僕たちはマーメイドに案内されるまま海中の方へと降りていきます。
滑らないように処理をかけてほしいとイメージの中にお願いがあったのですべての床には滑り止めの魔法をかけていますが、この入口からの道も傾斜になっているんですよね。
創造魔法って知れば知るほどどんな魔法でも使えるから便利です。
『ここはもう水中です。まだ光がぎりぎり届く範囲なので契約者様と守護者様にも見えていると思いますが……契約者様、創造魔法で《暗視》の魔法ってかけられませんか? この入口を通り抜けたもの全員に効果を及ぼすような』
「そうですね……できますが、魔力式空調装置などと同じ扱いになります。利用者が少ないと正常に動作しませんよ?」
『では、魔力を溜めておくことができて、残量がわかる……樽のようなものはご用意できますでしょうか? 普段は利用者の魔力を使い、それで足りなくなってきたら樽の中の魔力を使う。そちらが減ってきたら私たちで補充いたします』
「では、そちらも残量がわかりやすいように透明なクリスタルで作ってしまいましょうか」
僕は入口に仕掛けをして通るものに《暗視》の魔法がかかるようにし、そこから伸びたクリスタルが横に設置されたクリスタルの容器に繋がるように仕掛けを施しました。
今回は僕とリンが試しにこの装置を使ってみましたが、本の和すかに容器内に入っていた魔力の水のようなものが減ったそうです。
『ありがとうございます。これで周りの様子も見渡しやすくなったでしょうか?』
「ええ、よく見えます」
「すっごい! 天井や足元をお魚が泳いでる!」
『ここは陸地に近い海を生息域にする魚の住処ですね。奥の方まで行けばもっとたくさんの魚がいますよ』
「それは楽しみ!」
「そう言えばこの建物、水中深くに向けて広がていますが、大きさも巨大でしたね」
『いろいろなものを見ていただきたいですから。……あら? 皆様、上をご覧ください』
「上?」
マーメイドに言われたとおり上を見上げると丸いなにかから足が4本生えていて首の出ている生き物が泳いでいました。
こちらに気がつくと、珍しいものが気になったのか寄ってきてくれましたね。
「マーメイド、この生き物は?」
『〝亀〟と呼ばれる生き物です。陸で暮らすものとこの子のように海で暮らすものの2種類に分かれております。今回は珍しいものを見かけたので寄ってきてくれたのですね』
「それじゃあ、私たちって運がいいんだ」
『亀自体がこの海域ではあまり生息していませんから本当に運がいいですよ。亀も行ってしまいましたし、次のスポットをご案内いたします』
次は深いところに続く道のようです。
途中でもいろいろな魚たちが目に留まり、その都度リンがマーメイドに説明を求めているので歩く速度はかなり遅いですが、仕方がないでしょう。
そしてたどり着いたのは、海の底近辺。
ここまで来ると本当に《暗視》がかかっていないと真っ暗なはずです。
『このエリアは深海魚の生息域です。ああ、ちょうどあちらから1匹来ますね』
マーメイドの指さした方向から魚が1匹泳いできましたが……なんというか。
「あんまりかわいくない……」
『深海魚というものはそう言う種族が多いのです。光の届かない海底で暮らすために自分たちも目立たなくするような進化を遂げて参りました』
「なるほど。生き残るための知恵ですか」
『そうなります。どの生物も生き残るためには工夫を重ねて進化していくのです』
「ためになりますね」
「うん。ためにはなるけど……もっとかわいいお魚が見たいな」
『わかりました。浅い海の底へ通じる通路へと向かいましょう』
僕たちは来たときとは違う通路を抜けて浅瀬の方に向かいます。
向かいますが通路の途中で、1匹の円柱状の体をした生き物が降ってきて、僕たちを物珍しげに見つめてきました。
この生き物は一体?
『あら、〝アザラシ〟ですか。そう言えばこの建物の一部は海面すれすれまででていましたね。新しい生息地にでも選んでくれたのでしょう』
「マーメイド、〝アザラシ〟ってなに?」
『海に暮らす生き物のひとつです。魚ではなく哺乳類という生き物ですね。浅瀬の上で日に当たってのんびり暮らしたり、海の中で泳ぎ回ったりと気ままな生き物です』
「なるほど。この生き物のための施設もこの海面上に造りますか? そうすればもっと出会いやすくなるでしょう」
『それはいいですね。是非お願いします。ともかく今日はご案内のみと言うことで』
僕たちはマーメイドに導かれるまま、別の陸地が近い部屋へと案内されました。
ただここは、太陽光も届くような明るい海のようです。
『ここも海の底の一種です。先ほどとはまるで違うでしょう?』
「うん! 色とりどりで綺麗!」
『ここは太陽光が届く海辺ですからね。綺麗なお魚などもたくさん泳いでいます』
マーメイドの言うとおり様々な色をした魚たちが泳ぎ回っていました。
岩には珊瑚だけではなく〝イソギンチャク〟という生物もはりついていて、あれは小型の魚を食べるそうですがあれの中に隠れている魚もいるそうでして複雑な生態系というものを成しているようです。
それにしても、海ですか。
これだけたくさんの生き物がいるだなんて知りませんでした。
滑らないように処理をかけてほしいとイメージの中にお願いがあったのですべての床には滑り止めの魔法をかけていますが、この入口からの道も傾斜になっているんですよね。
創造魔法って知れば知るほどどんな魔法でも使えるから便利です。
『ここはもう水中です。まだ光がぎりぎり届く範囲なので契約者様と守護者様にも見えていると思いますが……契約者様、創造魔法で《暗視》の魔法ってかけられませんか? この入口を通り抜けたもの全員に効果を及ぼすような』
「そうですね……できますが、魔力式空調装置などと同じ扱いになります。利用者が少ないと正常に動作しませんよ?」
『では、魔力を溜めておくことができて、残量がわかる……樽のようなものはご用意できますでしょうか? 普段は利用者の魔力を使い、それで足りなくなってきたら樽の中の魔力を使う。そちらが減ってきたら私たちで補充いたします』
「では、そちらも残量がわかりやすいように透明なクリスタルで作ってしまいましょうか」
僕は入口に仕掛けをして通るものに《暗視》の魔法がかかるようにし、そこから伸びたクリスタルが横に設置されたクリスタルの容器に繋がるように仕掛けを施しました。
今回は僕とリンが試しにこの装置を使ってみましたが、本の和すかに容器内に入っていた魔力の水のようなものが減ったそうです。
『ありがとうございます。これで周りの様子も見渡しやすくなったでしょうか?』
「ええ、よく見えます」
「すっごい! 天井や足元をお魚が泳いでる!」
『ここは陸地に近い海を生息域にする魚の住処ですね。奥の方まで行けばもっとたくさんの魚がいますよ』
「それは楽しみ!」
「そう言えばこの建物、水中深くに向けて広がていますが、大きさも巨大でしたね」
『いろいろなものを見ていただきたいですから。……あら? 皆様、上をご覧ください』
「上?」
マーメイドに言われたとおり上を見上げると丸いなにかから足が4本生えていて首の出ている生き物が泳いでいました。
こちらに気がつくと、珍しいものが気になったのか寄ってきてくれましたね。
「マーメイド、この生き物は?」
『〝亀〟と呼ばれる生き物です。陸で暮らすものとこの子のように海で暮らすものの2種類に分かれております。今回は珍しいものを見かけたので寄ってきてくれたのですね』
「それじゃあ、私たちって運がいいんだ」
『亀自体がこの海域ではあまり生息していませんから本当に運がいいですよ。亀も行ってしまいましたし、次のスポットをご案内いたします』
次は深いところに続く道のようです。
途中でもいろいろな魚たちが目に留まり、その都度リンがマーメイドに説明を求めているので歩く速度はかなり遅いですが、仕方がないでしょう。
そしてたどり着いたのは、海の底近辺。
ここまで来ると本当に《暗視》がかかっていないと真っ暗なはずです。
『このエリアは深海魚の生息域です。ああ、ちょうどあちらから1匹来ますね』
マーメイドの指さした方向から魚が1匹泳いできましたが……なんというか。
「あんまりかわいくない……」
『深海魚というものはそう言う種族が多いのです。光の届かない海底で暮らすために自分たちも目立たなくするような進化を遂げて参りました』
「なるほど。生き残るための知恵ですか」
『そうなります。どの生物も生き残るためには工夫を重ねて進化していくのです』
「ためになりますね」
「うん。ためにはなるけど……もっとかわいいお魚が見たいな」
『わかりました。浅い海の底へ通じる通路へと向かいましょう』
僕たちは来たときとは違う通路を抜けて浅瀬の方に向かいます。
向かいますが通路の途中で、1匹の円柱状の体をした生き物が降ってきて、僕たちを物珍しげに見つめてきました。
この生き物は一体?
『あら、〝アザラシ〟ですか。そう言えばこの建物の一部は海面すれすれまででていましたね。新しい生息地にでも選んでくれたのでしょう』
「マーメイド、〝アザラシ〟ってなに?」
『海に暮らす生き物のひとつです。魚ではなく哺乳類という生き物ですね。浅瀬の上で日に当たってのんびり暮らしたり、海の中で泳ぎ回ったりと気ままな生き物です』
「なるほど。この生き物のための施設もこの海面上に造りますか? そうすればもっと出会いやすくなるでしょう」
『それはいいですね。是非お願いします。ともかく今日はご案内のみと言うことで』
僕たちはマーメイドに導かれるまま、別の陸地が近い部屋へと案内されました。
ただここは、太陽光も届くような明るい海のようです。
『ここも海の底の一種です。先ほどとはまるで違うでしょう?』
「うん! 色とりどりで綺麗!」
『ここは太陽光が届く海辺ですからね。綺麗なお魚などもたくさん泳いでいます』
マーメイドの言うとおり様々な色をした魚たちが泳ぎ回っていました。
岩には珊瑚だけではなく〝イソギンチャク〟という生物もはりついていて、あれは小型の魚を食べるそうですがあれの中に隠れている魚もいるそうでして複雑な生態系というものを成しているようです。
それにしても、海ですか。
これだけたくさんの生き物がいるだなんて知りませんでした。