「け……眷属……っ」
突然のヴィオルの提案に驚く。まぁ確かにそれはできると思う。俺はさすがにーー魔神は特殊だから、現し神の中でも特殊なみんなじゃないと眷属にはできないけれど……。いや、むしろみんな反対するな、きっと。

だが……眷属神であるレヴィラスたちなら眷属迎えることができる。レヴィラスもグレイやブランを眷属に迎えた。

ヴィオルたちも状況に於いて眷属はもってきたはずである。レヴィラスは今生が初めてだと思うけど。

「眷属ですか?レヴィラスさまの眷属だなんて、キラキラヒャーじゃないですか……!」
キラキラヒャーはちょっとよく……何かレヴィラスを神々しく捉えている比喩のようだが。

「お前……分かっているのか。眷属になると言うことは、500年この神域で俺たちと共に過ごすこと。俺たちは500年周期で生まれ直すが、その度に魂が引っ張られる。今生で眷属の契りを解除しても、次代に眷属となることを断っても……この世界が続く限り、お前の魂は俺と結び付く」
「レヴィラスさまと、何代も……!?素晴らしいじゃないですか……!500年だろうと1000年だろうと……ニート生活を謳歌してみましょう……!」
「は……?ニート?」
レヴィラスが首を傾げるが……だけど1000年ニートはちょっと……!

「あの、せめてスローライフで……」
創世神も推奨してるし。

「う――む……楽そうですし、それでも……!」
こ……この子は……っ!!

「あと、多分地球に魂が戻ることはないよ」
この子の魂は元々こちらのものだが……初代との邂逅の影響か……彼女の魂は一度地球に渡った。

「学校……いや……」
そこなのか!?

「18禁が18までダメだなんて耐えられません……!」
「いや、何のための規制だと……!こっちでも未成年に相応しくないものは……その、ダメだから」
こちらだと成人は15歳……かな。だからか、時折勇者パーティーが15歳となることもある。こちらでは……成人だから。そして魔神が争うことを放棄してからは、まだましなはず。魔王がいた時代と違って、人間たちの存亡が危機迫っているわけじゃないから、育成もしっかりするだろうし……。

「ソラ?どうしたのですか?何かとっても悩んでます……!でも聞こえないのはどうしてか分からないのです……!」
「あ、それは……大丈夫だよ。俺が……魔神の魂を持つから、ファナには聞こえなくできる」
「何ですかそのカッコいいの――――――――っ!私もレヴィラスさまのプリンセス・ダイナマイト眷属します……!」
いや、プリンセス・ダイナマイト眷属って何!?

「眷属に変なもんつけんな……!」
レヴィラスもさすがに突っ込んだ。

「つか、もう、うるさいし……神域の外に捨てて来ないか。むしろヴィオルに返却だ……っ!」
レヴィラス容赦ないな……!

「えぇー、ヴィオルさまは嫌ですー」
ほんにんの前でこの子もすごいな!?むしろレヴィラスと息が合うんじゃないかな!?

「はははははっ」
ヴィオルはさすがの貫禄か、気にしてないみたいだけど。

「元よりこの娘は我の信徒ではなく、レヴィラスの信徒であるぞ」
「そうです……!」
ファナもこくんと頷く。やっぱガチだよな……祈りの文言まで唱えてたし。すごくアレンジしてたけど。

「だからって……」
レヴィラスが口を尖らすが。

「それにレヴィラスの眷属になれば、この娘が願ってもそれを破棄できるであろう?」
あぁ……信徒にはならないし、人間のことわりを外れるから。眷属ならば人間の祈りの言葉は……主に捧げる詩となる。それに対価をもらって叶えるかどうかはレヴィラスの自由だし、断ることもできる。たとえレヴィラスが暴走したとしても……眷属の彼女はレヴィラスの贄となり得ない。

「願い……成就しないんですかぁ――――――――っ!?」
「成就したら喰われるよ?」
レインがにっこりと。

「ひぇっ」
「だけど眷属なら詩を捧げるだけだから、好きなだけ叫べるかなぁ?」
そのレインの言葉に……。

「じゃーぁ、なります!レヴィラスさまの眷属ダイナマイト・バディに……!」
いや、まとまりかけてるのはいいけど、さっきから眷属に変なものたくさんついてる……!!

「……お前がなるのはただの眷属だ……!」
レヴィラスが告げる。眷属にする気、起きたのか?

「言っておくがお前の祈りがやかましいから……だからな!?」
「やかましいほど……愛されてる、私……!」
(レヴィラスさま……愛……!!)
ポジティブ!!

「あと、お前は狼と猫の下だ」
あ、うん。グレイとブランの方が先輩だもんな。

「お猫さまの下僕なら喜んで!」
いや、それは主が違うけどなんとなくわかる!!

「狼の子分でもあるぞ」
「もふもふは……正義……!」
それも、分かるけど……!

「一度結べば……引き返せねぇぞ」
「……推し神を推し貫く覚悟は、できております……!」
お……推し貫くって……。まぁ、レヴィラスのことを推してくれるのは……レヴィラスのことを好きだと思ってくれているわけだし。彼女が願っても、それは対価を捧げる祈りではなく、詩となる。

「俺は……レヴィラスの意思に任せるよ」
「……ソラ……」
レヴィラスの力に惑わされず、側にいてくれる存在が……増えるのなら。
「でも一番はソラだ」
俺の考えを感じ取ったのかな?そこは譲れないらしい。

「分かってるよ」
「なら……」
レヴィラスはファナに向かい合い、そしてファナに掌を向ける。

『ファナ・ダイヤモンド・クレアパトラ。(なんじ)を我が眷属と思()許さん』

「はい、レヴィラスさま」

そして眩い神の光とともに、彼女の魂に契約が刻まれた……。

そうして……。

「ちょっとみんな……!帰ってきたにしては全然入って来ないと思ったら、何をしているの?」
あ、スノウ……!?
スノウがきょとんとしながら屋敷の中からこちらを覗いていた。