モンスターの襲撃の関係から、学園は一時休校となった。
生徒たちは基本的に寮で待機となっている。
そんな中、アモルと4属性姉妹は、許可を貰い学園から離れていた。
4属性姉妹の実家に向かうためである。
「今回のモンスター襲撃もだけど……」
「オレたちの母上に聞いた方が早いと思うんだ」
馬車に揺られながらスイとヒノが告げる。
「でも……実家って遠くないんですか?」
「大丈夫……。3日くらい」
(それは近いのか遠いのか……)
フウの返事に困るアモルだったが、アスが引き継いだ。
「きみやシオンの実家よりは遠いだろうが、
学園に通っている者たちはもっと遠いところから来ている人もいる。たいしたことはないさ」
そうなのか、と思いつつ、アモルは学園に残してきたラヴ、シオン、エレテが気になった。
エレテはともかく、ラヴとシオンは自分がいないでどうしているかな、と。
「ラヴちゃんたちが気になる?」
「ええ、まあ……」
スイに問われて、アモルは内心驚いた。そんなに表情に出ていたかと。
「アモル、きみ、自分が思っているほど表情や気持ちを隠すの上手くないぞ」
「えっ!?」
アスにそう言われアモルは驚きが声に出た。
転生前……護時代は『何を考えているかわからない子』とよく言われていたからだ。
「ふふっ、でも気持ちが正直なのはいいことだよ?」
「そうそう。オレらの母上みたいに、何考えてるかわからない人ばっかりは困るぜ?」
ヒノのその言葉を聞き、アモルは質問してみることにした。
「先輩たちの母親ってどんな人なんです? 予言者なのは聞きましたけど」
「母上はなぁ……」
「少なくとも一般的な母親ではないだろうな」
「というよりね。わたしたちもあまり姿をみたことないの」
「うん……」
4姉妹それぞれ反応は違うものの、苦手意識があるような雰囲気だ。
「その母上がな、幼いころのオレたちに珍しく姿を見せた日に言ったんだよ」
「間もなくボクたちに『運命の子』が現れる……」
「だけどその子は『宿命の子』でもある」
「守ってあげなさい……って」
「『運命の子』『宿命の子』……」
前にも4姉妹が言った言葉。
「ま、詳しくは改めて母上に聞いてくれ」
揺れる馬車はゆっくりと進んでいく。
アモルは今更ながら、狭い馬車で4姉妹に囲まれていることに緊張していた。
(ラヴたちと一緒の時とは違う緊張と恥ずかしさ……)
アモルは隠れるように、毛布に身をくるみ眠りに落ちた。
「でっかい……」
4姉妹の実家、屋敷を見て、アモルの最初の一言がそれであった。
「え、あの……。先輩たちお嬢様なんです?」
素の声で、アモルは4姉妹を見ながら聞いた。
「ん? 知らなかったのか?」
「……4属性姉妹は知ってたのに」
「エレメント家。ボクたちが4属性姉妹と呼ばれる理由の2つ目だ」
「4つのエレメント。4属性を司るエレメント家だよ」
「知りませんでした……」
学園の噂でしか知らなかったアモルは、己の無知を嘆いた。
「おおーう! 帰ったか、娘たちぃ!」
その屋敷から怒声かと思うような声を上げ、大男が走ってくる。
「あれは……?」
「あー……父上だ」
ヒノが言い終わると同時に大男、いや4姉妹の父親が
4姉妹をまとめてその巨大な腕で抱きしめる。
「だーっ! 父上、暑苦しい!」
「キツイよ、お父さん!」
「ん……」
「まだこの前ぶりでしょうに……」
4姉妹はそれぞれ離れようとしているが、その巨腕からは逃れられないようだ。
(父親、全然似てないな……)
アモルはそんなことを思いながら親子の様子を眺める。
巨体で髭面の男と、抱かれている4姉妹はまるで似ても似つかない。
「そして、貴様が……」
4姉妹の父親がアモルを鋭く睨む。
「貴様が! 我が娘たちの! 運命の子とかいう奴かぁ!」
4姉妹を離し、父親が鋭い眼光と大声でアモルに近づいてくる。
アモルは直感した。
(殺される……!?)
だが父親はアモルに近づき肩を掴むと
「そうかそうか! 君が運命の子かぁ!」
そう言いながらアモルを、まるで赤子のように持ち上げた。
「わわわ……!?」
予想外の歓迎ムードに、アモルは逆に驚くしかない。
「ふむ! 少し華奢過ぎる気もするが見た目、雰囲気は悪くない! 運命の子として認めてやろう!」
「は、はあ……」
4姉妹の父親に持ち上げられたまま、アモルは頷く。
その時だった。
「そこまでにしなさい。ゴンノスケ」
屋敷の方から女性の声が響く。
4姉妹の母親だろうか。しかしアモルはというと。
(この人、ゴンノスケっていうのか……。ゴンノスケ・エレメント?)
父親の名前の方に反応していた。
「おお! 我が愛妻よ! すまぬ!」
ゴンノスケはアモルを降ろすと、4姉妹の真ん中に立たせる。
「運命の子、アモルくんだったか。娘たちと共に我が妻の元へ行くがよい!」
「わかりました」
4姉妹の案内のもと、アモルは屋敷の中へと入っていく。
予言者という4姉妹の母親。果たしてどんな人物なのか……。
生徒たちは基本的に寮で待機となっている。
そんな中、アモルと4属性姉妹は、許可を貰い学園から離れていた。
4属性姉妹の実家に向かうためである。
「今回のモンスター襲撃もだけど……」
「オレたちの母上に聞いた方が早いと思うんだ」
馬車に揺られながらスイとヒノが告げる。
「でも……実家って遠くないんですか?」
「大丈夫……。3日くらい」
(それは近いのか遠いのか……)
フウの返事に困るアモルだったが、アスが引き継いだ。
「きみやシオンの実家よりは遠いだろうが、
学園に通っている者たちはもっと遠いところから来ている人もいる。たいしたことはないさ」
そうなのか、と思いつつ、アモルは学園に残してきたラヴ、シオン、エレテが気になった。
エレテはともかく、ラヴとシオンは自分がいないでどうしているかな、と。
「ラヴちゃんたちが気になる?」
「ええ、まあ……」
スイに問われて、アモルは内心驚いた。そんなに表情に出ていたかと。
「アモル、きみ、自分が思っているほど表情や気持ちを隠すの上手くないぞ」
「えっ!?」
アスにそう言われアモルは驚きが声に出た。
転生前……護時代は『何を考えているかわからない子』とよく言われていたからだ。
「ふふっ、でも気持ちが正直なのはいいことだよ?」
「そうそう。オレらの母上みたいに、何考えてるかわからない人ばっかりは困るぜ?」
ヒノのその言葉を聞き、アモルは質問してみることにした。
「先輩たちの母親ってどんな人なんです? 予言者なのは聞きましたけど」
「母上はなぁ……」
「少なくとも一般的な母親ではないだろうな」
「というよりね。わたしたちもあまり姿をみたことないの」
「うん……」
4姉妹それぞれ反応は違うものの、苦手意識があるような雰囲気だ。
「その母上がな、幼いころのオレたちに珍しく姿を見せた日に言ったんだよ」
「間もなくボクたちに『運命の子』が現れる……」
「だけどその子は『宿命の子』でもある」
「守ってあげなさい……って」
「『運命の子』『宿命の子』……」
前にも4姉妹が言った言葉。
「ま、詳しくは改めて母上に聞いてくれ」
揺れる馬車はゆっくりと進んでいく。
アモルは今更ながら、狭い馬車で4姉妹に囲まれていることに緊張していた。
(ラヴたちと一緒の時とは違う緊張と恥ずかしさ……)
アモルは隠れるように、毛布に身をくるみ眠りに落ちた。
「でっかい……」
4姉妹の実家、屋敷を見て、アモルの最初の一言がそれであった。
「え、あの……。先輩たちお嬢様なんです?」
素の声で、アモルは4姉妹を見ながら聞いた。
「ん? 知らなかったのか?」
「……4属性姉妹は知ってたのに」
「エレメント家。ボクたちが4属性姉妹と呼ばれる理由の2つ目だ」
「4つのエレメント。4属性を司るエレメント家だよ」
「知りませんでした……」
学園の噂でしか知らなかったアモルは、己の無知を嘆いた。
「おおーう! 帰ったか、娘たちぃ!」
その屋敷から怒声かと思うような声を上げ、大男が走ってくる。
「あれは……?」
「あー……父上だ」
ヒノが言い終わると同時に大男、いや4姉妹の父親が
4姉妹をまとめてその巨大な腕で抱きしめる。
「だーっ! 父上、暑苦しい!」
「キツイよ、お父さん!」
「ん……」
「まだこの前ぶりでしょうに……」
4姉妹はそれぞれ離れようとしているが、その巨腕からは逃れられないようだ。
(父親、全然似てないな……)
アモルはそんなことを思いながら親子の様子を眺める。
巨体で髭面の男と、抱かれている4姉妹はまるで似ても似つかない。
「そして、貴様が……」
4姉妹の父親がアモルを鋭く睨む。
「貴様が! 我が娘たちの! 運命の子とかいう奴かぁ!」
4姉妹を離し、父親が鋭い眼光と大声でアモルに近づいてくる。
アモルは直感した。
(殺される……!?)
だが父親はアモルに近づき肩を掴むと
「そうかそうか! 君が運命の子かぁ!」
そう言いながらアモルを、まるで赤子のように持ち上げた。
「わわわ……!?」
予想外の歓迎ムードに、アモルは逆に驚くしかない。
「ふむ! 少し華奢過ぎる気もするが見た目、雰囲気は悪くない! 運命の子として認めてやろう!」
「は、はあ……」
4姉妹の父親に持ち上げられたまま、アモルは頷く。
その時だった。
「そこまでにしなさい。ゴンノスケ」
屋敷の方から女性の声が響く。
4姉妹の母親だろうか。しかしアモルはというと。
(この人、ゴンノスケっていうのか……。ゴンノスケ・エレメント?)
父親の名前の方に反応していた。
「おお! 我が愛妻よ! すまぬ!」
ゴンノスケはアモルを降ろすと、4姉妹の真ん中に立たせる。
「運命の子、アモルくんだったか。娘たちと共に我が妻の元へ行くがよい!」
「わかりました」
4姉妹の案内のもと、アモルは屋敷の中へと入っていく。
予言者という4姉妹の母親。果たしてどんな人物なのか……。