信じられない。
 彼女とのデートより、ゲームのイベントが大事だなんて。
 しかも今彼がやってるゲームは、他の子とボイスチャットをしながらするもの。

 その他の子には、当然女も含まれている。
 それとなく、他の女の子とボイチャするのは嫌だって伝えても、ただのゲームだって言い張って聞いてはくれなかった。

 たかがゲーム。
 でも私との出会いもゲームだったのだから、心配になる気持ちだって分かってくれればいいのに。

「つらっ」

 大きくため息をつき、私は寝転んでいたベッドで寝がえりをうった。
 白く無機質な天井。
 いつもの自分の部屋のはずなのに、どこまでも広く感じた。

 嫌だな。いろんなことを考えすぎちゃう自分にも。

「はぁ」

 出てくるのはただため息ばかり。
 怒って切った私が悪いけど、彼がその日、電話を掛け直してくることはなかった。