そんな私の矛盾を持ちつつも、せめて陽を肯定ぐらいしてあげたかった。
「陽は凄いと、思うよ。練習、してたからなの、かなって。最近、図書館に来るのが遅かった、のは頑張ってたから、なんだよね」
私なりに精一杯、励ましや頑張りを褒める言葉を繋げてみたのだが、陽は目を見開いている。
何か気に障ることを言ってしまってよくそんなことが言えるな、と驚かれているのかもしれないし、そんなこと私に言われたくなかったのかもしれない。
迷惑、だったかもしれない。
「ご、ごめっ……」
「俺そんなこと言われたの初めてだわ!」
必死に謝ろうとした私の言葉を遮って飛んできた嬉しそうな声と視界に映る笑顔。
「え?」
「え、何?」
「あ、いや……」
予想に反した反応をされると対応に時間がかかる。
それが真逆のものなら尚更。
空耳の可能性、いつか妄想した状況に似ていたことで脳が声を再生したのかとまで疑う。
どこまでが現実でどこまでが妄想か何かなのか混乱で目が回る。
「真っ直ぐな言葉って響くなぁ」とニコニコしている陽を見てやっと冷静になって聞こえたものはこの人から発せられたのだと確認する。
「そっか。槭から見たらそう映るのか」
「違かった、ら……ごめんなさい」
「違くねぇよ。寧ろ大当たり。槭、俺の事よく見てくれてんだな。練習してる状況とか見てないのに予想的中、凄いじゃん」
大当たり。
当たっていたことは嬉しかっただが、それよりも『俺の事よく見てくれてんだな』の一言で顔に熱が集中する。
まるで私が陽のことを好きみたい。
嫌いなわけではないし、どちらかと言えば好きよりであるから嘘ではないのに心の中で何度も訂正を繰り返してしまう。
「槭、なんか変だぞ」
結局、好きと普通を行き来していたら陽に不審がられた。
「何でも、ない」
「ならいいけど……俺さ、家族以外からは何でもできる奴に見られてたんだよ。勉強も運動も人間関係も全部上手くやってるように見られて、一回友達だった奴に悪態つかれた」
「え……」
「そういう反応になるよな〜。現実で呼び出されて真正面から『何でもできるんだってすました顔しててウザいんだよ。』『他人の努力を蔑ろにする奴だ。』言われたときは流石に堪えた。ネット上で言われなかっただけマシだったかもしれないけどさ」
言ってきたの人の顔が見える中で酷い言葉を真正面から浴びて、平気で入れるわけがない。
ネットのような文字上だけでの、顔の見えない状態の方が辛いとは言っても言葉は武器だ。
鋭利な刃物にもアサルトライフルやハンドガンにも弓にもなる。
言われた当人が一番心を抉られるのは場所より言葉による暴力。
「陽は凄いと、思うよ。練習、してたからなの、かなって。最近、図書館に来るのが遅かった、のは頑張ってたから、なんだよね」
私なりに精一杯、励ましや頑張りを褒める言葉を繋げてみたのだが、陽は目を見開いている。
何か気に障ることを言ってしまってよくそんなことが言えるな、と驚かれているのかもしれないし、そんなこと私に言われたくなかったのかもしれない。
迷惑、だったかもしれない。
「ご、ごめっ……」
「俺そんなこと言われたの初めてだわ!」
必死に謝ろうとした私の言葉を遮って飛んできた嬉しそうな声と視界に映る笑顔。
「え?」
「え、何?」
「あ、いや……」
予想に反した反応をされると対応に時間がかかる。
それが真逆のものなら尚更。
空耳の可能性、いつか妄想した状況に似ていたことで脳が声を再生したのかとまで疑う。
どこまでが現実でどこまでが妄想か何かなのか混乱で目が回る。
「真っ直ぐな言葉って響くなぁ」とニコニコしている陽を見てやっと冷静になって聞こえたものはこの人から発せられたのだと確認する。
「そっか。槭から見たらそう映るのか」
「違かった、ら……ごめんなさい」
「違くねぇよ。寧ろ大当たり。槭、俺の事よく見てくれてんだな。練習してる状況とか見てないのに予想的中、凄いじゃん」
大当たり。
当たっていたことは嬉しかっただが、それよりも『俺の事よく見てくれてんだな』の一言で顔に熱が集中する。
まるで私が陽のことを好きみたい。
嫌いなわけではないし、どちらかと言えば好きよりであるから嘘ではないのに心の中で何度も訂正を繰り返してしまう。
「槭、なんか変だぞ」
結局、好きと普通を行き来していたら陽に不審がられた。
「何でも、ない」
「ならいいけど……俺さ、家族以外からは何でもできる奴に見られてたんだよ。勉強も運動も人間関係も全部上手くやってるように見られて、一回友達だった奴に悪態つかれた」
「え……」
「そういう反応になるよな〜。現実で呼び出されて真正面から『何でもできるんだってすました顔しててウザいんだよ。』『他人の努力を蔑ろにする奴だ。』言われたときは流石に堪えた。ネット上で言われなかっただけマシだったかもしれないけどさ」
言ってきたの人の顔が見える中で酷い言葉を真正面から浴びて、平気で入れるわけがない。
ネットのような文字上だけでの、顔の見えない状態の方が辛いとは言っても言葉は武器だ。
鋭利な刃物にもアサルトライフルやハンドガンにも弓にもなる。
言われた当人が一番心を抉られるのは場所より言葉による暴力。