(俺が魔剣バスターへルギアの正当な権利者だった。それで今は別のヤツが……って、もしかして村を襲った連中の一人か?)
 ”さあ……どうだろうな。それは、知っていても教えることができない。それに、これは君が解決しなきゃいけないことだ”
 (そうか、そうだな……そうするよ)

 そう言いエルは、鋭い眼光で一点をみつめた。
 それをみたシルフィアとログスとララファは、ゾクッと身を震わせる。

 (エル……さっきも言ったけど、私たちが居るからね。だから、頼って)

 そうシルフィアが言うとログスとララファも同じ言葉をエルに伝えた。

 (三人共、ありがとう。そうだな……なるべくそうする)
 ”少しは、いいようだな”
 (ああ、グリモエステルス……前よりはいいかもな)

 そう言いエルは苦笑する。

 ”じゃあ儂は、再び陰ながらみてるよ”

 グリモエステルスはそう言い、三人を繋いでいた意識を切り離した。

 「さてと、急いで依頼を決めないとな」
 「エル、大丈夫?」
 「あーシルフィア、うん……すぐには無理かもだけど。いつまでも、考えていたって仕方ないしな」

 そう言いエルは強がる。

 「そうね……今は、ログスとララファのお兄さんを探す方が先」
 「ごめん……ありがとう、エルにシルフィアさん」
 「ありがとう……アタシも強くなるね」

 そうララファは目を潤ませエルとシルフィアをみた。
 その後エル達は、依頼書をみながら話し合う。


 ――場所は医療施設に移る――

 ここはラクドサスが運ばれた医療施設にある救護室だ。
 あれからラクドサスは、ベッドの上で目覚める。
 そして寝ながら、色々と思考を巡らせていた。

 (この俺が……負けただと。あり得ない……。だが、ここで寝てるってことは認めるしかないか。んー……ありゃ相当、鍛錬している。どんな環境で育って来たんだ?)

 そう考え瞼を閉じる。

 (俺は今まで、こんな負け方をしたことがない。こんな気持ちいい負け方はな)

 ニヤッと笑みを浮かべると目を見開いた。

 (そういえば、ギルドにいたな。依頼を探すためだろうが……恐らく明日、か。ん? 確かログスとララファは、兄貴を探したいって言っていた。そうなると地下二階層……)

 そう思い上体を起こし真剣な表情になる。

 「面白そうだ。だが、一人じゃ依頼を受けられんな……キキョウを連れていくか。アイツは、ブルーストーンだから二人でも十分あの階の依頼を受けられる」

 そう言うとラクドサスは、ヒョイっとベッドから飛び降りた。その後、救護室を出る。


 ――場面は戻り、ミライゼルギルド商会の建物内――

 エル達は依頼書をみながら、意見を出し合っていた。

 「……じゃあ、この依頼でいいんだな?」
 「エル、そうね。他の依頼も同じような内容だけど……それだと期限がないから」

 それを聞きエルは、依頼書の内容を見直す。

 「地下二階層の未開拓地図および、トラップの撤去。それと安全性の確認に、出現する魔物等の記載だな。……確かに期限がない」
 「これなら兄貴を探すのに、依頼の期日を気にすることがない」

 そうログスが言うとエルとシルフィアとララファは頷いた。

 「じゃあ、この依頼を受理してもらわないとな」

 そう言いエルは立ち上がり受付カウンターの方へ向かう。
 そのあとを三人は追った。