エルとシルフィアは周囲を警戒しながら、暗い通路を先へ先へと歩みを進める。

 「中々、出口がみつからない」
 「エル、そうだね。本当に出口があるのかな……」

 そう言いシルフィアは、不安になってきた。

 「あるとは思う。空気の流れが、徐々にだけど変わって来てる」
 「空気の流れ? そういえば昔、エルムスも同じようなこと言ってたけど」
 「父さんが……そうか……」

 そう言うとエルは、つらそうな表情になる。

 「あ、ごめん。思い出させちゃったみたいだね」
 「あ、いや……大丈夫。ただ昔、父さんと洞窟に行ったことを思い出した。その時に、色々教えてもらったなぁって……」
 「そうなんだね。その時に、空気の流れとか分かる方法を教わったの?」

 そう問われエルは、言葉に詰まった。そう空気の流れや気配など分かるようになったのは、つい最近でありサリドデの町を出てからである。
 そのためどう答えていいか分からなくなった。

 「えっと……そうだな。教わったけど……できるようになったのは最近なんだ」

 ――まあ、嘘は言っていない。

 「そっかぁ。じゃあ、ここにくるまでの間に……色々あったんだね」
 「ああ……うん、そうだな。それよりも、微かだけど……この先から風が吹いて来てる」
 「じゃあ、出口が近いってこと?」

 そう問われエルは首を横に振る。

 「近いかは分からないけど……この先に出口があるのは間違いない」
 「それでも出口がある」
 「うん、とりあえず行ってみよう」

 それを聞きシルフィアは、コクッと頷く。
 その後、二人は更に先に進んだ。

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 ここは地下第二階層の休憩施設。
 あれからログスとララファは、アイテム等の仕分けや本などを読んでいた。
 だが、二人は不安になってくる。

 「なぁ、ララファ。エルとシルフィアさん遅いな」
 「そうだね……大丈夫かな」
 「心配ないと思うけど……何かあったのかな?」

 そう言うとログスは、エルとシルフィアが向かった方角をみた。

 「気になるね。でも、ここを離れられないよ。私たちが、ここを出て探しに行ったら……」
 「うん、もしエルとシルフィアさんがここに来たら……すれ違いになる」
 「それだけじゃない。逆に心配かけちゃう……ううん、迷惑かける」

 そう言いララファは、何もできない自分が嫌になってくる。
 それを聞いたログスも悔しい表情になった。

 「俺たちじゃ何もできない。悔しいけど……待つしかないよな」
 「そうだね。でもどうする? やることがなくなっちゃったけど」
 「そう……だな。今やれることってなんだろう?」

 そう言いログスは、どうしようかと考え始める。
 そして二人はその後、何をして待てばいいのかと話し合っていたのだった。