桜が本格的に葉桜となり、周りの木々とあまり変わらない見た目になった。
空には巻層雲。
適度な気温に酷くない湿度。
運動するには最適な今日。
私は陽の通う学校に足を踏み入れた。
きっかけは先週の金曜日。
やっと一週間が終わり、ホッとしながらいつもより遅れて来た陽と本を読んですっかりお決まりとなった帰り道。
「そうだ。槭、来週の土曜って空いてる?」
「空いてる、けど」
「体育祭、見に来ないか?今年は生徒手帳見せれば他校の生徒でも入れるようになったんだ」
「そう、なんだ。えっと……陽が良ければ」
「俺が誘ってるんだからいいに決まってんだろ。じゃ、決定な」
といった会話によって川の流れのように決まっていった今日の予定。
他校の体育祭を見るのはこれが初めて。
校門に置いてあった『体育祭』と書かれた看板は派手に体育祭らしく装飾されていて、生徒の士気も高まっているのか校庭は外部の者が見ても普段より騒がしいんだろうと予想できるほど賑やかだった。
かく言う私もああいった行事っぽいものを見るとわくわくする。
これでもイベント好きなのだ。
陽に誘われたときは言えなかったが明日は私の体育祭の日でもあり、私自身の体力が持たずとも二度この体育祭の雰囲気を味わえるのは嬉しかった。
陽の学校は私の通う学校よりも校舎が大きく、住宅街の中にある。
校庭はやや小さく見えるけれど、生徒数は圧倒的に多い。
彼らはぎゅうぎゅうな校庭に集められて少し窮屈そうだ。
開会式が始まり、しばらく二年生と思われる列を見つめる。
何組かも聞いていなかったことで赤青黄緑白の五色の沢山のハチマキと頭が綺麗に並んでいる中から目当ての人を見つけるのはそう簡単ではなかった。
「……いた」
目を凝らして探してやっと陽の姿を捉える。
列の後方にいる青色のハチマキをつけた陽は長い開会式にも耐えて朝礼台をしっかり見ている。
いつもは私服か制服の姿で会うし、小学校でも同じクラスにならなかったからあまり見てこなかった体操着姿は新鮮だ。
やっとのことで終わった開会式。
応援席へ戻った生徒は過ごしやすい気温とはいえ、じっと日光を浴びているのは苦痛だったのだろう。
それぞれに風を扇げるようなもので暑さを紛らわしていた。
十分休憩で生徒は水分補給、お手洗いを済ませ教師や担当生徒が競技の準備をするようアナウンスがかかった。
空には巻層雲。
適度な気温に酷くない湿度。
運動するには最適な今日。
私は陽の通う学校に足を踏み入れた。
きっかけは先週の金曜日。
やっと一週間が終わり、ホッとしながらいつもより遅れて来た陽と本を読んですっかりお決まりとなった帰り道。
「そうだ。槭、来週の土曜って空いてる?」
「空いてる、けど」
「体育祭、見に来ないか?今年は生徒手帳見せれば他校の生徒でも入れるようになったんだ」
「そう、なんだ。えっと……陽が良ければ」
「俺が誘ってるんだからいいに決まってんだろ。じゃ、決定な」
といった会話によって川の流れのように決まっていった今日の予定。
他校の体育祭を見るのはこれが初めて。
校門に置いてあった『体育祭』と書かれた看板は派手に体育祭らしく装飾されていて、生徒の士気も高まっているのか校庭は外部の者が見ても普段より騒がしいんだろうと予想できるほど賑やかだった。
かく言う私もああいった行事っぽいものを見るとわくわくする。
これでもイベント好きなのだ。
陽に誘われたときは言えなかったが明日は私の体育祭の日でもあり、私自身の体力が持たずとも二度この体育祭の雰囲気を味わえるのは嬉しかった。
陽の学校は私の通う学校よりも校舎が大きく、住宅街の中にある。
校庭はやや小さく見えるけれど、生徒数は圧倒的に多い。
彼らはぎゅうぎゅうな校庭に集められて少し窮屈そうだ。
開会式が始まり、しばらく二年生と思われる列を見つめる。
何組かも聞いていなかったことで赤青黄緑白の五色の沢山のハチマキと頭が綺麗に並んでいる中から目当ての人を見つけるのはそう簡単ではなかった。
「……いた」
目を凝らして探してやっと陽の姿を捉える。
列の後方にいる青色のハチマキをつけた陽は長い開会式にも耐えて朝礼台をしっかり見ている。
いつもは私服か制服の姿で会うし、小学校でも同じクラスにならなかったからあまり見てこなかった体操着姿は新鮮だ。
やっとのことで終わった開会式。
応援席へ戻った生徒は過ごしやすい気温とはいえ、じっと日光を浴びているのは苦痛だったのだろう。
それぞれに風を扇げるようなもので暑さを紛らわしていた。
十分休憩で生徒は水分補給、お手洗いを済ませ教師や担当生徒が競技の準備をするようアナウンスがかかった。