テストが終わり、帰宅しようとする。そんな中一人の少年を見つけた。
俺の名前は、結城 南(ゆうき みなみ)。独りぼっちの高校1年生だ。
俺は昔からそうだ。友達なんていない。そしてできるとも思わない。周りと俺は、何もかもが違うんだ。「普通」になれない俺が友達なんてできるはずがない。それに友達ができたところで、また失ってしまうんだ。
中学校1年生の時、俺にはたった一人だけ、友達がいた。背が高くて、やさしくて、思いやりのある少年。彼の名を、源 碧(みなもと あおい)と言った。
「僕のことを、名前で呼んでくれたのは初めてだ。」
彼はよくそう言っていた。
しかし彼は、いじめに苦しみ、3年前に自殺した。俺はかけがえのない人を失った。
俺は人気のない駐輪場の中に一人寂しく立つ少年を目にする。いつもの俺ならスルーするのだが、今日の俺は違った。急に本能的にあの少年に話しかけようと思ったのだ。後にこれは、俺の今後を左右することになるのを、俺は知らなかった。
「初めまして、俺の名前は南。」
話しかけられたその少年は、ものすごく動揺していた。
「は、は、初めまして、ぼ、ぼ、僕の名前は叶人。」
「叶人か。よろしく。」
「よ、よろしくお願いします。」
これが俺たちの始まりだった。
だんだん話していくうちに、叶人と俺は、似たもの同士であることに気づき意気投合した。1ヶ月、2カ月、3ヶ月と月日が流れるたびに、俺たちは仲良くなっていった。
______
「こんなことあったよなー。叶人」
「そうだな。南」
「あの時、めちゃめちゃ緊張してたでしょ。」
「だって、南がいきなり話しかけてくるからー」
あたりが笑いに包まれる。
高校1年生から2年生に上がる前の春休み、公園で2人、思い出話で盛り上がる。
ああ、やっぱり友達っていいな。そう思っているのにな。
やっぱりまだ言えないや。過去のことと、自分の性別のこと。
実は、俺はトランスジェンダーだ。体は女性で心は男性。
言えないのには、理由がある。俺が過去の自分に囚われているからだ。
あの時、俺も性別のことでいじめられていた。俺がいじめられていたところを碧が庇った。そのせいで、碧もいじめられて、自殺してしまった。全部俺が悪い。それから、ひとに性別のことは言わないようにした。またいじめられるかもしれないし、大事な人を殺してしまうかもしれないから。
この時の俺は知らなかった。このことが、後の出来事につながるなんて。
俺の名前は、結城 南(ゆうき みなみ)。独りぼっちの高校1年生だ。
俺は昔からそうだ。友達なんていない。そしてできるとも思わない。周りと俺は、何もかもが違うんだ。「普通」になれない俺が友達なんてできるはずがない。それに友達ができたところで、また失ってしまうんだ。
中学校1年生の時、俺にはたった一人だけ、友達がいた。背が高くて、やさしくて、思いやりのある少年。彼の名を、源 碧(みなもと あおい)と言った。
「僕のことを、名前で呼んでくれたのは初めてだ。」
彼はよくそう言っていた。
しかし彼は、いじめに苦しみ、3年前に自殺した。俺はかけがえのない人を失った。
俺は人気のない駐輪場の中に一人寂しく立つ少年を目にする。いつもの俺ならスルーするのだが、今日の俺は違った。急に本能的にあの少年に話しかけようと思ったのだ。後にこれは、俺の今後を左右することになるのを、俺は知らなかった。
「初めまして、俺の名前は南。」
話しかけられたその少年は、ものすごく動揺していた。
「は、は、初めまして、ぼ、ぼ、僕の名前は叶人。」
「叶人か。よろしく。」
「よ、よろしくお願いします。」
これが俺たちの始まりだった。
だんだん話していくうちに、叶人と俺は、似たもの同士であることに気づき意気投合した。1ヶ月、2カ月、3ヶ月と月日が流れるたびに、俺たちは仲良くなっていった。
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「こんなことあったよなー。叶人」
「そうだな。南」
「あの時、めちゃめちゃ緊張してたでしょ。」
「だって、南がいきなり話しかけてくるからー」
あたりが笑いに包まれる。
高校1年生から2年生に上がる前の春休み、公園で2人、思い出話で盛り上がる。
ああ、やっぱり友達っていいな。そう思っているのにな。
やっぱりまだ言えないや。過去のことと、自分の性別のこと。
実は、俺はトランスジェンダーだ。体は女性で心は男性。
言えないのには、理由がある。俺が過去の自分に囚われているからだ。
あの時、俺も性別のことでいじめられていた。俺がいじめられていたところを碧が庇った。そのせいで、碧もいじめられて、自殺してしまった。全部俺が悪い。それから、ひとに性別のことは言わないようにした。またいじめられるかもしれないし、大事な人を殺してしまうかもしれないから。
この時の俺は知らなかった。このことが、後の出来事につながるなんて。