「う、奪い返すってどうやって・・・?」

4人は柚花の言うことに疑問に感じる。実行犯の4人だってロクに知らない人なのだから柚花が知るわけもない。

「やり方は簡単なんだけど・・・えいっ!」

バコン!という派手な音が響く。

するとお兄さん以外の3人はその場で倒れてしまった。

柚花がお兄さん以外の3人の頭をぶん殴って気絶させたのだ。

「さてと・・・この人たちには明日の朝まで寝てもらうよ。それと今日の記憶も消させてもらう。」

柚花は倒れた3人の頭の更に殴る。

バコン、ボコン、ゴチン・・・という音が静かな暗闇の中に響き渡る。

「さてと・・・本当ならお兄さんの記憶も消したほうが良いんだけど。馬鹿なお兄さんは記憶消したら、また闇バイトに手を出しそうだから記憶は消さない。」

これは柚花の優しさでもある。お兄さんほどの愚か者なら記憶を消したら再び闇バイトに手を出して犯罪に手を染めるだろう。

だから敢えて記憶を残させておく。

本当は柚花が忍者なのがバレたら記憶を消させるのが良いのだが・・・柚花はお馬鹿なお兄さんが再び闇バイトに手を出すを防ぎたかったのだ。

しかしお兄さんは柚花が忍者である事にいまだ戸惑っている。

「あ、あの・・・君って本当に俺がいつも会ってる喫茶店の柚花ちゃん?なんでこんな事を・・・。」

「それはあたしが忍者だからだよ。私は望月柚花。現代に残っている数少ない忍者の棟梁で平和な世の中にする為に陰ながら活動しているの。」

お兄さんはその場に座り込む・・・その姿はなんだか力が抜けたみたいであった。

「ははは・・・柚花ちゃんの顔を見て少し緊張が取れた気がする。俺さぁ馬鹿だからこんな怪しい仕事しか出来ないんだよ・・・。でも今まで人を殴ったり殺したり沈めた仕事なんてなかったんだよ。だから今回も大丈夫って思ったんだ・・・。」

お兄さんは座り込んでうつむき気味に喋る。

「きっとそれが目的だったんだろうね。初めは簡単な仕事を何回かやらせて、回数を重ね本当にヤバい仕事をやらせるっていうね。恐らく闇バイトの指示役は半グレ、暴力団、犯罪組織と繋がっていると見るべきだね。」

冷静に考える柚花、そして立っている柚花の傍で座り込むお兄さん。

お兄さん、そこから柚花を見たらパンツが見れるのだけど、そんな元気もない様子である。

しかしいつまでも元気にない状態では困る。お兄さんにはこれから教えてもらう事があるのだから。

「お兄さん!いい加減立ちなよ!早くしないと指示役のなんとかさんが怒っちゃうよ?」

「えっ?ああ・・・」

その時、柚花はふと思い付いた。

「いや、ちょっと待って・・・。むしろ指示役の人を怒らせよう。怒らせてこっちに越させよう。」

「ええっ!?指示役の岡留さんめっちゃ怖い人なんだよ?任務達成できてないのに会ったら俺殺されちゃうよ!」

びぇ〜んとお兄さんは柚花に泣き付き、柚花はそんなお兄さんの頭を優しく撫でてあげる。

「安心して!あたしがいるから怖くな〜い怖くな〜いよ!」