「初優!おまたせ。待った?」
「るい!ううん、全然」
そんなことを思いながらぼーっとしていると、るいが来て、笑顔で名前を呼んでくれた。
好きな人に名前を呼ばれて、振り向く。
「なんか嬉しそう。いいことあった?」
「うん。ちょっとね」
るいは私を見ると、微笑みながらそう言った。勘がいいからすぐに私の小さなことに気づいてくれる。
「初優が嬉しいなら俺も嬉しい」
「急にどうしたのよ」
「嬉しそうな顔みてたらそう思ったの」
突然の言葉にふふっと笑ってしまう。
素直に思ったことを言ってくれる、るいのその感じが好き。
「それじゃあ行こうか」
「うん!」
2人寄り添って笑う。
るいがそっと私の右手をぎゅっと強く握りしめる。強くて優しいその握り方が大好き。るいの手が大好き。
私は今、幸せだ。
苦しいこともたくさんあったけど、それがあるからこそ今の自分がいる。
だから、君に抱いた恋心を記憶の中にそっとしまうよ。
ありがとう、大切な人。
またね。
【初優side 終わり】