推敲に推敲を重ねていたら締め切りギリギリになってしまった。だが、間に合った。送信ボタンを押す。そして公募作品一覧ページを開く。自分の作品はなかった。早すぎたのだ。まだ処理中なのだ。そう考えて、しばらく時間をおき、再び同じページを開く。なかった。もうしばらく待つ。そして同じページを開く。やはりない。新着のページには送信した自作が掲載されていた。しかし公募作品の一覧ページにはない。それでも、何度も再読み込みを行う。この作品に心血を注いだためだ。命を懸けて書いたからだ。再読み込みを延々と続ける。その動作を丸一日繰り返し、やっと募集要項のページを開く。そこには『応募受付期間は終了いたしました。たくさんのご応募ありがとうございました。』と表示されていた。
 募集要項のページを、もう一度じっくり見る。締め切り時刻は13時のはずだ! それまでには絶対、間に合ったはずだ。全身がガタガタ震えた。自分は午後一時までに送信した……そう思ったが、こんな表示も書いてあって、体がガタガタ震えるばかりか、失禁もした。
『※スケジュールは変更になる可能性がございます。』
 メールで公募の事務局へ問い合わせる。返事には「スケジュールが変更になりました」と書かれていた。
 人生を賭けた作品は受理されなかった……この出版社からデビューしたかったのに!
 涙がとめどもなく溢れた。涙は、やがて血に変わった。ショックで血管が切れたようで、血が止まらなくなった。その作家志望者は自分の血でできた血だまりに突っ伏し息絶えた。