ここは古魔製品店。カルネアは、心配そうにエルをみている。
(エル……相当、苦しそう。心配だけど……大丈夫よね？)
そう思い無事を願う。
するとエルの全身を覆う光が、更に強くなる。それと同時に、グリモエステルスが宙に浮いた。そして光を放ち、パラパラとグリモエステルス……魔導書が開く。
「これって……魔導書が開いたってことは、エルを認めたってことよね？ でも、どうやって……」
魔導書から発せられている光が強まり、魔法陣が展開される。それと同時に、展開しながら魔法陣は徐々に大きくなっていく。
そして苦しみもがき横たわるエルの真上へと、魔法陣が移動する。
するとエルは「うわぁぁあああ――――」そう叫び、目覚めた。
目覚め、スクッと上体を起こしたエルは辺りを見回す。……エルの全身から放たれていた光と魔法陣は、既に消えている。
魔導書は、パタンと閉じた。そして持てる大きさまで小さくなり、ゆっくりとエルの手元に落ちる。それを右手で持ち魔導書をみた。
左肩の辺りには、赤紫色の紋章が浮かび上がる。それは、本と火の鳥のような紋章だ。
「エル、大丈夫？」
その声を聞きエルは、カルネアの方を向いた。
「あ、カルネアさん。……俺は……」
「成功よ。おめでとう、エル。よくクリアできたわね」
「はい、でも……まだ実感が湧きません」
そう言いエルは、魔導書に目線を向ける。そして魔導書を開いた。……中身は真っ白だ。
「何も書かれていない？ これっていったい……どういう事だ」
「本当ね。私にも、分からないわ。どうなっているのかしら？」
そう思っていると魔導書が発光する。それと同時に、エルの両眼が赤紫に光り出した。次いで、エルの脳裏に詠唱の言葉が浮かんでくる。エルの意思とは関係なく、口が勝手に動いた。
《古より封印されし闇なる魔 その力と知恵 我、欲す それらを解き放ち我の一部となれ グリモエステルス!!》
そう詠唱すると魔導書から光が放たれる。それと同時に、エルの眼前で魔法陣が展開された。するとエルの両眼が更に赤紫に発光する。
その時、エルの両方の目に魔法陣が浮かび上がった。その二つの小さな魔法陣は回りながら展開される。
「うわぁぁぁああああ――――」
その影響でエルは、激しい頭痛に襲われた。エルはなんとかその痛みに耐える。
その後、次ぎのするべきことが脳裏に浮かんできた。
エルは頭の痛みに耐えながら、右手を開いた魔導書の上におく。
すると真っ白な魔導書に文字が浮かび上がる。その後、魔導書の上に魔法陣が現れ展開されていった。
それと同時に、その魔法陣から大剣が浮上してくる。
魔導書を翳していた右手で持ち、思いっきり引き抜いた。そして即座に、その大剣を両手で握りしめる。
魔導書は、エルの目の前で浮く。
エルは剣先を上に向けみた。
その後エルの両目に浮かび上がっていた魔法陣は消え、パタンと魔導書が閉じる。
だが魔導書は浮いたままだ。
「大剣が魔導書から出てきた！」
「そうみたいね。恐らくそれが、貴方に合った武器ってことになるわ」
「俺に合った武器、かぁ。だけど、グリモエステルスは魔導書なんだよな？ なんで大剣なんだろう」
それを聞きカルネアは、クスッと笑う。
「これは推測だけど。多分、魔法も使えるんじゃないのかな？」
「あー、そういう事かぁ。じゃあ、このグリモエステルスがあれば魔法が使える」
そう言うとカルネアは頷いた。
「これで話を先に進めるわね」
「話……って、あーそうだった！ 探求者……」
「忘れてたみたいね。仕方ない、まぁいいわ。じゃあ、何をするのか説明します」
そう言うとカルネアは、エルにどんな情報を送って欲しいのか説明し始める。
「……世界のあらゆる遺産や知識、理などを調べる。それをカルネアさんに、教えればいいのかぁ。だけど、どうやって？」
「情報を送る方法は……」
そう言いながらカルネアは、何も書かれていない長方形のプレートとペンのような紫の棒をエルに渡した。
エルはそれを受け取りみる。
「その魔法のペンで、プレートに書いて送って欲しいのよ。送り方は、プレートに私の名前を書いて魔力を注ぐだけ。そうすれば、私が持っているプレートに内容が転送されてくるわ」
「なるほど……便利だな」
「それと、その情報を手に入れるために【ダグル迷宮】を目指して欲しいの」
それを聞きエルは首を傾げた。
「それって、どこにあるんだ？」
「遥か南のネルオン大陸よ。ここからだと、半年で着けるかどうかね」
「……そんなに遠いのかぁ。でもそんだけ距離があれば、その間……俺の探したいヤツらがみつかるかもしれない」
そう言いエルは、視線を遠くに向ける。
「それと送金方法は、私名義で金品預かり場に預けておいてね」
「どうやって、預ければいいんだ？」
「そうだったわね。これを渡しておかなきゃ」
カルネアは鞄から自分のカードを取り出して、エルに渡した。
「これってなんですか？」
「それをみせると、引き出したり預けたりできるのよ。道具や装備品などもね」
「凄いですね。じゃあここから引き出しても、いいって事ですか？」
そう問われカルネアは、ムッとした表情で首を横に振る。
「駄目に決まってるでしょ！ それに預ける場合は必要ないけど。引き出す場合は、あらかじめ登録しておいた暗号を紙に書いて受付にみせなきゃならないのよ」
「そうなんですね……分かりました。あとで自分のも作っておきます」
そう言うとエルは、カルネアから預かったカードとプレートと魔法のペンを鞄にしまった。
その後エルは、カルネアから地図と色々なアドバイスをもらう。
話を終えるとエルは、カルネアに別れの挨拶をしたあと古魔製品店から外にでる。
そしてエルは町を出て、ダグル迷宮があるネルオン大陸のダバイの町を目指し歩き出した。
ここからエルの冒険は始まり、物語の幕が開く――
(エル……相当、苦しそう。心配だけど……大丈夫よね？)
そう思い無事を願う。
するとエルの全身を覆う光が、更に強くなる。それと同時に、グリモエステルスが宙に浮いた。そして光を放ち、パラパラとグリモエステルス……魔導書が開く。
「これって……魔導書が開いたってことは、エルを認めたってことよね？ でも、どうやって……」
魔導書から発せられている光が強まり、魔法陣が展開される。それと同時に、展開しながら魔法陣は徐々に大きくなっていく。
そして苦しみもがき横たわるエルの真上へと、魔法陣が移動する。
するとエルは「うわぁぁあああ――――」そう叫び、目覚めた。
目覚め、スクッと上体を起こしたエルは辺りを見回す。……エルの全身から放たれていた光と魔法陣は、既に消えている。
魔導書は、パタンと閉じた。そして持てる大きさまで小さくなり、ゆっくりとエルの手元に落ちる。それを右手で持ち魔導書をみた。
左肩の辺りには、赤紫色の紋章が浮かび上がる。それは、本と火の鳥のような紋章だ。
「エル、大丈夫？」
その声を聞きエルは、カルネアの方を向いた。
「あ、カルネアさん。……俺は……」
「成功よ。おめでとう、エル。よくクリアできたわね」
「はい、でも……まだ実感が湧きません」
そう言いエルは、魔導書に目線を向ける。そして魔導書を開いた。……中身は真っ白だ。
「何も書かれていない？ これっていったい……どういう事だ」
「本当ね。私にも、分からないわ。どうなっているのかしら？」
そう思っていると魔導書が発光する。それと同時に、エルの両眼が赤紫に光り出した。次いで、エルの脳裏に詠唱の言葉が浮かんでくる。エルの意思とは関係なく、口が勝手に動いた。
《古より封印されし闇なる魔 その力と知恵 我、欲す それらを解き放ち我の一部となれ グリモエステルス!!》
そう詠唱すると魔導書から光が放たれる。それと同時に、エルの眼前で魔法陣が展開された。するとエルの両眼が更に赤紫に発光する。
その時、エルの両方の目に魔法陣が浮かび上がった。その二つの小さな魔法陣は回りながら展開される。
「うわぁぁぁああああ――――」
その影響でエルは、激しい頭痛に襲われた。エルはなんとかその痛みに耐える。
その後、次ぎのするべきことが脳裏に浮かんできた。
エルは頭の痛みに耐えながら、右手を開いた魔導書の上におく。
すると真っ白な魔導書に文字が浮かび上がる。その後、魔導書の上に魔法陣が現れ展開されていった。
それと同時に、その魔法陣から大剣が浮上してくる。
魔導書を翳していた右手で持ち、思いっきり引き抜いた。そして即座に、その大剣を両手で握りしめる。
魔導書は、エルの目の前で浮く。
エルは剣先を上に向けみた。
その後エルの両目に浮かび上がっていた魔法陣は消え、パタンと魔導書が閉じる。
だが魔導書は浮いたままだ。
「大剣が魔導書から出てきた！」
「そうみたいね。恐らくそれが、貴方に合った武器ってことになるわ」
「俺に合った武器、かぁ。だけど、グリモエステルスは魔導書なんだよな？ なんで大剣なんだろう」
それを聞きカルネアは、クスッと笑う。
「これは推測だけど。多分、魔法も使えるんじゃないのかな？」
「あー、そういう事かぁ。じゃあ、このグリモエステルスがあれば魔法が使える」
そう言うとカルネアは頷いた。
「これで話を先に進めるわね」
「話……って、あーそうだった！ 探求者……」
「忘れてたみたいね。仕方ない、まぁいいわ。じゃあ、何をするのか説明します」
そう言うとカルネアは、エルにどんな情報を送って欲しいのか説明し始める。
「……世界のあらゆる遺産や知識、理などを調べる。それをカルネアさんに、教えればいいのかぁ。だけど、どうやって？」
「情報を送る方法は……」
そう言いながらカルネアは、何も書かれていない長方形のプレートとペンのような紫の棒をエルに渡した。
エルはそれを受け取りみる。
「その魔法のペンで、プレートに書いて送って欲しいのよ。送り方は、プレートに私の名前を書いて魔力を注ぐだけ。そうすれば、私が持っているプレートに内容が転送されてくるわ」
「なるほど……便利だな」
「それと、その情報を手に入れるために【ダグル迷宮】を目指して欲しいの」
それを聞きエルは首を傾げた。
「それって、どこにあるんだ？」
「遥か南のネルオン大陸よ。ここからだと、半年で着けるかどうかね」
「……そんなに遠いのかぁ。でもそんだけ距離があれば、その間……俺の探したいヤツらがみつかるかもしれない」
そう言いエルは、視線を遠くに向ける。
「それと送金方法は、私名義で金品預かり場に預けておいてね」
「どうやって、預ければいいんだ？」
「そうだったわね。これを渡しておかなきゃ」
カルネアは鞄から自分のカードを取り出して、エルに渡した。
「これってなんですか？」
「それをみせると、引き出したり預けたりできるのよ。道具や装備品などもね」
「凄いですね。じゃあここから引き出しても、いいって事ですか？」
そう問われカルネアは、ムッとした表情で首を横に振る。
「駄目に決まってるでしょ！ それに預ける場合は必要ないけど。引き出す場合は、あらかじめ登録しておいた暗号を紙に書いて受付にみせなきゃならないのよ」
「そうなんですね……分かりました。あとで自分のも作っておきます」
そう言うとエルは、カルネアから預かったカードとプレートと魔法のペンを鞄にしまった。
その後エルは、カルネアから地図と色々なアドバイスをもらう。
話を終えるとエルは、カルネアに別れの挨拶をしたあと古魔製品店から外にでる。
そしてエルは町を出て、ダグル迷宮があるネルオン大陸のダバイの町を目指し歩き出した。
ここからエルの冒険は始まり、物語の幕が開く――
