――――――――スローライフとは。

「何をしようか」

「ソラが望むなら何でも!世界の破壊活動以外なら創世神も賛成してくれるよ!」
と、レイン。そりゃそうだよ!そして世界の破壊活動は勘弁……!

「でも似合うわねぇ~~!ショーパンタイツ、最高だわ!」
「いぇいっ!」
あちらでは何故かスノウにショーパンタイツをもらったファナが得意気にポージングを決めていた。……まぁ、俺が着なくてよくなったのなら……ファナが着たいのならいいけど。

「あ、ソラもどう?ハーパンニーハイ!」
しれっと出して来ないでレイン~~っ!

「ソラに変なもの穿かすな、レイン!」
レヴィラスがさっと俺を引き寄せてくれる。なんだかこう言うところはお兄ちゃんみたいで、微笑ましい。今までは……先代も初代の時も、魔神側が年上……と言うか大人だったから。
普通にしゃべれるようになったことからも、レヴィラスは成長したのかも。

「変なもんじゃないよ……!このハーパンとニーハイが醸し出す絶対領域は至極の空間……!レヴィもこの素晴らしさを知ったらきっとクセになる……!」
な……っ、それは……っ。

「レイン……レヴィラスに変なこと教えないで……」
「びくんっ。何か本気!?本気で威嚇しないでよ。ソラったらんもぅ~~」
え?そんなにびくっときたかな……?この世界に魂が馴染んできているのか……それとも……。いや、分かってる。レヴィラスをショタコンにさせようとしないで――――――っ!

「それにしても……何をするのであろうか?」
「うむ」
ヴィオルの言葉にグレイが頷く。因みにブランは……スノウとファナのところで猫かわいがりしてもらっている。

「えっと……」
「あ……!畑……!畑はどうですか……!?」
ファナが手を上げる。

「聞いたことはあるかも……」
異世界のスローライフの話。そしてそれには、ファナの方が詳しいだろうか?

「畑を作って野菜を育てて、ぱぁーっとバーベキューです!」
「あら、いいわねぇ。今夜はソラちゃんの帰還祝いとファナちゃんの歓迎会よ」
と、スノウ。

「その、いいの?」
あれ、でも野菜を育てるのには時間が……。森で山菜や果物でもとれるかな……?

「ダメなわけないじゃない。まずは……」

スノウが指をパチンと鳴らすと、屋敷の前の広大な土地が一瞬にして畑に早変わりする。

そうだ……スノウだもの。これくらいはできるけど……チートしすぎにならないかな……?

「らくちんらくちんっ!」
「ふふふんっ!野菜も任せなさいな~~」
え、そうなの!?

「かぼちゃににんじん!さつまいもにピーマン!いろいろ成るわよ~!」
「えちょ……っ、多すぎでは!?」
しかしあっという間に畑は野菜でいっぱいになってしまった。その……旬とか何もかも無視なんだけども……。でもここは神域だし……スノウの能力でもあるんだもんね。

「あとは肉です……!」
「さすがに肉は……実らせられないわね……私の管轄外よ……!」
そりゃそうだ。

「ならお兄さんが狩ってこようか!何の肉がいいかな?」

「ジンギスカン!」
と、ファナ。

「ジン……?」
「あぁ、レイン。ラム……羊の肉だよ」

「なるほどねぇ。ソラは?」
「あ……でも」
「遠慮しないで」

「あ……鳥か豚を」
「りょーかい!焼いたら美味しい肉、狩ってくるから待ってて~!」
「あぁ……うん……?」
レインはぱぁーっと行ってしまったのだが……いいのだろうか……?

「肉……焼くのか」
びくんっ。レヴィラスったら……。

「焼くと美味しいよ?タレにつけて……タレはどうしよう」
「調味料なら、屋敷の台所にあったわよ。レインはそこら辺上手だから」
人間と過ごすことも多いから……故だろうか……?

レヴィラスは調理しなくてもいけるけど……いや、本来みんなそうなのだけど。現し神は供物なら、調理してるかどうかは変わらない。だけどここにはファナもいるわけで、俺も地球育ちだから、身体がこちらに馴染んでも調理してある方がいいかも。

「レインぎ帰ってきたら聞いてみよう」
「それがいいわね」

「他に食べたいものがある?」
「う~~ん、この世界にあるかなぁ……スマートフォンがあればすぐに調べられるんですけど」
と、ファナ。一応みんなにもファナの前世が地球人であることは共有されている。スノウも「そんなのがあるんだ~」とのほほんと聞いているが。

「さすがにそれは……」
もちろん俺は持っていなかったが……。地球の技術だし……。

そう……思った時だった。

【ならば授けようではないか……!】

――――――はい……っ!?
突如として俺とファナがライトアップされて、どこか懐かしい声が天から降り注いだ。