第5話

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○魔法学校、職員室。

イムテ村から帰還した直後のユキたち。リンとモエは、まだ身体に包帯を巻いている。リンはロークに任務を終えたこと、謎の人物に襲撃されたことを報告していた。

ローク「そうですか…。そんなことが…。本当に、皆さんが戻って来てくれて良かった…」

リン「すみません…。あたしの実力不足で、2人を危険に晒してしまいました…」

ローク「そんなことはありません…。フロウナさんが奮闘したからこそ、不測の事態を乗り切れたんです…」

モエ「そうっすよ…! それを言うなら、私が矢に打たれなければ…」

ユキ「いや、私が最初から魔法を使っていれば…」

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ローク「魔法…?」

リン「えぇ…。実は、ユキがSランク級の魔法に似た力を使っていたんです…」

ローク「ユキさんが…? にわかには信じられません…。ユキさんの魔力がFランクなのは、何度も確認していますから…」

ロークは顎を触りながら思考を巡らせる。それでも答えは出ない様子だった。

ローク「ユキさんに秘められた力…。もしかすると、その力がユキさんの失われた記憶を取り戻す鍵になるかもしれませんね…。私も、ユキさんに似た事案がないか調べてみます。その件で、もし、困ったことが起きたら、いつでも私に相談してください」

ユキ「は、はい…! 先生、ありがとうございます…!」

ユキ(記憶喪失じゃないとは、今さら言えない…)

ロークの気遣いに、申し訳なさそうに俯くユキ。

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ローク「襲撃の犯人についても、先生方と協力して捜索を進めます。早急に犯人の身柄を取り押さえたいとは思っていますが、皆さんも、身の回りの警戒を続けてください…!」

リン「はい…! ありがとうございます…!」

○学校の中庭

ロークに襲撃事件を報告し、職員室を後にしたユキたち。

リン「ユキの氷の力のこと、他の魔法学生には隠しておいた方が良いわね」

ユキ「え?」

いきなりのリンの発言に、ユキとモエはキョトンとしている。

リン「ユキの魔法はFランク。鑑定石で測ったんだから、それは紛れもない事実。それなのに、ユキはSランク以上の実力を発揮していた」

リン「あんなの、普通あり得ない」

リンの話に静かに耳を傾けるユキとモエ。ユキはリンに疑問を投げかけた。

ユキ「それなら、余計に話しておいた方が良いんじゃ…。隠し事は良くない気がするし…」

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リン「甘いっ!」

ユキ「えぇっ…!?」

ユキの発言に、呆れながら反論するリン。

リン「この学校は、あたしのような淑女だけじゃないの。何か気に入らないことがあると、変な因縁つけて来るような輩もいるのよ」

ユキ(淑女…?)

ユキは心の中でツッコミながら、受け流した。

リン「ただでさえ、ランクの高い生徒は嫉妬されやすい。一方的にライバル意識を向けて来るような奴もいるしね」

ユキ「なんだか、自分の体験のような言い方だね」

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モエ「ユキさんは、まだこの学校に転入したばかりで知らないかもしれないっすけど…。うちのクラスにも、リン先輩にちょっかいかける人がいるんすよ…」

リン「そう…! そいつの名前はヒエール・ツンドーラ。とっても嫌な奴で、あたしが一番苦手な男よ…!」

拳を握り締め、眉間に力が込もるリン。

リン「ああいうのとトラブルにならないためにも、ユキは普通の魔法学生として過ごした方が良いと思うの! 謎のローブ女の件もあるし…!」

ユキ「な、なるほど…」

リン「ユキ、くれぐれもヒエールには気を付けなさいよ? あたしも、いざという時は助けてあげるから…!」

ユキ「うん…! ありがとう、リンちゃん…!」

○時間は進み、場面は教室。

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リンとモエの怪我は完治し、包帯は取れていた。ユキ、リン、モエが座る長机の座席の側に、取り巻きを2人連れた性格の悪そうな男が立っていた。

※モエがリンを先輩と呼ぶのは、単純にモエが年下のため。魔法学校に入学する年齢に決まりがないため、学年という括りは行われていない。

ヒエール「おやおや。リン君。もう怪我は治ったのかイ? あんなに惨めな姿だったのに」

リンはなるべくヒエールのことを見ないように、視線を逸らしながら返事をする。

リン「えぇ…。おかげさまで…」

≪page7≫

ヒエール「フッ…。災難だったネ。そんな低ランクの奴らに先輩風吹かしてるせいで、バチが当たったんじゃないかナァ?」

ユキ(ほんとだ…。めちゃくちゃ嫌な奴だ…)

話に聞いていた通りのヒエールに、ユキは露骨に嫌そうな顔をする。モエは落ち着かない様子でリンのことを気に掛けている。 

リン「そうかもねぇ。あんたにも、子分を引き連れてるバチが当たらなきゃ良いけど」

ヒエールの挑発に軽く言い返すリン。ヒエールの取り巻き2人は、顔を真っ赤にして怒り始める。

子分A「なんだと!? 我々はヒエール様を心から慕っているのだ! 子分などとそんな低レベルな存在と一緒にするな!」

子分B「そうだそうだ! ヒエール様こそ、次期Sランク候補の優秀な魔法学生なのさ! 同じAランクでも、お前とは格が違うんだよ!」

≪page8≫

リン「ふっ…」

子分A&B「何がおかしいんだコラー!?」

リンに鼻で笑われ、怒りを全身でアピールする子分たち。ヒエールはまぁまぁと両手を軽く振りながら、子分2人の気を鎮めた。

ヒエール「ボクくらいになると、自然と慕ってくれる人間が現れるのサ。君には無縁だろうけどネ」

リン「まぁね」

リンはヒエールのことを見ず、適当な相槌を打つ。ヒエールは薄ら笑いのまま、リンをさらに挑発する。

ヒエール「そんな可哀想な君も、優秀なボクのアドバイスが聞きたかったら、いつでも教えてあげるヨ。自称エリートくン」

リン「まぁね」

会話にならない返事を返され、ヒエールは口の端を歪ませていた。さらにリンを挑発する言葉を探す。

≪page9≫

ヒエール「ま、君がそんなだから、エレナ君は愛想を尽かしてしまったんだろうネ」

リン「…!!」

リンは勢いよく立ち上がった。そのままヒエールのことを睨み付けている。ヒエールは満足そうに笑っていた。

リン「あの子のことは、あんたには関係ないでしょ…?」

ユキ(リ、リンちゃん…?)

急に立ち上がったリンを見て驚くユキ。

≪page10≫

ヒエール「ボクに関係あるなんて言ってないじゃないか。ただ、エレナ君のことを想うと可哀想だなと思って。かつて同じ班で仲間だった君が、いつまで経っても追いついて来ないんだからサ」

リン「……」

ヒエール「エリートなら、Sランクなんてすぐなんじゃないのかイ? エレナ君を見習いなヨ。ボクなら、もうすぐ彼女と同じ次元へと到達出来るだろうけどネ。才能のない人は哀れだネェ」

リン「黙りなさい…」

ヒエール「エレナ君は今頃、Sランクの特別任務で忙しくしているだろうネェ…。君のことなんか、もう忘れてるんじゃないかナァ…?」

リン「黙れ…! うっ、く…!」

モエ「せ、先輩…」

≪page11≫

リンは声を押し殺して泣いていた。エレナのことを持ち出せば、リンは自分のことに反応する。そのことに気を良くして、ヒエールはさらにリンを煽ろうとする。

ユキ(エレナって誰なんだろう…。私には、事情はよく分からないけど…。でも、これだけは分かる…。リンちゃんが…泣いているのは…!)

リンの涙を見て、ユキは静かに怒りを燃やしていた。

ヒエール「エレナ君もきっと、今のリン君を見たら指を差して笑ってしまうだろうネ。こんな風に! あっはっはっはっはっハッ!!」

リンを指差し高笑いをするヒエール。取り巻きも一緒になって笑い始めた。リンは必死に平常心を保とうと拳を握り締める。

≪page12≫

ヒエールの視界に、鬼の形相のユキが飛び込んできた。

ヒエール「ぐボァッ!?」

ユキの右ストレートが炸裂。ヒエールは盛大に吹っ飛んでいた。

リン「ユキ…!?」

≪page13≫

子分A&B「ヒエール様ぁっ!!」

倒れるヒエールに駆け寄る子分2人。ユキは床に転がっているヒエールを睨み付けた。

ユキ「リンちゃんを笑うな…!」

ヒエール「な、なんだお前は…! Fランクのクセに…! このボクに歯向かうのか…!?」

ユキ「……」

ヒエール「ヒッ…!?」

ユキの無言の圧力。妖怪のようなその迫力に、ヒエールは一気に戦意を喪失していた。

≪page14≫

ヒエール「ふ、ふン…! お前のような低レベルな奴の相手なんてしていられるか…!」

子分A&B「ヒエール様ぁ〜! 待ってくださいよ〜!」

立ち去るヒエール。追い掛ける子分2名。

ユキ「ふぅ…」

嵐が過ぎ去り、静けさを取り戻した教室。ユキは安堵の溜め息を漏らした。

リン「ユキ! なんてことするのよ! いきなりぶん殴るだなんて! 先生にチクられたらどうするの!?」

ユキ「ご、ごめん…。許せなくて…つい手が…」

申し訳なさそうにするユキ。しかし、言葉とは裏腹はリンは笑顔だった。

≪page15≫

リン「ま。あんたのおかげでスッキリしたわ…。ありがと…」

照れながら、ユキにお礼を言うリン。ユキもリンに笑顔を返した。モエもようやく笑顔を浮かべていた。

○ユキたちの教室、放課後のホームルーム

ローク「さて、来週の連絡事項ですが、レクリエーションにて、マジケットボールを開催したいと思います」

おぉーっ!!と教室が湧き上がる。ユキだけはキョトンとしている。

生徒A「私、マジケが一番好き!」

生徒B「思いっきり暴れてやるぜ!」

興奮する生徒を不思議そうに眺めるユキ。何が始まるのか気になるユキは、隣に座るリンに尋ねた。

ユキ「マジケットボールって何…?」

≪page16≫

リン「あっ、そうか。ユキは知らないんだっけ。マジケットボールっていうのは、ボールをリングの中に入れる競技のことよ。3人1組のチームに分かれて、ドリブルやパスを駆使してお互いのコートにあるリングを狙う。そして、リングに入った得点を競っていくの」

ユキ「私、それ知ってるかも…名前は違うけど…」

ユキ(バスケットボールのこと、鈴子ちゃんが教えてくれたから…)

モエ「私はちょっと苦手なんすよね…。魔法を思いっきり使おうと、みんな張り切ってて怖いっすから…」

ユキ「魔法って使って良いの…!?」

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リン「それがマジケの醍醐味よ。魔法学生は、授業と任務以外で魔法の使用は制限されてるから、そりゃあ張り切るってもんよねぇ。まぁ、あたしはまだ怪我が治ったばっかりだし、今回は、ほどほどにしておくつもりだけど」

ユキ「でも、魔法を使うって危ないんじゃないの?」

モエ「ボールを運ぶために魔法を使うのは自由なんすけど、相手に直接危害を加えてはいけないというルールがあるんす。でも、どこからどんな魔法のボールが飛んで来るか分からなくて、それはもう恐ろしいっす…」

リン「大丈夫よ、モエちゃん…! モエちゃんのことは、あたしが命に替えても守ってあげるから…!」

モエ「せ、せんぱぁい…!」

ユキ「あの…」

恐る恐る手をあげるユキを、不思議そうに見つめるリン。

≪page18≫

リン「ん? どうしたの、ユキ? ユキは超強いんだから、別にあたしが守らなくても大丈夫でしょ」

ユキ「いや、その…。私、みんなの前で力を使わない方が良いんだよね…?」

リン&モエ「あっ…」

魔法学生には力を隠すと決めた矢先に、開催されてしまうマジケットボール。そのことに改めて気付き、3人は固まっていた。

ユキ「ど、どうしよう〜!?」

ローク「ユキさん、まだホームルームは終わってませんよ…?」

大声を上げるユキに、ロークは困りながら注意する。

一方、マジケの開催を知り、怪しげな笑みを浮かべるヒエール。

≪page19≫

ヒエール(ふっ…。マジケか…。これは好都合。あくまでも競技として、あのFランクのクソガキに報復することが出来るゾ…!)

ヒエールは怒りに満ちた表情から、頬を赤らめ、恋をしているような表情へと変わった。

ヒエール(そして…。今度こそ、愛しのリン君を振り向かせてみせるサ…!)

実はリンに惚れていたヒエール。己の復讐心と恋路のため、ヒエールは闘志を燃やした。

○マジケ当日、魔法学校のマジケコート。マジケット専用のコートと、ゴールリングがそれぞれのエリアに1つずつ設置されている。

ローク「それでは、只今よりマジケットボールを開催いたします。事前に説明した通り、今回は3on3形式の試合です。トーナメントに最後まで勝ち進んだチームが優勝となります。皆さん、日頃の勉学の成果を、存分に発揮してください」

おぉーっ!と沸き立つクラスメイトたち。

ユキ「みんな気合入ってるなぁ…。やっぱり不安だよ…」

≪page20≫

リン「大丈夫よ、ユキ! あれから練習したんだから!」

モエ「そうっすよ…! 私たちも魔法でサポートするっすから…!」

ユキたちの元に、子分を2人引き連れてニヤニヤしながら近付いて来るヒエール。

ヒエール「おやおや。君のチームには、魔法が使えない人がいるのかい? それは可哀想にネェ。実質、2人で試合をしなきゃならないんだからサ」

リン「あんたも可哀想な奴ね…。試合前に、わざわざそんな挑発しに来ないといけないくらい、自分に自信がないなんて…」

≪page21≫

ヒエール「自信がない訳じゃないサ。今なら、リン君をボクのチームの控えにしてあげようと思ってネ」

リン「お断りよ。あんたのチームなんかに入ったら優勝出来ないもの」

子分A&B「なんだとーっ!?」

ヒエール「フッ…。相変わらず強気だネ。この前は、エレナ君のことで泣きべそかいていたというのに」

リン「もう泣かないわよ」

ヒエール「どうだかネェ」

睨むリンと不敵に笑うヒエール。怯えるモエ。

≪page22≫

無言のまま、ヒエールの前に割って入るユキ。

ユキ「……」

ユキを見て殴られたトラウマを思い出し、怯えるヒエール。

ヒエール「クッ…! またお前か…! 魔法も使えない出来損ないのクセに! お前なんか、みんなの笑いものになるが良いサ!」

ユキに捨て台詞を吐きながら、立ち去るヒエール一行。

ユキ「ふぅ…」

リン「ありがとう、ユキ。その気迫があれば大丈夫よ。あんたの実力を、あの馬鹿に見せつけてやりましょう!」

ユキ「…うん!」

≪page23≫

試合開始の時が訪れ、コートに立つリン班チームと相手チーム。

子分A「相手チームは全員Bランクで固めてますね」

子分B「こりゃ、あいつらここで敗退しますね。せっかく我々が捻り潰せると思ったのに、残念ですねぇ」

ヒエール「まァ、その時は存分に笑ってやれば良いサ」

ニヤニヤとリン班を見つめるヒエール。ロークが持っているホイッスルを吹き、試合が始まった。

≪page24≫

リン「エアル!」

風を足に纏い、空中を滑るように移動するリン。そのまま華麗にダンクシュートを決めた。

生徒たち「えぇぇーっ!?」

鮮やかなリンの活躍に、驚愕の声を漏らす生徒たち。

≪page25≫

モエ「プランナー!」

地面から植物を生やすモエ。そのまま植物のツルがボールを運び、軽く放り込むようにゴールを決めた。

生徒たち「うおぉーっ!?」

リンとモエの華麗なプレーに焦る相手チーム。

相手選手A「くっ…! リンとモエをマークして! ユキだけなら、私ひとりで十分!」

≪page26≫

リンとモエを空中に巨大な腕を発生させる魔法と、骨を操る魔法を駆使して妨害する相手チーム。その間に、リンはユキにボールをパスした。

リン「ユキ…!」

≪page27≫

相手選手A「よし! ボールがユキに渡った! これなら…」

ユキは鋭い目つきでゴールリングに狙いを定める。そして、鮮やかなスリーポイントシュートを放った。ボールはリングをくぐり、リン班チームはポイントを重ねた。

≪page28≫

生徒たち「なっ…!!?」

相手選手A「なんですって…!?」

驚愕するギャラリーの生徒たちと相手選手の少女。

○回想。マジケ専用コート。試合前の練習風景。

コートに集まるユキ、リン、モエ。

リン「よし…! んじゃ、さっそく、ユキにマジケの基礎を叩き込んであげるわ!」

得意げなリン。ユキはボールを両手で持ちながら、静かにゴールを見つめている。

リン「良い? まず、ボールは手を添えるようにして、それから…」

おもむろにボールを投げるユキ。リンは呆気にとられた表情を浮かべた。

≪page29≫

リン「あっ! ユキ! 何勝手に投げてるのよ! これから教えてあげようとしてるのに…」

スポッ。とあっさりゴールに入るボール。リンとモエはポカンとユキのことを見つめている。

リン「ちょちょちょ、ちょっと、あんた…!? な、なんでそんなに上手なのよ…!?」

ユキ「実はね…」

穏やかな笑顔で答えるユキ。その脳裏には、初めての親友、鈴子の姿が浮かんでいた。

○ユキの回想。公園に設置された夕暮れのバスケットコート。

≪page30≫

鈴子「雪ちゃん、たまにはこういうとこで遊ぼ!」

ユキ「こ、これは何…?」

鈴子「これはバスケ! バスケットボール! なんか投げて入れんの! あたし、こう見えて中学の頃バスケ部だったんだから!」

笑顔でバスケットボールで遊ぶ2人。鈴子に教えられ、ユキはメキメキと上達していた。

○回想終了

ユキ(教えてくれたんだ。私の、大切な人が…!)

ローク「ゲームセット! 勝者はリン班です!」

歓声が上がる中、自信に満ちた表情を浮かべるユキたち。

≪page31≫

子分A「あいつら…! 良い気になりやがって…!」

ヒエール「フッ…。そうこなくっちゃァ、面白くないじゃないか」

憤る子分たちと、尚も不敵に笑うヒエール。

○進んでいく試合。

次の試合でも、魔法を駆使して相手を引き離すリンとモエ、基本に忠実なプレイで手堅く得点を稼ぐユキ。

そして、舞台は決勝戦。ヒエールたちとの試合が始まろうとしていた。

≪page32≫

お互いに睨み合うリン班とヒエール班。

ヒエール「フッ。Fランク君、泣いて謝るなら今のうちだヨ?」

ユキ「それは、こっちの台詞だよ!」

≪page33≫

ローク「それでは、決勝戦を始めます…!」

ロークの掛け声の直後、コートに冷気が漂っていた。

ユキ「…!」

ヒエール「ふっふっフッ! 見せてやる! このボクの未来のSランクの実力を!」

実は氷の魔法使いだったヒエール。氷をコートに張り巡らせながら、ユキを睨んで不敵に笑う。