ここはギルドマスターの書斎。
 ソファに座りカルオンスとシルフィアは話をしていた。

 そう、あれからカルオンスはククルに言いシルフィアを連れてこさせる。
 ククルはカルオンスに言われて、丁度ギルドの外に居たシルフィアに声をかけた。
 そしてシルフィアは、ククルに言われギルドマスターの書斎へ向かう。

 現在シルフィアは、カルオンスをみている。

 「まさかカルオンスが、このギルドのマスターだったなんてね」
 「ああ、シルフィアがこの町に来てたことは知っていたが……声をかけない方がいいかと思った」
 「そうなのね。それで、私に用って?」

 そうシルフィアに言われカルオンスは、真剣な表情になった。

 「単刀直入に聞く……エル・ラルギエのことだ」
 「まさか今日、私たちのあとをつけていたのってカルオンスなの?」

 そう聞かれカルオンスは首を横に振る。

 「いや、違う。だが、どういう事だ?」
 「そうか……じゃあ、誰が……」
 「なぜあとをつけられたのか分からないのか?」

 そう問われシルフィアは、考えたあと口を開いた。

 「その前に、聞きたいんだけど。この町にバッドスコーピオンは来てるのかな?」
 「フッ、そのことか。ああ……来ている」
 「そうなのね。じゃあ、勿論セルギガも……」

 そう言われカルオンスは、コクリと頷く。

 「当然、来ている。……シルフィア、何が言いたい?」
 「私たち……いいえ、エルをつけてたのはセルギガかもしれないわ」
 「どういう事だ? セルギガが、なんでエルを……」

 シルフィアはそう聞かれ話せる範囲で伝える。

 「……やはりエルは、エルムスとマルセの子供か。だが、なぜマルセはエルの存在を手紙に書かなかった?」
 「私の手紙にも、エルのことは書かれていなかったわ。だからこの町で偶然、知り合って……二人の子供だって分かった時は驚いたのよ」
 「そうなると……昔の仲間に出した手紙には、全て同じ内容の手紙を出したってことだな」

 そう言いカルオンスは、どういう事だと思い考え込んだ。

 「それとブブガス村は……ううん、マルセが誰かに殺されて……」
 「村の者たちも、殺されたらしいな。それと村も焼けて、なくなっていたと聞いている」
 「それ誰に聞いたの?」

 シルフィアはそう言うと身を乗り出した。

 「セルギガからだ。アイツがブブガス村に向かった時には、既に遅かったと言っていた」
 「……エルが話してくれたことと、かなり違うわね。エルは、村の入口で数名の冒険者とすれ違ったって言ってたの。その中に顔に傷がある男が居たとも、ね」
 「待て……その顔に傷がある男って」

 そうカルオンスが言うとシルフィアは、コクッと頷く。

 「思いたくなかったけど……その話を聞いて、間違いないって」
 「ああ……エルが云う事が本当ならな」

 そう言い二人は、俯き頭を抱える。
 そしてその後も、シルフィアとカルオンスは話をしていたのだった。