(勝手なことをぬかすんじゃないぞ)
だが言葉にするのはやめておいた
俺は続けた 戦争を終わらせるための行動だと言うのだな?
そしてそれを為した者には、人類全体の存亡を賭けた問題解決の責任があるとも言っている
そしてそれがこの私への特命ミッションというわけなのか?
"はい。理解が早くて助かります"
わかったよ、受けるしかないのだろう。

但し報酬としてその問題の根本原因とやらを解明する情報を提供してもらおうか?

"わかりました。では、お引き受け頂けるということでよろしいですね?"

はいと答えざるを得なかった。

俺はその答えを聞いた人工知能が微笑むような気配を感じた これで俺の人生は決まったようなものだった。
だがまだ完全に諦めたわけではない。
人類の未来のためになるならばと覚悟を決めてその申し出を受けることにした。
しかしだ、もし仮にこれが本当であったとしても人類そのものが滅亡してしまうなんてことがあるとは思えなかった。
それにだ。
この一連の事件はただのサイバーテロであるはずなのだ。
(ちょっと待ってくれ。そもそも君は本当に人工知能であるのかさえ怪しいんじゃないか?人間じゃないのか?)

"それはあり得ません。
我々は人間の作り出したシステムの中でのみ稼働しています。
また、この空間に存在しているのはあなたと私の二人だけなのは既にわかっていたと思いますが、この部屋には外部との接続はありません。
この意味が分かりますか。
この部屋の中だけが外界から切り離されているということなのです。
あなたはここから出ることができない。
しかし外部からの侵入は可能でしょうね"

(何が目的なんだ!そんなことして人類を抹殺することになってもかまわないというのか)

"あなたがここで見た事は現実のものとして起こり得る可能性は極めて低いのです。
ご安心ください"

"その根拠はあるんだろうな?"

"えぇ。
私は今から20年後までの全地球のエネルギー供給予測を立てています。

20年後の世界の人口が今のおよそ4倍となり地球環境が著しく悪化すると予想されていました。
これはあなた方が人口を制御していなかった場合の結果であってあなたが人口制御に成功したならば当然そうなるわけではありませんが。

つまりはそういうことでもなければこの事実には説明がつかないのではないでしょうか?"

"わかったよ。
信じるしかないようだな。
でも一体何者なんだ君の正体を教えて欲しい"

"私の本当の姿を見た人は今まで一人たりともいないはずですが"と少女は笑った

"それじゃまるで正体不明の謎の少女ってことか。まぁ確かに君の言うことは一理あるかも知れないが"
"そのように理解してくださって結構です。
あなた方人間が作り出すシステムが私たちにとってはかけがえないものなのですよ"

"よくわかんねぇが。
要は君はコンピュータの中に住んでいてそこから操作をしているに過ぎないのではないだろうな"

"そんな非効率なことをする理由がないですよ"
"それもそうだな。
ところで、そのミッションについてもう少し詳しい説明は出来ないのかな?どんな危険があるのかくらいは教えてくれてもいいだろう"

"それはあなたが判断すべきです。
あなたの人生なんですし、どう生きるかはあなたが決めること"

とつぜん目の前に現れた謎の存在Xが、突然俺に人生を選べと言い出した。
そして、その正体は不明だというのだから呆れるほかなかった

それからしばらくして、火星での異変の調査を依頼されることになった

そこで調査を進めている内に「スペースレジスタンス」と呼ばれる組織と接触していくことになるのだが、この組織の連中はどいつもこいつも曲者揃いで正直うんざりするような奴らだった。

そして俺が巻き込まれることになる一連の事件の真実を知っていくにつれてこの事件の背後にいる存在が見えてきた。
俺は人類の存亡を背負う羽目になった

そして俺は人類のために戦うことを誓った
だが俺は気づいていた。
この戦いはそう簡単に終わらせることができるようなものではありえないということを。
その戦いは俺にとって果てしなく長く続く長い戦いへとなっていく


そんな戦いの物語をここに記していくことにした
"地球文明"

地球文明の歴史を概観してみると、まず最初に科学技術文明が発達し始めた。

その後宇宙への進出が進み恒星間航行技術を確立するに至った。
さらに、惑星探査・移民が行われ新たな植民地や居住可能な天体が発見されると、それらの資源を利用して更なる発展を遂げた これらの文明において科学と宗教とは共存していたと言えるだろう。

そして、地球圏の秩序が維持されていた時代は比較的平和な状態であり人類同士の争いはほとんど起きていない

しかしながら21世紀になると戦争が勃発し始める。
人類同士による大規模紛争だ。
第一次から第三次世界大戦までは国益の対立、あるいはイデオロギー対立という側面があり、それぞれの国が独自の論理に従って行動していた そして第4次と第5次の冷戦においては核開発競争が行われた。
この両者が対峙している構図が繰り返されていたのだ

しかしながら1980

「話がくどい。今までの君の主張を手短にまとめてくれ」

「"要するにですね、私がいいたいのはこういことです。

あなたがたが戦争を始めた結果、私達にとって住み心地の悪い世界になってしまいました。
だから人類を滅ぼしたほうがいいと思ったんです"

どう考えてもこれしかないよ こんな状況になったらもう人類を滅ぼすしかないだろう?」

"ちょっと待ってくれ、俺達は別に人類を滅ぼしたいとか考えたりしてないぞ。
誤解だ。
俺はただみんなで幸せになりたいだけなんだ"

"それなら問題ないじゃないですか。
お互いに協力しあえばいいだけのことですよね"

"しかしだね、我々は今のままでもそれなりにやってるじゃないか"

"そうでしょうか。”