ディーヴァとミンストレル用の音楽堂を建てることになった翌日、僕の前には巨大な3匹のドラゴンが鎮座していました。
ちなみにリンは別の場所で訓練をしてもらっています。
僕は数日こちらにかかりきりでしょうから。
『音楽堂を建てたいというのは君か?』
「はい。ドラゴン様方にわざわざ……」
『ドラゴンでいい。神域の契約者ともなれば我々などよりも上位の存在だ』
『それにしてもディーヴァ、いい子ね。こっそり一般聴衆に紛れ込んで歌を聴かせてもらったけれどあの子のためなら音楽堂を建てたくなるわ』
「ありがとうございます。それで、僕は田舎者。〝音楽堂〟という施設をまったく知らないのですが……」
『そのために我々が来た。お前は安心して創造魔法で物作りに励め』
『ただ、音楽堂とは細かい作りなのだよ。数日はかかるだろう。覚悟しておいてもらいたい』
「わかりました。それで、どのような大きさのものを用意すれば?」
『まずは……そうね。このお花畑の外に野外ステージを作りましょう』
「野外ステージ?」
それも聞いたことがないのですが……どういう施設なのかドラゴンたちの説明を待ちましょう。
『歌を歌う者たちが外で歌うための……まあ、高い場所だ。それだけでも少しは声が届く範囲が変わってくる』
『花畑はアルラウネの管轄と聞くのでいくら踏み荒らしてもすぐに元通りだろうが気持ちのいいものではない。ステージの上だけを花で飾り付けてもらおう』
「わかりました。どのような建物を建てれば?」
『イメージを送るわ。その通りに建ててみて。小さすぎても大きすぎてもだめだから、そのときはやり直しね』
「はい。……イメージも伝わってきました。始めます」
ええと、左右に上り下りするための階段があって後ろは石材製の半円をした壁があって……第一段階はこのようなところでしょうか。
『ふむ。形としてはできているな』
『形だけだな。華が足りない』
『わかっていて作ったのでしょうけれど、もっと美しくしなくちゃだめよ?』
「具体的にはどのようにすればいいでしょう?」
『全面の目に見える部分はすべてレンガ風にするといい。それだけで見栄えがかなりよくなる』
『あとは後ろの石材だな。ただの石よりは……白い石などを使った方がみやすいだろう』
『あとは簡単なものでいいから魔力式の照明器具を足元と天井につけて。そうすればディーヴァの表情なども見やすくなるわ』
結構細かい指示ですね。
でも、これくらいでへこたれてもいられません。
ディーヴァのためです、頑張りましょう!
********************
『ふむ。これならば合格だ』
『確かに。見栄えも素晴らしいし、装飾も凝っている』
『途中でドワーフにも来てもらった甲斐があったわ』
「……ありがとうございます。ドワーフの皆さんもお疲れ様でした」
「……なんの。ディーヴァの歌は儂らも楽しみにしとる」
「……しかし、疲れた」
野外ステージというのを作り続けて20数回目。
ようやく『形は』合格点をいただけました。
ただそれだけでは『華が足りない』と言うことで彫刻などもほしいと言われたのですが、僕はまったくもってそちらは素人。
それを告げると、この神域にはドワーフも住んでいるだろうと言う話になりドワーフの方々数名にも手伝っていただき彫刻を彫っていただくことに。
ここでもドラゴンの細かい注文が爆発して気に食わない点があるとやり直し。
僕が創造魔法で柱や壁を元に戻してから再度彫り始めていただきました。
さすがにドワーフの皆さんは美的センスもあったのか、10回くらいで合格をいただけましたが、それでも疲れ切ってしまっているようです。
本当にご苦労様でした……。
『さて、ディーヴァとやらの屋外ステージはできたな。次はミンストレルという幼子の屋外ステージだ』
「え?」
『ミンストレルも歌うのであろう? ディーヴァばかりがこのような立派なステージを持っていては不満が出るだろうよ』
『そうね。まだ見習いであっても扱いは対等にするべきだわ』
これから、ミンストレル用の屋外ステージも……。
ドワーフの皆さんも諦めたような表情をしていますしどうしましょうか?
「とりあえず、ミンストレルのステージも作ります。仕上げの彫刻は明日でも構いませんか?」
『ふむ。ドワーフたちも疲れているようだ。それでもよかろう』
『疲れていてはいい作品もできないものね』
『では離れた場所に移動だ。それが終わったらアルラウネを呼んでこのステージを花で装飾してもらうぞ』
「……はい」
ミンストレルのステージも数十回のダメ出しを受けてようやく完成しました。
こちらの彫刻は子供らしくかわいらしい妖精や花のデザインをモチーフにしたものがいいだろうというのがドラゴンたちの案です。
花の飾り付けはどちらのステージでも行うので、先にミンストレル用のステージをローズマリーに飾りつけてもらいましたが、ここでも細かい注文がいろいろ出て彼女も疲れた表情を浮かべていました。
あと、僕の方はステージの前にある平野部分になだらかな傾斜をステージ部分が中心となるように半円状へと盛り上げていくように指示を受けましたよ。
こうすることでより歌が聴きやすくなるそうです。
同じようにディーヴァのステージでも飾り付けと地盤変化を行いましたが、ローズマリーも僕も疲労困憊でした。
明日はミンストレルのステージに彫刻を施すだけで終わり、明後日から音楽堂作りになるのだそうですが……どれくらいかかるんでしょう。
いまの時点からドッと疲れが出てきました。
実際、リンと一緒に温泉に入っていたときに彼女に相当甘えていたみたいで……リンは喜んでいましたが恥ずかしいです。
ともかく、明日は野外ステージとやらの効果を確認しに行かねば。
********************
「うわー! すごいね! こんなに離れていてもディーヴァの歌が聞こえるよ!」
「野外ステージを作った甲斐がありました……」
「……相当大変だったんだね?」
「魔力回復用のポーションを数本飲まなければいけない程度には」
「……頑張って」
「今日はミンストレルのステージを仕上げるだけですが……明後日以降の〝音楽堂〟作りが恐ろしいです」
「夜はたっぷり私に甘えていいからね?」
「……それも恥ずかしいですがそうします」
ミンストレルのステージに施した彫刻も10数回のダメ出しを受けて完成。
とてもかわいらしい仕上がりにはなりましたが……ドラゴンって細かいです。
ちなみにリンは別の場所で訓練をしてもらっています。
僕は数日こちらにかかりきりでしょうから。
『音楽堂を建てたいというのは君か?』
「はい。ドラゴン様方にわざわざ……」
『ドラゴンでいい。神域の契約者ともなれば我々などよりも上位の存在だ』
『それにしてもディーヴァ、いい子ね。こっそり一般聴衆に紛れ込んで歌を聴かせてもらったけれどあの子のためなら音楽堂を建てたくなるわ』
「ありがとうございます。それで、僕は田舎者。〝音楽堂〟という施設をまったく知らないのですが……」
『そのために我々が来た。お前は安心して創造魔法で物作りに励め』
『ただ、音楽堂とは細かい作りなのだよ。数日はかかるだろう。覚悟しておいてもらいたい』
「わかりました。それで、どのような大きさのものを用意すれば?」
『まずは……そうね。このお花畑の外に野外ステージを作りましょう』
「野外ステージ?」
それも聞いたことがないのですが……どういう施設なのかドラゴンたちの説明を待ちましょう。
『歌を歌う者たちが外で歌うための……まあ、高い場所だ。それだけでも少しは声が届く範囲が変わってくる』
『花畑はアルラウネの管轄と聞くのでいくら踏み荒らしてもすぐに元通りだろうが気持ちのいいものではない。ステージの上だけを花で飾り付けてもらおう』
「わかりました。どのような建物を建てれば?」
『イメージを送るわ。その通りに建ててみて。小さすぎても大きすぎてもだめだから、そのときはやり直しね』
「はい。……イメージも伝わってきました。始めます」
ええと、左右に上り下りするための階段があって後ろは石材製の半円をした壁があって……第一段階はこのようなところでしょうか。
『ふむ。形としてはできているな』
『形だけだな。華が足りない』
『わかっていて作ったのでしょうけれど、もっと美しくしなくちゃだめよ?』
「具体的にはどのようにすればいいでしょう?」
『全面の目に見える部分はすべてレンガ風にするといい。それだけで見栄えがかなりよくなる』
『あとは後ろの石材だな。ただの石よりは……白い石などを使った方がみやすいだろう』
『あとは簡単なものでいいから魔力式の照明器具を足元と天井につけて。そうすればディーヴァの表情なども見やすくなるわ』
結構細かい指示ですね。
でも、これくらいでへこたれてもいられません。
ディーヴァのためです、頑張りましょう!
********************
『ふむ。これならば合格だ』
『確かに。見栄えも素晴らしいし、装飾も凝っている』
『途中でドワーフにも来てもらった甲斐があったわ』
「……ありがとうございます。ドワーフの皆さんもお疲れ様でした」
「……なんの。ディーヴァの歌は儂らも楽しみにしとる」
「……しかし、疲れた」
野外ステージというのを作り続けて20数回目。
ようやく『形は』合格点をいただけました。
ただそれだけでは『華が足りない』と言うことで彫刻などもほしいと言われたのですが、僕はまったくもってそちらは素人。
それを告げると、この神域にはドワーフも住んでいるだろうと言う話になりドワーフの方々数名にも手伝っていただき彫刻を彫っていただくことに。
ここでもドラゴンの細かい注文が爆発して気に食わない点があるとやり直し。
僕が創造魔法で柱や壁を元に戻してから再度彫り始めていただきました。
さすがにドワーフの皆さんは美的センスもあったのか、10回くらいで合格をいただけましたが、それでも疲れ切ってしまっているようです。
本当にご苦労様でした……。
『さて、ディーヴァとやらの屋外ステージはできたな。次はミンストレルという幼子の屋外ステージだ』
「え?」
『ミンストレルも歌うのであろう? ディーヴァばかりがこのような立派なステージを持っていては不満が出るだろうよ』
『そうね。まだ見習いであっても扱いは対等にするべきだわ』
これから、ミンストレル用の屋外ステージも……。
ドワーフの皆さんも諦めたような表情をしていますしどうしましょうか?
「とりあえず、ミンストレルのステージも作ります。仕上げの彫刻は明日でも構いませんか?」
『ふむ。ドワーフたちも疲れているようだ。それでもよかろう』
『疲れていてはいい作品もできないものね』
『では離れた場所に移動だ。それが終わったらアルラウネを呼んでこのステージを花で装飾してもらうぞ』
「……はい」
ミンストレルのステージも数十回のダメ出しを受けてようやく完成しました。
こちらの彫刻は子供らしくかわいらしい妖精や花のデザインをモチーフにしたものがいいだろうというのがドラゴンたちの案です。
花の飾り付けはどちらのステージでも行うので、先にミンストレル用のステージをローズマリーに飾りつけてもらいましたが、ここでも細かい注文がいろいろ出て彼女も疲れた表情を浮かべていました。
あと、僕の方はステージの前にある平野部分になだらかな傾斜をステージ部分が中心となるように半円状へと盛り上げていくように指示を受けましたよ。
こうすることでより歌が聴きやすくなるそうです。
同じようにディーヴァのステージでも飾り付けと地盤変化を行いましたが、ローズマリーも僕も疲労困憊でした。
明日はミンストレルのステージに彫刻を施すだけで終わり、明後日から音楽堂作りになるのだそうですが……どれくらいかかるんでしょう。
いまの時点からドッと疲れが出てきました。
実際、リンと一緒に温泉に入っていたときに彼女に相当甘えていたみたいで……リンは喜んでいましたが恥ずかしいです。
ともかく、明日は野外ステージとやらの効果を確認しに行かねば。
********************
「うわー! すごいね! こんなに離れていてもディーヴァの歌が聞こえるよ!」
「野外ステージを作った甲斐がありました……」
「……相当大変だったんだね?」
「魔力回復用のポーションを数本飲まなければいけない程度には」
「……頑張って」
「今日はミンストレルのステージを仕上げるだけですが……明後日以降の〝音楽堂〟作りが恐ろしいです」
「夜はたっぷり私に甘えていいからね?」
「……それも恥ずかしいですがそうします」
ミンストレルのステージに施した彫刻も10数回のダメ出しを受けて完成。
とてもかわいらしい仕上がりにはなりましたが……ドラゴンって細かいです。