なし崩し的に番組関係者となった智恵理。下田噴火山との相性も認められ曜日のレギュラーに抜擢された。視聴率も上々で乙野ひびきを加えたコーナー設置が決まった。
準教授は噴火山の仮説をもとに音響心理学の観点からぶんちゃっちゃにアプローチした。
等ラウドネス曲線というものがある。1キロヘルツの音を基準としてピッチの高低によって体感する音量がどれだけ乖離しているかグラフ化してある。
両極端な音階は聞きづらいということだ。
次にマスキング効果の存在が原因にあげられる。簡単に言うと声のデカい者が勝ち、灯台下暗しであるということだ。
番組では毎週いろいろな場所に測定機器を運んだりオーディオ機器メーカーのスタジオで実験したり多角度から検証した。1クールの終わりに結論が出た。
先述した二つの要因と気温の関係から鳴動の聞こえ方に法則性が見つかった。
それだけでは理論として弱いため音響心理学以外の専門家に第三者視点の検証を依頼した。その途中で意外なアイテムが役立った。母親が遺したあの包だ。
中身は歌詞カードや楽譜そして台本だった。細かいメモ書きがしてある。
智恵理の母親は天木峠のご当地アイドルだった。モーニングブギ現象について現役時代から気づいていたものの自覚症状だと考えていたようだ。耳鼻科や心療内科の診察券が入ってた。それが原因で歌手を引退する羽目になったものの、病気を克服して続投しようと本人なりに頑張っていたようだ。
「この音はぶん!」
「ふぇると来たらハーイ!」
「吞むとチャチャになる」等々。
留意点が走り書きしてあった。
母親はそこで力尽き芸能界を引退することになるがメモは大いに役立った。
「それでうちは音楽厳禁だったんだ」
智恵理は過剰な配慮に涙を浮かべた。
母親の独自研究は乙野研究室を通じて共有され解明に拍車をかけた。
「カクテルパーティー効果における選択的聴取が波動関数の収縮に貢献している可能性があります」
量子心理学者の助言を得て研究は第二段階へ進む。
●バーチャル新幹線ツアー
数か月後、新幹線に乗込む司郎と下田噴火山の姿があった。
目的地は独立行政法人鉄道研究所。
コーナーが科学番組に昇格し「青少年に観てもらいたいコンテンツ」として文科省か助成金もついた。それで700系新幹線をベースにシミュレーターを新造した。実験車を走らせる予定だった。しかしダイヤに余裕がなかった。
それでも研究チームは東海道線に近い仮想環境を作り上げた
「大自然の一大ミステリーを解明しましょう!!」と叫び人々は握手した。
新幹線で向かうのはもちろん、富士山であった。「もうそろそろってかんじでしたね。ちょうど今くらいの時期ですね」などと二人談笑していると、車内放送が流れた。次は富士山です、という音声が流れてまもなく ドゴォーン! と大きな衝撃とともに新幹線が宙に浮く 富士山の大爆発である 一瞬にして富士山周辺の気温が上昇し水蒸気爆発を起こしたのだった。富士山が噴火すると日本列島にも影響が及ぶことが多いしかし、今回の場合それは起こらなかった。というのも今回は「名噴火」ではなく 単なる 小規模な「小噴火」だったためである。そのため東日本への影響はほとんどなかった。
東京から「ぶんちゃっちゃ♪」、千葉県で「はいー!」、さらに東京で「はいー!」、といった具合でZOOMやツイキャスが配信している。有名な生主が若干名参加していてその中にウッドベースを抱えた智恵理がいた。
下田噴火山が「東京と千葉で下田三つの名噴火が起こり、世界遺産(世界文化遺産)となる3つの「名火山」の歴史を生主たちにわかりやすく紹介してもらいます。」と振る。智恵理は「ふぇる」の音をフェルマータと解釈しCのコードでフィルインをつなぐ。アプローチフレーズは同じベースラインで2小節つなぐ。「はい、はい、ふぇるふぇる」そうつぶやく智恵理。
その後彼女はウッドベースで「はいー」と鳴き、最後に「ぶんちゃん!」と言った。スタジオから拍手が巻き起こる。スタジオのMCが「え、今、『ぶんちゃん!』と言いましたけど、これはどういう意味でしょうか?」と質問した。智恵理はよくわからないという顔をして答えに窮していたが
「多分、『ぶんちゃん』のことだと思います」と噴火山に助けを求める。
「なるほど。どういう意味かわかりましたでしょうか?」とMCに問われた下田火山だが、「そうですねえ。あの、実はあの、僕、昔ドラムやってまして、『ぶんちゃん!』と『ぶんちゃ』という音には覚えがあるんです」と自信満々で発言した。スタジオでは驚きの声が上がる。確かに『ブン』や『ふんちゃ』、『ブンチャ』という呼び方も確かに存在する。
その後スタジオで、噴火山が過去のバンドメンバーから聞いていたエピソードを振り返った
「僕のバンドメンバーは全員下の名前がブンブンブンとブンチャンという奴ばかりでして。『お前、あだ名ブンブンだろ』と言うと『違うブンブンだ』と言って『フンチャー』と言っていたそうです」
と、自慢げに話すのを見てスタジオの観客がどっと沸いた。
噴火山は続けて「『ふぁれ』というのは何でしょうか?」と聞き返すと「さあ、さあ、さあ。あの、僕はちょっと思い出せませんがね、でもまあ何か意味があるんじゃないでしょうかね」と少し焦りながら答えるのが可笑しかった。
準教授は噴火山の仮説をもとに音響心理学の観点からぶんちゃっちゃにアプローチした。
等ラウドネス曲線というものがある。1キロヘルツの音を基準としてピッチの高低によって体感する音量がどれだけ乖離しているかグラフ化してある。
両極端な音階は聞きづらいということだ。
次にマスキング効果の存在が原因にあげられる。簡単に言うと声のデカい者が勝ち、灯台下暗しであるということだ。
番組では毎週いろいろな場所に測定機器を運んだりオーディオ機器メーカーのスタジオで実験したり多角度から検証した。1クールの終わりに結論が出た。
先述した二つの要因と気温の関係から鳴動の聞こえ方に法則性が見つかった。
それだけでは理論として弱いため音響心理学以外の専門家に第三者視点の検証を依頼した。その途中で意外なアイテムが役立った。母親が遺したあの包だ。
中身は歌詞カードや楽譜そして台本だった。細かいメモ書きがしてある。
智恵理の母親は天木峠のご当地アイドルだった。モーニングブギ現象について現役時代から気づいていたものの自覚症状だと考えていたようだ。耳鼻科や心療内科の診察券が入ってた。それが原因で歌手を引退する羽目になったものの、病気を克服して続投しようと本人なりに頑張っていたようだ。
「この音はぶん!」
「ふぇると来たらハーイ!」
「吞むとチャチャになる」等々。
留意点が走り書きしてあった。
母親はそこで力尽き芸能界を引退することになるがメモは大いに役立った。
「それでうちは音楽厳禁だったんだ」
智恵理は過剰な配慮に涙を浮かべた。
母親の独自研究は乙野研究室を通じて共有され解明に拍車をかけた。
「カクテルパーティー効果における選択的聴取が波動関数の収縮に貢献している可能性があります」
量子心理学者の助言を得て研究は第二段階へ進む。
●バーチャル新幹線ツアー
数か月後、新幹線に乗込む司郎と下田噴火山の姿があった。
目的地は独立行政法人鉄道研究所。
コーナーが科学番組に昇格し「青少年に観てもらいたいコンテンツ」として文科省か助成金もついた。それで700系新幹線をベースにシミュレーターを新造した。実験車を走らせる予定だった。しかしダイヤに余裕がなかった。
それでも研究チームは東海道線に近い仮想環境を作り上げた
「大自然の一大ミステリーを解明しましょう!!」と叫び人々は握手した。
新幹線で向かうのはもちろん、富士山であった。「もうそろそろってかんじでしたね。ちょうど今くらいの時期ですね」などと二人談笑していると、車内放送が流れた。次は富士山です、という音声が流れてまもなく ドゴォーン! と大きな衝撃とともに新幹線が宙に浮く 富士山の大爆発である 一瞬にして富士山周辺の気温が上昇し水蒸気爆発を起こしたのだった。富士山が噴火すると日本列島にも影響が及ぶことが多いしかし、今回の場合それは起こらなかった。というのも今回は「名噴火」ではなく 単なる 小規模な「小噴火」だったためである。そのため東日本への影響はほとんどなかった。
東京から「ぶんちゃっちゃ♪」、千葉県で「はいー!」、さらに東京で「はいー!」、といった具合でZOOMやツイキャスが配信している。有名な生主が若干名参加していてその中にウッドベースを抱えた智恵理がいた。
下田噴火山が「東京と千葉で下田三つの名噴火が起こり、世界遺産(世界文化遺産)となる3つの「名火山」の歴史を生主たちにわかりやすく紹介してもらいます。」と振る。智恵理は「ふぇる」の音をフェルマータと解釈しCのコードでフィルインをつなぐ。アプローチフレーズは同じベースラインで2小節つなぐ。「はい、はい、ふぇるふぇる」そうつぶやく智恵理。
その後彼女はウッドベースで「はいー」と鳴き、最後に「ぶんちゃん!」と言った。スタジオから拍手が巻き起こる。スタジオのMCが「え、今、『ぶんちゃん!』と言いましたけど、これはどういう意味でしょうか?」と質問した。智恵理はよくわからないという顔をして答えに窮していたが
「多分、『ぶんちゃん』のことだと思います」と噴火山に助けを求める。
「なるほど。どういう意味かわかりましたでしょうか?」とMCに問われた下田火山だが、「そうですねえ。あの、実はあの、僕、昔ドラムやってまして、『ぶんちゃん!』と『ぶんちゃ』という音には覚えがあるんです」と自信満々で発言した。スタジオでは驚きの声が上がる。確かに『ブン』や『ふんちゃ』、『ブンチャ』という呼び方も確かに存在する。
その後スタジオで、噴火山が過去のバンドメンバーから聞いていたエピソードを振り返った
「僕のバンドメンバーは全員下の名前がブンブンブンとブンチャンという奴ばかりでして。『お前、あだ名ブンブンだろ』と言うと『違うブンブンだ』と言って『フンチャー』と言っていたそうです」
と、自慢げに話すのを見てスタジオの観客がどっと沸いた。
噴火山は続けて「『ふぁれ』というのは何でしょうか?」と聞き返すと「さあ、さあ、さあ。あの、僕はちょっと思い出せませんがね、でもまあ何か意味があるんじゃないでしょうかね」と少し焦りながら答えるのが可笑しかった。