――……翌日。

 ここは医療施設内にある救護室。
 ここにはシルフィアとキキョウが大怪我をしてベッドに寝ていた。
 キキョウのそばにはラクドサスがいる。
 片やシルフィアのそばにはエルとログスとララファがいた。
 シルフィアは仰向けでエルとログスとララファと話をしている。

 「……ごめんなさい。みんなに心配かけちゃったね」
 「シルフィア、そうだな。それはもういい、何があったのか分からないけど……今は怪我を治さないと」
 「そうですよ。エルの言う通り、今は何も考えずに治療に専念してください」

 ログスはそう言うと、ニコッと笑みを浮かべた。

 「うん、そうだね。でも何年ぶりだろう……こんなに大喧嘩したのって」

 そう言いシルフィアは微笑んだ。

 「昔も、こんな喧嘩をしたのか?」
 「ええ……マルセとね」
 「母さんと? どうして……」

 不思議に思いエルは首を傾げる。

 「フフッ……なんでだろうねぇ。まあ今回と似たような理由だったけど……。あの時……勝っても結局、喧嘩した内容では負けたんだけどね」
 「んー……どういう事なんだ? 意味が分からない」
 「アタシは分かった気がする。そうかシルフィアさんは……そうなんだね」

 ララファは分かったが敢えてシルフィアに気を使い、ハッキリと言わなかった。

 「そうね……そういう事よ」

 それを聞いていたエルとログスは、シルフィアとララファが何を言いたいのか分からず首を傾げる。

 「なるほど……キキョウと喧嘩した理由って、そういう事か」

 そう言いラクドサスは、ムッとし不貞腐れた。

 「おい、ラクドサス! お前は分かったのか?」
 「ああ、だが言わんぞ……腹が立つからな」

 そう言われエルは、余計に混乱する。

 「フフッ……可愛い、だからかなぁ」

 キキョウはそう言い、ニヤリと笑った。

 「キキョウ! まだ諦めてないの?」
 「勿論よ。それに……まだシルフィアに負けていないわ」
 「そうだとしても……本人が選ぶことよ」

 それを聞きキキョウは、クスクスと笑う。

 「そうよねぇ。だからワタシは、どんどんアプローチをしていくつもりよ」
 「……そう、それなら私も遠慮なくアピールしていくわ」
 「まあせいぜい頑張るのね……若作り年増猫!」

 そう言われシルフィアは、ムカッとする。

 「年増って……貴女に言われたくないわよ! 厚化粧女ぁ~」

 それを聞きエルは、なんで言い合いになっているのか分からず呆然としていた。
 一方ログスはなんとなく理解したらしく、ジト目でエルをみる。
 その様子をみていたララファは、どうなるのかと興味深く思っていた。
 そんな中ラクドサスは、呆れ顔でシルフィアとキキョウの言い合いをみている。
 そしてその後もシルフィアとキキョウは、疲れるまで言い合いを続けたのだった。