柚花が家を出て徒歩で10分ほど歩いたところにある学校。

滋賀県立姫虎高校・・・柚花が通う高校である。

地元の進学校であり、運動部や文化部など部活動が盛んな学校である。女子生徒は華やかで可愛い子が多いという意味でも有名な学校でもある。

また校則も緩く、髪を染めるのもバイトもOK、制服のスカートの丈も短くしても何も言われないという。

柚花があえて県内トップの学校では無く姫虎(ひめとら)高校を選んだのも校則が緩いから髪染めたり出来るからである。




さて柚花(ゆずか)が学校に着いたのは7時30分前であるが既に校門は開いており、校内のグラウンドから運動部が朝練している声が聞こえてくる。

サッカー部や陸上部、野球部がグラウンドで練習をしており、柚花は毎朝この練習の風景を見ると「平和だなぁ」と感じる。

そんな柚花は学校に行くとすぐさま部室に行く。

柚花は活発で明るそうに見えるが書道部である。

毎朝、朝早くに登校して書道部の部室に行って着物に着替えて書道部として活動している。

書道部に朝練なんていらないと思う人もいるだろう・・・。

しかし、柚花はほぼ毎日学校から帰ると喫茶店の仕事をするからまともに書道部として活動が出来ないのである。

授業が5時に終わって、家の喫茶店の手伝いが6時からだから書道部としてまともに活動出来るのは30分ほど。

姫虎高校の書道部は本格的で着物を着て活動をしているのだが、着物に着替えるのだけでも時間が掛かる。

そのため部員のみんなとまともに活動をするのは休日の土日だけである。なので柚花は顧問の先生に頼んで書道部の朝練を認めてもらっている。


書道部の朝練といってもいつもの練習メニューを袴や着物を着てするだけである。有名な書道家の人の書き方を真似て書いたり、自分なりに書いてみたりである。

文化部ぽくない柚花ではあるが中学の時も書道部に所属しており、書道のコンクールで文科学大臣賞を受賞して全国の中学・高校生の中で1位を取ったこともある、その道の有名人である。

それだけの実力があるのだから、のほほんと書道部の活動をしているわけではない。いつも命を懸け魂を書道に捧げているのだ。