西の空がじんわりと色を帯びてくる。
 どこかでカラスの鳴く声が聞こえた。

 カーテンを閉めずにいたせいか、部屋はどこまでも寒い。
 スマホを持ったまま、動かなかったせいか、体中に痛みを感じた。

「サイテー」

 朝まで待っても、祐輔からの電話もメールも来なかった。
 いつもだったら寝落ちしてたって、ちゃんとメールの一本は来るというのに。

「来ないなら、待ってなければよかった」

 怒りとともに、涙がこみあげてくる。
 ああ、ヤダな。
 なんか惨めだ。なんで私ばっかり、こんな思いをしなきゃいけないのよ。

「本当に寝落ちしてたのかな」

 私はスマホから、彼の全てのSNSをチェックする。
 すると最終IN時間が、ほんの数時間前だということに気づいた。

「ふざけないでよ!」

 私には電話もメールもしないで、他の子には返事を返してたなんて。
 信じられない。
 ごめんじゃないし。
 他のコと遊びたいなら、こっちを清算してからにしてよね。

「頭きたし」

 私は自分の全部のSNSに彼のハンドルネームを上げつつ、彼女より他を優先するのならば必要ありません。
 そう書き込んだ。