ここはサリドデの町。あれからエルは、しばらく歩き町に辿り着く。その後、紙に書いてある物を全て買い終えると町の中を歩いていた。

(頼まれた物は全て買った。あとは、)

 そう思いながら歩いていると、目の前に見慣れない店が建っている。それに気づきエルは、その建物の前で立ちどまった。

「この店、前もここにあったかな?」

 そう思い建物を見回す。

「なんの店だろう? 【古魔製品店】って書いてあるけど。んー、聞いたことないなぁ」

 ここで考えてても分からないと思い店の中に入った。


 店の中に入るなり周囲を見渡してみる。中は古ぼけた品々が至る所に飾ってあった。

「凄い、これってみんな昔の物だよな。だけど一部、新しい物もある」

 そう思いながら店内を歩く。すると古本が飾られている棚の前で立ちどまる。

「これって魔導書だよな」

 その魔導書が気になり触ろうとした。

「それに触らない方がいいわよ」

 その声を聞き振り返る。するとそこには銀髪で綺麗なハイエルフの女性が立っていた。

「あ、すみません。でも、なんで触っちゃ駄目なんですか?」
「それはね。その本は普通の魔導書じゃないからよ」
「普通の魔導書じゃない、って?」

 エルは魔導書のことが気になりそう問いかける。

「ええ、その魔導書は【グリモエステルス】と言って。人を選ぶのよ。だから余程、覚悟がないと危険なの」
「危険……そうなんですね。気になるけど、やめときます」
「フフフ、それが懸命ね。それはそうと貴方、探求者に興味ないかしら」

 そう言われエルは首を傾げた。そう、なんでそう聞いたのか、その探求者とはなんなのか分からなかったからである。

「探求者ってなんですか?」
「そうか……知らないのね。探求者とは、あらゆる物を探し求める者のことをいうのよ」
「冒険者のようなものかな?」

 そう問われハイエルフの女性は、首を横に振った。

「いいえ、違うわ。似てはいるけど、ね」
「そうなんですね。探求者か、気になるけど……」
「もし興味があるなら詳しく教えるけど、どうする?」

 そう言われエルは悩んだ。

(どうしよう。興味あるけど……。んー、話を聞くだけならいいかな)

 そう思いエルは探求者について詳しく教えてもらう。

「……この世界のあらゆる物を探し調べあるく、かぁ。面白そうだけど、どうしよう」
「もし迷ってるなら、今すぐ決めなくてもいいのよ」
「はい、家に戻って良く考えてきます」

 そう言いエルは店から出ようとする。

「ちょっと待って! 名前、聞いてもいいかな? 因みに私は、カルネア・ハーブル」

 そう聞かれエルは不思議に思った。

「名前、ですか……エル・ラルギエです」

 だが、名前ぐらいならいいだろうと思い教える。

「エル、かぁ。クスッ、いい名前ね」
「ありがとうございます。そろそろ家に戻らないといけないので」

 そう言うとエルは、カルネアに背を向け店の外に出た。
 それを確認するとカルネアは、ジーッと店の扉をみる。

「エルか。……本当は、家に戻らない方がいいんだけどなぁ」

 そう言いカルネアは、店の奥の部屋へと入っていった。