小学校の頃、図書の時間というのがありましたよね。
 図書室で本を読んだり、借りたりするあの時間です。

 実は私は文章を読むのが得意ではありません。
 特に小説のような長い文章が苦手でして、図書の時間は図鑑のような文章の少ない本ばかり選んでいました。
 そんな感じなので文学については全く分かりません。
 小説なんて架空の話だから、読んでも意味はない……そう思っていたためです。

 高校時代になると文章から逃げるように理系に進みました。
 科学が好きだからと言ってはいましたが、語学から逃げたい気持ちが強かったのです。

 そのような学生時代を送ってきた私ですが、ここ数年は考えが変わりつつあります。
 人の気持ちが理解できるということは、人生を生きていく上で極めて重要なスキルだということに気付いたためです。
 よく考えてみれば、数学の証明だっていかに論理的に説明するかということですし、テストだって先生が『こういう問題を出したら、こういう風に解いて欲しいんだけどできるかな?』という思いで作成しているものなんです。
 文章というものは、文章の向こう側にいる人とのコミュニケーションなんだと思うのです。

 この小説を書き始める3ヶ月ほど前、たまたま読んだ漫画の原作が小説だと知り、読んでみることにしました。
 小説を読むなんて苦痛だったはずなのに、登場人物の想いがどんどん私の中に入ってきて感動が溢れてくることに気付きました。
 思えばずいぶんと遠回りしてしまいましたが、私はようやく皆様と同じ楽しさを知ることができたのです。
 本当に恥ずかしい。

 この小説に出てくる7人は私の分身のような存在です。
 ある日、突然生まれた彼らは、私の頭の中で傍若無人に暴れまわりました。
 色々間違えたり、悩んだり、喧嘩しながら大事な事を見つけていくのです。
 そんな彼らは私の頭から出てくることができません。
 私は彼らの居場所を作るために文章として残すことにしたのです。
 残念なのは私の文章力のなさでしょうか。彼らの魅力を表現しきれないことに不甲斐なさを感じています。

 さて、そんな彼らの物語も次回から最終章に入っていきます。
 生み出した者の責任として、大好きな彼らの旅をなんらかの形で終わらせる必要がありますから。
 きちんと終わらせることは、次に繋がるのです。

 今までのストーリーから予想もできないような急展開となりますが、もう少し彼らを応援してくださると嬉しいです。