「……あんた、本当になんなの」

ついに怒りの頂点に達した相羽さんは私をさらに厳しい、怖い目で睨む。

「何も反応しなければ私が諦めるとでも思ってるの?だとしたら大間違い。あんたが誰なのかを私は知ってる。あんたの通う中学も、住んでる家だって行こうと思えばいくらでも行ける。あんたを追い込む術なんていくらでもあんだよ」

荒々しい口調。
この子にとって私は塵のように吹き飛ばせる存在。
そう、確信して威圧している。

怖い。
足が竦むし、これが自分に関係ない話なら、足が動くのならとっくのとうに逃げていた。
が、今回もまた私一人の問題ではない。

頭の中では今この場に対する恐怖と過去に起きたことを思い出し、溢れる恐怖が埋め尽くす。
思い出すだけで、まるで見えていたはずの道が全て消えていくみたいな暗闇に残される感覚に陥る恐怖。