こうなったそもそもの原因を思い起こせば、悔やまずにはいられない。



 事の発端は友達との雑談だった。



 噂好きの佐上雪芭、信憑性関係なく怪しい本ばかり読んでいる古村隼政ーーいつも通っていた小さな図書館での出来事だった。



 学ランのボタンを三つ開けた雪芭と、ボタン全開の隼政は食い入るように本を読んでいた。



 利用するのは主に歩たちだけで他の利用者はほとんどいない。そのせいか、この図書館の司書はひとりだけでほぼ成り立っていた。



 中学最後の学年だと言うのに、日常は何の変化もなかった。



 それがあたりまえで、一番幸せだって事を、この時は考えもしなかった。次の日はごく自然に、あたりまえにやってくるものなんだと信じて疑わなかった。



 誰ひとり。