悲惨だ。
周りの同学年はすでに可愛がっている後輩を持っているのに関わることも儘ならないなんて。

「緑組もう少しでゴールだ!おおっと、白組カーブで紅組を抜かすか!?」

さっきの体育祭開始を告げた声と変わらない人が熱心に実況してくれている。
トラックの内側では応援団と思われる人達が三三七拍子に合わせて声援を送っていた。

一年生の徒競走が終わると三年生の学年種目。
徒競走続きではなく種目がバラバラになってるみたいだ。

入り口でもらったプログラムの書かれた紙を見て陽の言っていた種目に、念のため持ってきたメモ帳に挟まれているペンで印をつける。
一番早く行われるのは四種競技。
今走っている三年生の徒競走が終わった次。

プログラムの二年生と書かれた種目が全七種目で陽の出る種目が五種目のところを見ると何種目かは選択制何だろう。
生徒の入場口には四種競技を選択したと思われる二年生が乱雑に並んでいた。
三年生の徒競走が終わり、係生徒教師が四種競技に必要な道具を設置し終わったのを確認してアナウンスが流れる。

「さぁ続いてはプログラム三番、四つの壁を乗り越えろ!二年生の四種競技です!」

ピーっと笛の音が鳴って入場口で手に持っていた旗を女の子二人がバっと上にあげる。
それと同時に堰き止められていた水が放流されるみたいに出てくる生徒。
一定の間隔で走っていないのも周りと話しながら進んだり黙々と足を動かす子がいたり見てて面白い。

初めの方にいる小さな集団の中に陽がいた。
意外にも誰とも話さずに走っていて、図書館で勉強している様子や調べものをしているのを見ているのだから今更なのだけど、真面目な部分もあるんだと少し驚いた。

「いちについてよーい……」

小学校では「どん!」と言っていたのを、中学校ではスターターピストルで合図する。

四種競技は始め、紐で自分の両足を縛ってある位置まで走ったら紐を取り先にある三つのコーンの周りを回る。
置いてあるフラフープに沿ってけんけんぱをし、網を潜ってゴール。