次の日、朝の6時30分。柚花(ゆずか)は目が覚めた。

大きなアクビをしてベッドからゆっくりと起き上がる。

「ん・・・。あっ・・・。」

よく見ると柚花はパジャマを着ていない。昨日夜のパトロールから帰って、そのまま忍装束を着たまま寝ていたのであった。

「あはは・・・。昨日眠たかったから、着替えずに寝ちゃってたよ・・・。」

起き上がった柚花は軽くストレッチをして学校の制服に着替える。

「よいしょっと。メッセ、ご飯食べに下りよ?」

制服に着替えた柚花は鳩のメッセンジャーを連れて1階に下りようとしたが・・・。

「・・・グガァ。スピー・・・。」

メッセンジャーは鳩のくせに人間のおっさんのようなイビキをかいて寝ていた。

「んもう!鳩のくせにあたしのお父さんみたいなイビキかいちゃって!もういいや、放っとこ。」

放っておいてもメッセンジャーなら勝手にどこにでも行くし大丈夫。そんな事より柚花は腹ペコである。


階段を下りて1階に行くと・・・その場は喫茶店のフロアであった。

柚花の家はおじいちゃんが喫茶店を営んでおり、3階建ての家の1階が喫茶店のフロアである。

「おじいちゃんおはよー!」

柚花が明るく元気よく挨拶をするとおじいちゃんは「おはよう」と素っ気なく返事を返した。

柚花の祖父・・・先々代の忍者の棟梁であるが、物凄く威圧感のある顔をしており、とてもじゃないが客商売に向いている感じはしない。

それでも喫茶店のマスターになりたくて若い頃に店を開いて45年間なんとか潰れずにやってこれた。

「おじいちゃんモーニングあるー?」

そう言って柚花がカウンター席に座るとおじいちゃんは何も言わずにパンと目玉焼きとサラダ、コーヒーを出した。

これはこの店のモーニングメニューでもある。

フロアにも何人かお客さんがいるけど、みんなこのモーニングを目当てに食べに来ている。

値段は400円である。値段の割にボリュームのある人気メニューである。


その人気メニューを柚花は食べて、午前7時10分。

家を出て学校へと行く。

「行ってきまーす♪」

元気に家を出る柚花におじいちゃんは素っ気なく「いってらっしゃい」と小さい声で言った。