「できましたよ~~!レヴィラスさまグッズ!」
「……うん……!」
侵入者を追い返してから、神域は平和だ。毎日まさにスローライフといった感じで……。

レヴィラスグッズをこしらえていた。

「団扇」
これで良かったのだろうか。日本語で【レヴィラス】と書かれた団扇。

「推しグッズには最適です……!フィギュアも欲しいところですね……!むしろ玉像でレヴィラスさまを作るべきでは!?」
「それってどう作るの?ヴィオル」

「専門の職人がいるはずであるな」
「私の象徴は狐だから、稲穂のブローチの他にもぬいぐるみがあるはずね」
続いてスノウ。

「もふもふぬいぐるみ――――っ!」
ファナが食い付いた……!?いや、まぁブランとグレイのブラッシングも好きみたいだし……この前はお風呂上がりにスノウのしっぽをブラッシングしていたっけ。

「確かレヴィラスも持ってたわよ。あのこ変なところでコレクションぐせがあるの」
まさかのもふもふ……集め……っ!

【つまりもふもふならば……パパにもちょっとは優しくなる!?】
あ、創世神。創世神もたまにこちらに来る。やっぱり……親心みたいなやつ?しかし肝心のレヴィラスは……。

「あ゛?何言ってんだキメェ」
【ぐはぁっ】
全く伝わってない……っ!

「そうだもふもふと言えばね」
「どうしたの?レイン」
レヴィラスと創世神が安定の父子(おやこ)喧嘩をしていれば。レインがおやつを焼いてこちらに運んできてくれた。

レインからおやつの焼き菓子を受け取って口に運べば。

「この前もっふもふのハーパン仕入れたんだ」
「ちょっとぉっ!私だってもふもふショーパンを仕入れたんだから抜け駆けしないでよ!」
そう言ってレインからお菓子を強奪するスノウ。
――――うん、あの会話から迷わず離脱しよう。

「スノウさんのもふぐるみもいいですよね~~。あ、ぬい作りましょうぬい!」
「いや……あれは難しいって……」
「じゃぁ……レヴィラスさまの象徴?ヒト型以外は伝わってなくて……あ、牙ぎっしりなワープホール!」
あの巨大な口のこと言ってるんだろうか。

「レヴィラスの本性って大蛇だよ?」
「まさかの……!あ、でもそれなら簡単なのでは……!」
「普通の蛇なら……」
でもレヴィラスの本性はなかなかに複雑な気が……いや、概念ならそれでもいいのだろうか。

「でもこの団扇……どうしよう。飾る?」
「それもいいですけど、応援する時にもいいですよ?」

「応援……?」
たまにレインと魔物狩りや素材集めに行ってるけど。俺とファナも王都や周辺に遊びに行く時に一緒に行くこともある。簡単なクエストなら一緒に連れていってくれることもある。

因みに王都も平和だ。正規の勇者パーティーはまともらしく、残念勇者パーティーのことを謝罪してくれた。別に彼らの責任ではないのだけど。

ついでに残念勇者パーティーはいろんな悪事を積み重ねたので国の管理下に置かれた。レインとレヴィラスの怒りも買ったので、自由に王都や……そもそも世界ですら闊歩できない。

招いてしまったのはこちらの世界の神官とは言え……その素行の責任は彼らにあるもの。

――――しかし、ほんと彼が地球での俺のことを知ってたのが不思議だなぁ。

それから正規の勇者パーティーたちは地道にレベルを上げたりスキルを磨いているらしい。因みに彼らも戦神の御守りを持っていた以上、レインに恐縮しっぱなしだった。俺にも親切だったからかな……レインも寛容だった。
……レヴィラスは嫉妬してたけどね。

――――だけど。

応援か。

「ふれー、ふれー、みたいな?」
「んもう、何言ってんですか~~!これですよ、こ~れっ!(こほ)せ~、毀せ。たたかへ、すまへ。命《いのち》の言の葉(ことのは)をとよめかせ。いざ、ねげよ。(なれ)は何を(こひねが)ふか。ねげよ。(こひねが)へ。さらば(こほち)の斧鉞《まさかり》を下さ~~ん!」
あぁ……レヴィラスの祈りの言葉。……正しいの、知ってたのか……レヴィラスに覚えさせられたのか。
思えばそれは。

「信徒が願うもの……と言うよりも、レヴィラスが信徒にかける言葉。眷属が信徒にレヴィラスへの祈りの言葉を紡がせるために述べる言葉か」
――――あ、やっぱ覚えさせられたのか。
まぁ、レヴィラスが使わせることはないのだろうけど。……前のアレよりはましだろう。

「そうなのですか?眷属なら正しく覚えろって……いくつかバージョンがあるんですね」
「うん。あとは……レヴィラスも俺の眷属神だから、俺に捧げる言葉が……」
「それ、知りたいです!レヴィラスさまへの祈りの別バージョンっ!」
正確にはレヴィラスからの祈りの言葉なんだが。
俺が言う分には問題ないか。

「いざ、(こほ)て、いざ、毀て。いざ、たたかへ、侵せよ。(みこと)祝詞(のり)を知らしめん。いざ、(おほ)(たま)へ。(みまし)は何と下知(げぢ)せらる。(おほ)(たま)へ。(おほ)(たま)へ。さらば(こほち)斧鉞(まさかり)を振るはん……」
「ふおぉ――――っ!別バージョンもいいですね!私も言いたいですその応援祝詞!」
「え……?」
ファナが立ち上がり叫んだ時だった。

「ダメに決まってんだろぉがつーか、お前には許可してねぇんだから口にできねぇよ……!」
「ぎゃーっ!?」
いつの間にかレヴィラスが創世神との父子喧嘩。終えたのか、ファナのこめかみを両拳でぐりぐりしていた~~っ!?

「それは……俺だけのものだ」
「うん、だからごめんね」
昔の拙い祝詞とは違う、本来の……。いや、あの頃の拙さも微笑ましいのだけど。

「うぇー。でも、ひとつは堂々と述べられるんですよねー」
「だからってどこでも構わず言うな!眷属とは言え俺に届くんだから」
あはは、確かに。
レヴィラスの言葉も俺に届く。地球にだって……。少し拙いものだったのは……それだけ寂しい思いをさせてしまっただろうか。

「でも、ソラが唱えるならなんだって嬉しい」
「……っ、それなら、嬉しいよ。レヴィラス」。ほら……レヴィラスも食べる?

「……ん」
焼き菓子を口に運びつつも自分のグッズを視界の端に挟む。やっぱり気になる……?今までレヴィラスにはこういうグッズはなかったみたいだし。

【あ、我も作ろうかなー】
え、創世神!?まさかの!?

「腕持ってくぞ」
【だーかーら何ですぐそう言うこと言うの!この子は~~っ!】
何だか相変わらずの2人のやり取りが微笑ましくて。
そして平穏なこの生活が……幸せだな。

【うんうん、それが一番だよねぇ】
創世神が笑う。

【これからもスロライ、絶賛応援するからね~~】
それはもう末長く、お願いします……!


【完】