ラクドサスはキキョウを交えセイントチェーンと話をしていた。
 片やエルはシルフィアと一緒にグリモエステルスから聞いている。

 ”うむ、連絡手段か……だが共闘とはな。そうなると何かある度、常に一緒に戦うという事になる”
 (そうなるよな。それより……そもそも、神のオーパーツ所持者と共闘していいのか?)
 ”それは問題ない。だが、どうする……まさか儂でもこんな展開は予想していなかった”

 それを聞きエルとシルフィアは、真剣な顔で頷いた。

 (私もよ。でも、これが可能なら……)
 (ああ、色々と助かるな)
 ”そうだな。手段はなくはないが、向こうのオーパーツ次第になる”

 そう言われエルは、ラクドサスに視線を向ける。

 (交渉次第って訳か)
 ”そうだね……話はしてみる。だが、さっきのようにすんなりいくか分からない”
 (それでも……)

 エルはそう言いかけた。

 ”エル……相手からの誘いだ。珍しい、話してくるよ”

 そう言いグリモエステルスは交信を切る。
 それを確認するとエルとシルフィアは、ラクドサスの方を向いた。

 「お互い……オーパーツ同士で話すみたいだな」
 「エル、そっちはどんなことを話していた?」
 「今は言わないでおく。まだ、結果が出ていないからな」

 そう言われラクドサスは、フッと息を吐き笑みを浮かべる。

 「そうだな。そうなると、お互い下手な会話はできんか」
 「ああ、そうだな。どう間を持たせる?」
 「それよりも、ここには飲み物や食べ物ってないのか?」

 ラクドサスはそう言い、ジト目でエルをみた。

 「なくはないが……保存食と水しかない」
 「……本当に何も買ってないんだな」
 「しょうがないだろ! 買っている暇がなかったんだから」

 そう言いエルは、プイッと不貞腐れる。

 「フッ、まるで子供だな……みていて飽きない。まあいい……キキョウ、何か買ってこい」
 「はい、分かりましたわ」

 キキョウはそう言うと立ち上がる。

 「エル、私も一緒に行ってくるね」
 「ああ、頼む」

 そう言いエルは、シルフィアにお金を渡した。

 「……別に私が出したのに」
 「ここは俺が出すのが筋だろ」

 それを聞きシルフィアは、ニコリと笑みを浮かべる。
 それをみたラクドサスは、キキョウを自分の所にこさせた。そして無言のままキキョウに金を渡す。

 「あら、珍しいこともあるのね……雨が降らなければいいのだけど」

 そう言いキキョウは、窓の外を向いた。

 「キキョウ、余計なことを言わずに行ってこい!」

 ラクドサスはそう言うと、ムスッとする。

 「なるほど……今まで、仲間に金を出させてたのか」

 そう言いエルは、ジト目でラクドサスをみた。

 「そうなのよねぇ。パーティーのメンバーにも、お金を出させてたわよ」

 そうシルフィアが言うとラクドサスは、恥ずかしくなり顔を赤くする。

 「それが当たり前だと思っていた……悪いか!」
 「いや、そういう環境で育ったなら仕方ないよな」
 「なんかトゲがあるような発言だな。フゥー……それよりも、とにかく買ってこい!」

 ラクドサスにそう言われシルフィアとキキョウは頷いた。その後、二人はエルの家を出て市場街に向かう。
 そしてその間エルとラクドサスは、二人っきりでしか話せないことを語っていたのだった。