慌ただしい放課後の後、帰宅すると・・・そこにはめちゃくちゃ客がいた。

柚花の家の喫茶店は家の一階で店を経営しているから家の玄関=店の出入り口である。それ故に毎回家に帰るとウンザリするほど客がいて精神的に参ってしまう。

「柚花帰ったのか。すぐに着替えてワシと代わりなさい。」

柚花のお爺ちゃんも流石にこの人数の客をワンオペするのは大変そうだ。早く代わってあげないと。

「うん、分かったからちょっと待ってて。」

すぐに2階にある部屋に行って着替える柚花。普通にジーパンにTシャツを着てその上にエプロンをするだけ。



「おうおう柚花。今日も店番かよ。帰って早々大変だな!」

部屋にいた人の言葉を喋る鳩のメッセンジャーが柚花の頭の上に乗る。

「メッセ!頭の上に乗らない!髪型が崩れちゃうよ。」

飲食店は身だしなみが大事。頭に乗っかっているメッセンジャーを手で追い払って柚花は部屋にある大きな鏡の前で髪を整える。

「うん、バッチリ。」

早速、お爺ちゃんと交代しようと一階に降りようとする柚花だがメッセンジャーがそれを阻止させようと扉の前でパタパタと飛んでいる。

「ちょっとメッセ。邪魔だよ。」

「うるせぇ。今日俺暇なんだよ。昼間っから外に出てもやる事なくてなぁ。だから遊んでくれ柚花!暇すぎてストレスで死んじまう!」

飼い主が遊んでくれないと暇でストレスになるというのは猫や犬だけではない。人の言葉を喋る鳩だってストレスになる。

「もぉ〜。店番するから無理だって。そんなに暇ならコレでも読んでたら?」

すると柚花は本棚から漫画を取り出す。

「この漫画でも読んで終わるの待って。夜は一緒に任務行こうね!」

柚花が漫画を机の上に置くとメッセンジャーはすぐに本を読もうとする。

クチバシを使って器用にページを捲っている。

「分かったよ。じゃあさっさと店番行って来い。」

なんだか偉そうなメッセンジャー。しかし柚花はそんな事気にせず階段で一階に向かう。