど、ただ、君にごめんねって伝えたい。
軽はずみで言ってしまったことを、
後悔しても君を傷つけた事実は変わらないよね。
謝ろうと言葉を何度も最適な言葉を考えて、
メッセージを打ち直しては消してを何度も繰り返し、
もう、耐えきれなくて通話ボタンをタップした。
★透明なままで十分だ。
君の泣き顔なんて見たくないよ。
何色かに無理矢理、染めようとする人のことなんて、
無視して、君には透明なままでいてほしいんだ。
だから、君はそのままで十分輝いているよ。
★スノードームの中で、ふたりきりになったんだ。
ふたりで歩く砂浜は冷たい潮風が吹いていて、
夕日で白く反射する海の所為か、
ふたりでスノードームの中に閉じ込められたみたいだね。
「もっと簡単に人生、うまくいけばいいのに」
君が静かにそう言ったから、
水の中でゆっくり降り積もる雪みたいに
君の困難が本当に、
うまくいけばいいなって強く思った。
★君の純度を僕は知っている。
冬が始まった朝の凛とした空気くらい、
君の素直さの純度が高いのを
僕は知っているよ。
★最近、忙しすぎたね。
インストールするように、
君の気持ちを深く知り尽くしたいけど、
お互いにすれ違ったまま、1ヶ月近く会えていない。
今、待ち合わせの10分前で、
忙しそうな人混みの中で、
君の姿を見つけて冷静にドキドキし始めた。
★この夏の君も美しかった。
この夏、ふたりで見たひまわり畑は、
ずっと前に枯れて、土に還ったけど、
夕闇の中で寂しそうだった
君の表情は冬になっても忘れないよ。
★ただ、君を癒したいだけだよ。
頑張りすぎな君を癒やしたくて、
白いLEDの街灯が照らす路地を歩きながら、
君への言葉を考えたけど思いつかないんだ。
軽い言葉じゃ、癒せないのはわかっているから、
冷たい闇の中で青く光るローソンで
ハーゲンダッツを2つ買うことにした。
★いつも振り回しちゃうのに、君は私のことを許してくれる。
もっとほしいことや、
もっとほしいものはたくさんあるけど、
仮に全部、手に入れたとしても、
私自身が満たされないのは、
自分でも十分わかってるんだよ。
だから、そんな我慢をする私を褒めてほしい。
そんなわがままを
きっと笑いながら許してくれる君は優しいね。
★すべての記憶を消して、あなたと出会いたかった。
季節は冬に進むにつれて、
あなたとの関係性は深まるばかりだけど、
手を繋ぐことは変わらないよね。
公園の中はすっかり枯れ葉に覆われて、
踏むたびに響く乾いた音が切ないな。
あなたとの時間は先週の初雪みたいに
清らかに解けていくのはなぜかしら。
そんなこと、聞く必要なんてないほどね、
暖かくキラキラした日々を感じ続けているよ。
すべての痛かった記憶を消して去って、
今の瞬間から始めたかったな。
お互いに傷を舐めあうことはきっとしないけど、
私はただ、
今のあなたが好きだよ。
★にぎやかな中でも、世界はふたりきりみたい。
赤と緑と電球色でクリスマスになった世界で、
凛とした空気の中で、
ホットワイン飲むのは最高だね。
君の自由と、私の自由を混ぜて、
雪で白くて静かな世界をカラフルにしたい。
★暗い顔も素敵だけど、ただ、笑っていてほしい。
悩みの中で暗い顔をしている君の手元に、
ココアが入っているマグカップを置いた。
君が弱く微笑んだから安心したけど、
もう、頑張らなくていいよって付け加えた。
★君の素直さを守りたい。
天使みたいに君は純粋すぎて、
素直すぎて、傷つきやすいから、
ずっと、そばにいてあげたい。
★ねえ、初恋は永遠だよ。
ずっと、なくしていた
あなたからもらった赤いペンを見つけて、
ものすごく懐かしくて嬉しくなったんだ。
だから、思わず君への想いを手帳に書いたよ。
初めて人のことを好きになった、
あなたにあてた儚い恋文は、
二度と誰にも読まれることはないけど、
あなたへの気持ちはきっと変わらないよ。
★お互いに出来すぎてるね。
寂しさに負けそうだから、
君にメッセージを送ろうとしたら、
ちょうど、君からメッセージ届いた。
君も寂しかったんだと嬉しくて笑っちゃったよ。
求めてくれてありがとう。
★考えが甘すぎて、君に負担をかけてしまった。
優しい君に甘えすぎて、
君を怒らせてしまったんだね。
君のこと、わかってたつもりなのに
わがままばかりで、
理解できなくてごめんね。
★甘さで完全体になりたい。
ココアのホイップクリームを掬い、
口に含むと、
自分が完全体になったように思えた。
まだ、この切ない甘みだけじゃ、
自己肯定感は完全回復なんてしないけど、
今はただ、その甘さを感じていたい。
★雪が降りそうな朝、君のことを、ふと思い出した。
凛とした朝の冷たい空気を吸い込むと、
急に忘れかけていた切なさを思い出した。
黒いマフラーのフリンジを揺らして君が微笑み、
距離が縮まったあの瞬間が、鮮明に蘇った。
だけど、もう、その日から
あまりにも離れたところまで、
来てしまったのはわかっているんだ。
だけど、今でも、君のこと忘れられないや。
★ドキドキは果てない。
姿見に新しいコートを着た自分が映っている。
君のために買ったんだっていうのは、
重いと思われるから言うことはないけど、
褒めてくれたら嬉しさが爆発すると思うんだ。
褒めてくれる君を想像して、
私はもう、ドキドキし始めた。
★君が選んでくれた手帳がもうすぐ終わる。
夜のスタバで君が選んでくれた
お気に入りの赤い手帳を開いた。
離れ離れになってから、
1ヶ月が経ったんだと思うと、
あらためて胸の奥を締め付けられた。
季節が変わった今でも、
自分は全く変わる気配もないし、
コーヒーを飲んでも、
未だに君のことが忘れられないや。
★たとえ、ペンギンが空飛ぶ世界でも、日常は続く。
いつもの場所で赤信号につかまった。
凛として澄み切った空気は最高に気持ちよくて、
空は青さで昨日のことを思い出し、
急に切なくなり、泣きそうになった。
空飛ぶペンギンの群れが北に向かって、
飛んでいくのが目に入る。
昨日言われたつらい言葉なんか忘れて、
今日も頑張ればいいやって、
思っているうちに信号が青になった。
★君の心を縫いたい。
ボロボロになった君の心を縫うよ。
ソーダ水でも飲んで、ゆっくり休めばいい。
そしたら、君の輝きはまた復活するよ。
★もっと自分を大切にしてほしい。
君は簡単に自分を犠牲にして、
人に合わせることが得意なのは知っているよ。
だから、君が限界を迎える前に、
深呼吸をして、
しっかり立ち止まってほしい。
★こうやって、親密さを紡ぎたい。
声を出して君と笑い合うだけで、
なんで、こんなに親密で切なくなるんだろう。
★こう見えても、それなりに、こなしているよ。
器用にそれなりにやり過ごし、
疲れ切って今日も一日を終えた。
そんな中、帰ってきて、
白い蛍光灯の下、キッチンに立ち、
トマトとレタスのサラダを作り、
身体にそれなりに気を使っている
自分はめっちゃ偉い。
★疲れているのは知っている。
本心を隠して、
微笑むことが得意な君が疲れているのは、
もう、当たり前のように知っていることだよ。
だから、シンプルに君ことを尊重して、
君の疲れを癒やす魔法をかけてあげる。
★寒いけど、君の話をもう少し聞きたい。
白い息を隠すように、
君のマフラーのフリンジが風で揺れた。
「話、聞いてくれてありがとう」
そう言った君を見ると、
君は僕の視線に気が付き、優しく微笑んだ。
もう少し、話を続けたいから、
寒いけど、このまま歩こう。
★君が中心だよ。
君が世界の中心だってことを
証明したいくらい、
このままずっと君の話を聞いていたい。
★まだ今日の言葉が頭の中に残ってる。
ローソンでカフェオレを買ったあと、
夜の公園まで歩き、そしてベンチに座った。
今日、言われた言葉が頭の中で
また、ぐるぐるし始めたから、
カフェオレを一口飲んで、
甘さをしっかり感じることにした。
★倦怠期を乗り越えたい。
すれ違う日々が続き、
お互いにギクシャクしているような気がする。
君の機嫌を直すきっかけを作るために、
君の好きな店のシュークリームを買ったよ。
甘さと引き換えに倦怠期を乗り越えられたら、
きっと、ふたりはより強くなれる気がするよ。
★今は黒い気持ちを出してほしい。
虚ろな表情は君に似合わないけど、
今だけはそのままでもいいよ。
君はまわりに気を遣いすぎて、
疲れ切ってるんだから。
そんな君が再起動しやすいように、
頑張りすぎた君の頭をそっと撫でた。
★雪が降ると、あの日、君が言ったことを思い出してしまう。
忘れていたはずの君との切ない記憶が、
雪が降り続いている街を眺めて蘇ったんだよ。
カフェのカウンター席から、
窓越しに見える冷たくなったビル街は、
人出で騒がしくて、ひとりの寂しさが積もる。
USBをコンセントに挿しっぱなしのiPhoneを手に取り、
君が言ってくれた、
「いつまでも君のこと、忘れない」を、
メモのなかで悲しい文字記録にした。
★青白い世界で手を握ったままでいようね。
LEDで青白いクリスマスツリーを眺め、
君と冷えた夜を共有できるのが嬉しいよ。
街は今日も雪で凍りついているけど、
切なさを凝縮した白色に染まっているね。
手を握ったまま、
来年もふたりで青い思い出をたくさん作ろう。
★最高に寒くて、暖かいね。
クリスマス色したイルミネーションの前で、
君と寒さを共有しながら、
今の幸せと悲しみを保存するみたいに、
iPhoneで自撮りして、
ふたりきりの世界をデータに残すのが、
最高のプレゼントに感じるよ。
【初出】
1章
完全書き下ろし
2章
蜃気羊 X(@shinkiyoh)
https://twitter.com/shinkiyoh
2023.11.3~12.21
★悪かったを、まだ実感できないよ。
テーブルのコーヒー2つを挟んで、
君との沈黙は今までの思い出の重さみたいだね。
私は君の心変わりをまだ素直に受け入れられず、
ソファにもたれかかり、
雪の降る街を眺めていた。
「悪かった」って君は静かに謝った。
君に謝られても、
まだ好きな気持ちは変わりそうにないから、
コーヒーを一口飲んで、
とりあえず今は、
苦味をしっかり感じることにした。
★無理させてごめんねって言いたかった。
優しすぎる君は、いつも私のことを考えていてくれてたと思う。
だけど、私は君に一方的に甘えすぎていたのかもしれない。
3年、君と暮らしたこの部屋に、
君がいない事実を受け入れることは、
まだ、出来ていないよ。
「いいよ、無理しないで」
そう言った君を無理させていたのは、私だった。
★重ねた君との深さと傷はきっと、君と同じだと思う。
同じフラペチーノを頼んでくれた君は優しいと思った。
スタバで話を始めると、その優しさは本物だった。
君と出会った日の夜は、
本当に君と、
あらゆることについて親和性を感じ、
簡単に夜明けを迎えた。
無限に続く話の中で、
「こんなに合う人と会ったの初めて」
と君が別れ際にポツリと言ったことが頭の中に残っている。
何年も重ねて、
悲しみと喜びを重ねて、
すれ違う言葉を重ねて、
最初の親和性はいつの間にか消えてしまった。
本当に君と最後の日になると思う今、
スタバで向かいあって、
君と同じフラペチーノを飲んでいる。
今、別れることにしたけど、
楽しかった思い出は消えないよ。
だから、今、こう言うことにした。
「いままで、ありがとう」
そう言い終わると、君は寂しく微笑んでくれた。
★君は別な人を選んだ。
すれ違った言葉はもう戻すことはできないね。
ありのままの君は冷たくて、
私は君に甘えすぎていたのかなって後悔した。
それは君と私との共通認識になっていて、
時が戻ればいいなんて言いたくないくらい、
君の「中途半端で悪かった」って言われたことが
私の柔らかすぎる赤いハートを傷つけた。
今すぐに謝って、なんて、
言う気も出ないほど、
大好きだった君は最低になっていく。
もうひとりの人にも、
私にくれた優しい言葉を同じようにあげていたのかな。
君は君の道を進んだらいいのかもしれないけど、
勝手に私のことを置いていかないで欲しかったな。
その気持ちすら君に届かなくなってるのは、
単純にキツいよ。
ただ、君が私によく言ってくれた
「ありのままな君が好きだよ」って、
言ってくれたことに安心しきっていたんだ。
★尽きない輝きは永遠だ。
尽きない輝きを保存したくて、
あの夏、キラキラの海で
ふたりで自撮りした画像は、
今、見返しても最強の夏に思えた。
ただ、君ともう、別れてしまったんだ。
帰ってきたあと、
テーブルに置いたままの君からもらった、
イエローゴールドのネックレスが
午後の光で輝いているのが寂しいよ。
★オレンジ
誰もいない美術室の中で、
ふたりきりで話した日々は、
私の青春のすべてだった。
今日みたいに駅からぶらぶらと歩きながら、
冬の弱々しい夕日を見ると
たまにそのときのことを思い出すんだ。
射し込む夕日で、
弱いオレンジにライトアップされた君は、
そのまま溶けてしまいそうなくらい、
切なさをしっかり放っていた。
それくらい、君の印象が残ったままだから、
きっと、数年経った今でも君は、
最高にどこかで輝いてると思っている。
★一瞬が長すぎて、つらい。
12月の闇の中で、赤が点滅している。
私と君は、今、踏切の前でふたりきりで
電車が通り過ぎるのを待っていて、
君との冬の帰り道は世界の中心だって信じることができるくらい、
私はドキドキしていた。
もしかしたら、
最後になるかもしれない一瞬だと思うとつらい。
だけど、勇気を出したら、
週末、君と楽しめるような気がしたから、
君に聞いてみることにした。
「もし、週末も会いたいって言ったら、どうする?」
「――ごめん、今は上手く返せない」
そう言われてすぐ、
見慣れた電車が私と君の前で風を切った。
――聞いた噂は本当だったんだ。
風で弱く揺れて乱れた髪を口元から戻しながら、
君に憧れたまま、私の恋は消えるんだと理解した。
★たまに自分の気持ちを隠せないときがあるよ。
大好きだった歌を口ずさんでいることに気が付き、
そんな私自身が嫌になった。
ひとり分のTシャツをハンガーにかけて、
私はため息をついた。
どうして、君が好きだった歌を未だに歌っちゃうんだろう。
もう、君との日々を
思い出そうとしないように努力してたのに。
★スノードームに恋を保存したかった。
スノードームの吹雪の中、
二人きりで針葉樹の前で、
ただ、抱きあうような、
最高の恋だと思っていた。
そんな君との当たり前も
簡単に消えることがわかったから、
私も少しは大人になったのかな。
★君と初めて手を繋いだ瞬間は、忘れない気がする。
去年の冬、
君と付き合い始めて、
ふたりでお互いの心の痛みを分かちあった。
だから、帰り道、初めて手を繋いでいたのは、
ものすごく自然なことだった。
夏頃から急にそれが上手くいかなくなり、
衝動とイライラでお互いにぶつかりあい、
ひどいことを言ったり、
悲しいことを言ったりした。
そして、今年の冬になり、
私と君はY字の交差点で、
それぞれの道を歩き出し、
お互いに別れを告げた。
ただ、去年の冬、
君と初めて手を繋いだ瞬間は、
永遠に忘れない気がするよ。
2、鮮やかな君は、頑張りすぎる癖がある。
★別れは一瞬でも、君の言葉は永遠だよ。
君と積み重ねてきた瞬間が、
私の中で弾けて、
痛みが胸に広がり終わったあと、
恋が終わる鈍い音がした。
君と過ごした中で、
たくさんの優しい言葉を与えてくれて、
嬉しかったよ、ありがとう。
★少年少女だった僕たちは、大人に近づいている。
コーヒーを飲む数だけ、
君と僕はお互いのことを知り、
大人に近づいていくような気がするね。
少年少女のままだったら、
守れた純粋な幸せから、
離れていくのは寂しいけど、
落ち着いた今の君のほうが好きだよ。
★鮮やかな君は、頑張りすぎる癖がある。
秋の深いオレンジの中で、
「頑張る理由なんてないことは知っているよ」と、
君は静かにそう言ったから、
きっと慰めてほしいんだと思い、
君はもっと理由をつけて休むべきだと伝えた。
★君を失って、初めて君の大きさに気がつく。
君が隣りにいない所為で、
もう、ひとりだけで頑張れそうもないよ。
君の存在を失いたくなかった。
★黄色いうちにささやかな恋を叶えたい。
秋色の木の下のバス停でお互いに黙ったままで、
私の緊張も溶けないまま、
冷たい風が通りすぎる無言の魔法に呪われる。
もっと、君のことが知りたいのに、
隣の君は近くて遠い。
★君はソーダ水より透明だ。
周りのことを気にしすぎて、
疲れ切った君は単純に素直なんだよ。
君の疲れと嫌なことが消える願いをかけながら、
純粋すぎる君の手元にソーダ水をそっと置いた。
★鮮やかさが消える前に、心の傷を消したい。
電球色のカフェでコーヒーを飲みながら、
ぐちゃぐちゃな気持ちをノートに書ききった。
カウンターの窓越しから見える
街路樹のイチョウは街灯の鋭い白に照らされ、
黄色が輝いているけど、
そんな鮮やかさも感じられないくらい、
まだ、心は傷ついたままだよ。
★恋をもっと夢中にさせて。
初雪に夢中な君と一緒に、
ずっと、君と青い夢を見続けていたい。
★今日は特別に泣いてもいいよ。
頑張りが報われなくて、
悔しい渦に君の心の中が支配されているんだよね。
午後の光の下で飲むカフェオレの甘さだけじゃ、
君はきっと、癒やされないだろうから、
今日は特別に泣いてもいいよ。
★雪と一緒に君の悲しみを空に戻したい。
初雪が降る夜、
君と手を繋いで静まり返った世界と、
冷たい空気をゆっくり切り裂いていく。
泣き続けた君の顔には、
理不尽に負けて溢れた悔しさの涙が
まだ残っているから、
君の悲しみを粉雪と一緒に空に戻したい。
★優しい君の所為で、明日もきっと上手くいく気がした。
叫びたいくらい、
今日もなにもかも上手くいかないけど、
偶然、帰りが一緒になった君が駅のホームで、
新調したマフラーのこと褒めてくれたから、
明日も頑張れる気がした。
★君の存在だけで癒やされる。
「疲れ切った今日を癒やしてあげる」と言って、
夜のスタバに連れ出した君の存在だけで、
甘さがなくたって、
今日の疲れなんて忘れてしまいそうだよ。
★十分、知っているよ。
君が頑張ってることは知っているよ。
だから、これ以上、頑張る必要なんてないし、
君は君らしく過ごしているだけで十分だよ。
★そんな君のことが好きだよ。
君の悲しみに触れちゃった所為で、
君との恋が青色に染まってしまったんだ。
だけどね、
君が心の奥にしまっていた、
大事なことに触れることができて嬉しいから、
君のすべてを受け止めたいと強く思った。
★しっかり、君の話を聞けばよかった。
忘れていた君との記憶で胸が痛いよ。
あのとき、君に寄り添うような言葉を
もっとあげればよかった。
後悔するくらいなら、
もっと君の気持ちを聞けばよかったのにね。
★素直に謝っても取り返せるか不安だけど、ただ、君にごめんねって伝えたい。
軽はずみで言ってしまったことを、
後悔しても君を傷つけた事実は変わらないよね。
謝ろうと言葉を何度も最適な言葉を考えて、
メッセージを打ち直しては消してを何度も繰り返し、
もう、耐えきれなくて通話ボタンをタップした。
★透明なままで十分だ。
君の泣き顔なんて見たくないよ。
何色かに無理矢理、染めようとする人のことなんて、
無視して、君には透明なままでいてほしいんだ。
だから、君はそのままで十分輝いているよ。
★スノードームの中で、ふたりきりになったんだ。
ふたりで歩く砂浜は冷たい潮風が吹いていて、
夕日で白く反射する海の所為か、
ふたりでスノードームの中に閉じ込められたみたいだね。
「もっと簡単に人生、うまくいけばいいのに」
君が静かにそう言ったから、
水の中でゆっくり降り積もる雪みたいに
君の困難が本当に、
うまくいけばいいなって強く思った。
★君の純度を僕は知っている。
冬が始まった朝の凛とした空気くらい、
君の素直さの純度が高いのを
僕は知っているよ。
★最近、忙しすぎたね。
インストールするように、
君の気持ちを深く知り尽くしたいけど、
お互いにすれ違ったまま、1ヶ月近く会えていない。
今、待ち合わせの10分前で、
忙しそうな人混みの中で、
君の姿を見つけて冷静にドキドキし始めた。
★この夏の君も美しかった。
この夏、ふたりで見たひまわり畑は、
ずっと前に枯れて、土に還ったけど、
夕闇の中で寂しそうだった
君の表情は冬になっても忘れないよ。
★ただ、君を癒したいだけだよ。
頑張りすぎな君を癒やしたくて、
白いLEDの街灯が照らす路地を歩きながら、
君への言葉を考えたけど思いつかないんだ。
軽い言葉じゃ、癒せないのはわかっているから、
冷たい闇の中で青く光るローソンで
ハーゲンダッツを2つ買うことにした。
★いつも振り回しちゃうのに、君は私のことを許してくれる。
もっとほしいことや、
もっとほしいものはたくさんあるけど、
仮に全部、手に入れたとしても、
私自身が満たされないのは、
自分でも十分わかってるんだよ。
だから、そんな我慢をする私を褒めてほしい。
そんなわがままを
きっと笑いながら許してくれる君は優しいね。
★すべての記憶を消して、あなたと出会いたかった。
季節は冬に進むにつれて、
あなたとの関係性は深まるばかりだけど、
手を繋ぐことは変わらないよね。
公園の中はすっかり枯れ葉に覆われて、
踏むたびに響く乾いた音が切ないな。
あなたとの時間は先週の初雪みたいに
清らかに解けていくのはなぜかしら。
そんなこと、聞く必要なんてないほどね、
暖かくキラキラした日々を感じ続けているよ。
すべての痛かった記憶を消して去って、
今の瞬間から始めたかったな。
お互いに傷を舐めあうことはきっとしないけど、
私はただ、
今のあなたが好きだよ。
★にぎやかな中でも、世界はふたりきりみたい。
赤と緑と電球色でクリスマスになった世界で、
凛とした空気の中で、
ホットワイン飲むのは最高だね。
君の自由と、私の自由を混ぜて、
雪で白くて静かな世界をカラフルにしたい。
★暗い顔も素敵だけど、ただ、笑っていてほしい。
悩みの中で暗い顔をしている君の手元に、
ココアが入っているマグカップを置いた。
君が弱く微笑んだから安心したけど、
もう、頑張らなくていいよって付け加えた。
★君の素直さを守りたい。
天使みたいに君は純粋すぎて、
素直すぎて、傷つきやすいから、
ずっと、そばにいてあげたい。
★ねえ、初恋は永遠だよ。
ずっと、なくしていた
あなたからもらった赤いペンを見つけて、
ものすごく懐かしくて嬉しくなったんだ。
だから、思わず君への想いを手帳に書いたよ。
初めて人のことを好きになった、
あなたにあてた儚い恋文は、
二度と誰にも読まれることはないけど、
あなたへの気持ちはきっと変わらないよ。
★お互いに出来すぎてるね。
寂しさに負けそうだから、
君にメッセージを送ろうとしたら、
ちょうど、君からメッセージ届いた。
君も寂しかったんだと嬉しくて笑っちゃったよ。
求めてくれてありがとう。
★考えが甘すぎて、君に負担をかけてしまった。
優しい君に甘えすぎて、
君を怒らせてしまったんだね。
君のこと、わかってたつもりなのに
わがままばかりで、
理解できなくてごめんね。
★甘さで完全体になりたい。
ココアのホイップクリームを掬い、
口に含むと、
自分が完全体になったように思えた。
まだ、この切ない甘みだけじゃ、
自己肯定感は完全回復なんてしないけど、
今はただ、その甘さを感じていたい。
★雪が降りそうな朝、君のことを、ふと思い出した。
凛とした朝の冷たい空気を吸い込むと、
急に忘れかけていた切なさを思い出した。
黒いマフラーのフリンジを揺らして君が微笑み、
距離が縮まったあの瞬間が、鮮明に蘇った。
だけど、もう、その日から
あまりにも離れたところまで、
来てしまったのはわかっているんだ。
だけど、今でも、君のこと忘れられないや。
★ドキドキは果てない。
姿見に新しいコートを着た自分が映っている。
君のために買ったんだっていうのは、
重いと思われるから言うことはないけど、
褒めてくれたら嬉しさが爆発すると思うんだ。
褒めてくれる君を想像して、
私はもう、ドキドキし始めた。
★君が選んでくれた手帳がもうすぐ終わる。
夜のスタバで君が選んでくれた
お気に入りの赤い手帳を開いた。
離れ離れになってから、
1ヶ月が経ったんだと思うと、
あらためて胸の奥を締め付けられた。
季節が変わった今でも、
自分は全く変わる気配もないし、
コーヒーを飲んでも、
未だに君のことが忘れられないや。
★たとえ、ペンギンが空飛ぶ世界でも、日常は続く。
いつもの場所で赤信号につかまった。
凛として澄み切った空気は最高に気持ちよくて、
空は青さで昨日のことを思い出し、
急に切なくなり、泣きそうになった。
空飛ぶペンギンの群れが北に向かって、
飛んでいくのが目に入る。
昨日言われたつらい言葉なんか忘れて、
今日も頑張ればいいやって、
思っているうちに信号が青になった。
★君の心を縫いたい。
ボロボロになった君の心を縫うよ。
ソーダ水でも飲んで、ゆっくり休めばいい。
そしたら、君の輝きはまた復活するよ。
★もっと自分を大切にしてほしい。
君は簡単に自分を犠牲にして、
人に合わせることが得意なのは知っているよ。
だから、君が限界を迎える前に、
深呼吸をして、
しっかり立ち止まってほしい。
★こうやって、親密さを紡ぎたい。
声を出して君と笑い合うだけで、
なんで、こんなに親密で切なくなるんだろう。
★こう見えても、それなりに、こなしているよ。
器用にそれなりにやり過ごし、
疲れ切って今日も一日を終えた。
そんな中、帰ってきて、
白い蛍光灯の下、キッチンに立ち、
トマトとレタスのサラダを作り、
身体にそれなりに気を使っている
自分はめっちゃ偉い。
★疲れているのは知っている。
本心を隠して、
微笑むことが得意な君が疲れているのは、
もう、当たり前のように知っていることだよ。
だから、シンプルに君ことを尊重して、
君の疲れを癒やす魔法をかけてあげる。
★寒いけど、君の話をもう少し聞きたい。
白い息を隠すように、
君のマフラーのフリンジが風で揺れた。
「話、聞いてくれてありがとう」
そう言った君を見ると、
君は僕の視線に気が付き、優しく微笑んだ。
もう少し、話を続けたいから、
寒いけど、このまま歩こう。
★君が中心だよ。
君が世界の中心だってことを
証明したいくらい、
このままずっと君の話を聞いていたい。
★まだ今日の言葉が頭の中に残ってる。
ローソンでカフェオレを買ったあと、
夜の公園まで歩き、そしてベンチに座った。
今日、言われた言葉が頭の中で
また、ぐるぐるし始めたから、
カフェオレを一口飲んで、
甘さをしっかり感じることにした。
★倦怠期を乗り越えたい。
すれ違う日々が続き、
お互いにギクシャクしているような気がする。
君の機嫌を直すきっかけを作るために、
君の好きな店のシュークリームを買ったよ。
甘さと引き換えに倦怠期を乗り越えられたら、
きっと、ふたりはより強くなれる気がするよ。
★今は黒い気持ちを出してほしい。
虚ろな表情は君に似合わないけど、
今だけはそのままでもいいよ。
君はまわりに気を遣いすぎて、
疲れ切ってるんだから。
そんな君が再起動しやすいように、
頑張りすぎた君の頭をそっと撫でた。
★雪が降ると、あの日、君が言ったことを思い出してしまう。
忘れていたはずの君との切ない記憶が、
雪が降り続いている街を眺めて蘇ったんだよ。
カフェのカウンター席から、
窓越しに見える冷たくなったビル街は、
人出で騒がしくて、ひとりの寂しさが積もる。
USBをコンセントに挿しっぱなしのiPhoneを手に取り、
君が言ってくれた、
「いつまでも君のこと、忘れない」を、
メモのなかで悲しい文字記録にした。
★青白い世界で手を握ったままでいようね。
LEDで青白いクリスマスツリーを眺め、
君と冷えた夜を共有できるのが嬉しいよ。
街は今日も雪で凍りついているけど、
切なさを凝縮した白色に染まっているね。
手を握ったまま、
来年もふたりで青い思い出をたくさん作ろう。
★最高に寒くて、暖かいね。
クリスマス色したイルミネーションの前で、
君と寒さを共有しながら、
今の幸せと悲しみを保存するみたいに、
iPhoneで自撮りして、
ふたりきりの世界をデータに残すのが、
最高のプレゼントに感じるよ。
【初出】
1章
完全書き下ろし
2章
蜃気羊 X(@shinkiyoh)
https://twitter.com/shinkiyoh
2023.11.3~12.21