──「腹いせに、俺の死に場所はここにするか」
そんな主人公の悲痛な言葉から始まる今作品。教師である夏目は、花壇の前にいる女子生徒の姿を目にする。
その背中に、既視感を覚えた夏目は、屋上を降りて地上に足をつけた。
そんな導入から始まったこの作品のラストは、まだまだ予想できない段階。だけど、この夏目の行動にこそ深くて切ない“意味”があった。
夏目の生徒である灰原莉子は、実はもうずっと前に車に轢かれて亡くなっていた。夏目が今まで目にしてきたのは、「幽霊」としての灰原だった。
「卒業を破り捨てた」というタイトルの意味に、きっと感嘆させられます。予想をいい意味でものすごい方向から裏切ってくる、予想外の泣けるラスト。
また恋愛ストーリーとして展開されなかったところが、本当に良かった。それにより夏目の成長をよりリアルに感じられた。
読後は、必ず感じる何かがあるはずです。ぜひ一読ください。