センター長の業務は新人研修から機器トラブルまで多岐に渡る。しかし天文学的な作業量を随時かつ横断するなど不可能。当然ながら中間管理職が要る。

「今度は何なの?」

回転灯が山吹翠を照らす。オークを諫めた後、遅いランチを温め直した矢先にこれだ。「兎に角来てください~」

甲高い涙声。

母子世帯向の相談窓口は五時から遅番の男性スタッフが詰める。前職はもめ事処理に長けた冒険者組合や酒場の面々だ。栗里栗鼠《くりさとりす》はなぜ残業しているのだろう。

壁のバスタードソードを外して一目散に非常階段を下りる。フロアは阿鼻叫喚地獄だった。

泣きじゃくる栗鼠を落ち着かせて現任者から事情聴取する。

「だって終んないんですよぅ」

聞けば未決済の書類が崩壊したという。「フロア長はどうしたの。トイレ?」

男子社員に捜索させ本人の宝珠にも呪符を送る。

「聖十戒《せくろす》さんなら帰りましたよ。ほれ直帰って」

あろうことか白板のインキが剝げかかっている。翠が真っ赤になった。

「ちょちょ直帰ですってぇ?」