ウサギが謝っているスタンプと一緒に送られてきた文を一回で脳が処理してくれなくて同じ文をもう一度読む。
未だに慣れないスマホの文字打ちに苦戦しながらどうにか打った文を今度は思ったよりも気の楽な状態で送信ボタンを押せた。

[こっちこそ今まで連絡先とか聞かなくてごめんね]

送って気がつく。

もっと今日のこととか感謝を伝えつつ、話の広がる文を送った方がいいのではないか。

急いで文を考えて必死に打っていると返信が送られてきた。

[大丈夫。図書館で会ってるから連絡する機会ないかもしれないけど、今日みたいに遊ぶってなった時に便利だろ。あと、今日できなかったこと、また今度やろうな]

また遊べる機会があるのだと文面から伝わってくるようで嬉しさが込み上げる。
今から楽しみだ。

ただ、なんと送ればいいのかわからなくてシマエナガと"楽しみです"の文字が書かれたスタンプを送って会話が終わった。

あれから七ヵ月が過ぎた。

平日、陽の塾がない日は約束をするでもなく図書館に集まる。
近隣の中学校のテスト日に大きな差はないのでテストが近づけば自然とワークや教科書を持っていった。
知らないところは教え合ったり図書館に置いてあるパソコンで調べてみたり。

休日にも遊ぶ約束をした。
陽は人の多い場所に行く場合、長い時間は遊ばないように私の体調を気遣ってくれた。
のんびりしたい日は公園に行ってただただ話すだけの日もある。

拭えない不安と恐怖に悩まされるのは変わらなかったけど、一人だった時よりもずっと体も心も軽い。

学校では一人でも放課後には陽がいる。
それだけでどうにか学校にも通えているし、陽がだんだんと私の中心部に近づていた。

なくてはならない存在に変わっていく。
元々、幼馴染に対して過度な感情を持っていることは自覚している。
だが、陽はその域を超えてきている気がしていた。
それが、今はっきりと形が見えてきている。
これが本当にそうなのか分からないけど、近づくことで陽に迷惑をかけるようであれば私は……距離を置いた方がいいのかもしれない。
そう、思い始めていた。

幸か不幸なのかはわからないが、陽と私の学校は明日から冬休みに入る。

二年生のこの時期、勉強に集中したいと言っても違和感はないだろう。

夏休みは初め、どちらかが来ないことがほとんどだった。
それも半ばになればいつも通り何も言わずにお互い図書館に足を運んだいたから冬休みになれば初めから陽は来るかもしれない。

そうなったら行かない私はどう思われるんだろうか。