♢♦♢
~ペトラ遺跡・西ルート~
「――いた。あそこだ! クレーグ達がいる」
「モンスターと戦ってるみたい」
「ニクス。奴の真上に行ってくれ。俺が仕留める」
「了解!」
見つけたクレーグ達2番隊はやはりモンスターと戦っていた。見た事の無いモンスターだが強さはかなりのもの。恐らくオロチが魔石を使って生み出したモンスターだろう。
「“トール”!」
――バリバリバリバリッ!
「「……!」」
俺はニクスから飛び降り、真上からモンスターに攻撃を食らわせそのまま仕留めた。
「……ルカ⁉」
「ニクスもレベッカもいるぞ!」
「ここにいるという事はもしかして……!」
俺達が突如現れた事に、クレーグ達は皆驚きの表情を浮かべている。
「クレーグ! それに皆も無事か?」
「こっちは大丈夫だよ。まぁまぁ手強かったけどね。それより……」
「ああ。オロチの野郎は倒してきたぜ!」
「「おおー!!」」
俺がそう伝えると、皆ガッツポーズをして喜んでくれた。
「ルカ達も無事で良かったよ!」
「一安心……」
「よくオロチを倒したわね。未だに信じられないわ……」
「取り敢えず話は後で。皆俺の背中に乗って。ダッジ隊長のところにも向かおう」
今度は俺がドラゴン化して、クレーグ達全員を背に乗せた。そしてダッジ隊長達の元へ向かう――。
~ペトラ遺跡・北ルート~
魔力を辿って急いでダッジ隊長達の元へ来たが……。
「流石隊長……。こっちは片付いているみたいだね」
上空からダッジ隊長を見つけたが、隊長達の周りにはモンスターの残骸があちこちに散らばっていた。どんな戦い方をしたらこうなるんだろうか……。まぁ兎も角無事で良かったけど。
「「――隊長!」」
俺達はゆっくりと地上に降り、皆の無事を確認した。
「ルカではないか……。まさか、オロチを倒したのか?」
「はい。結構危なくてギリギリでしたが何とか……。隊長達は余裕みたいですね」
「当たり前だ。コイツらのいいトレーニングにもなった」
「おー……ルカじゃねぇか……」
「何? もう親玉倒したの……」
「流石ね……」
成程。余裕なのはダッジ隊長だけで、こっちもこっちで相当な激戦だった様だ……。ヴァンもエレナもジェニーも何とか無事みたいだが完全に目が死んでる。
お疲れ様です……。
「ニクス。皆に回復魔法使えるか? 特にヴァン達が余りにも不憫で……」
「はい勿論。というか私も同じ事思っていたので……」
そう言って、ニクスは全員に回復魔法を施した。
すると、今にも疲労で倒れそうだったヴァンとエレナとジェニーの3人はみるみるうちに元気を取り戻していき、他の皆も体力と魔力が回復した様子だ。
「――よし!それでは全員、特殊隊へと帰るぞ!」
「「はいッ!!」」
こうして、俺達はペトラ遺跡を後にした――。
♢♦♢
~ドラシエル王国~
俺達特殊隊がオロチを倒した事は、瞬く間に王国中……そして世界へと伝わった――。
ジークが封印されてからというもの、実質全モンスターのトップに君臨していたオロチの影響力は想像以上に凄まじいものだった。故に、その強力な力の存在が無くなり、世界中のあちこちで直ぐに変化が生じたのだった。
これまでSランクやAランク指定のモンスターが数多く存在していたのだが、暫くすると急激に数が減っていき、数ヶ月も経つとSランクやAランクはおろか、強くてもBランク程度のモンスターがたまに出る程度となった。
世界中からモンスターの脅威が無くなった事により大勢の人が喜び祝った。何処の王国でも連日のように宴や催し物が開かれ、世界中がお祭り状態だ――。
オロチ討伐の報告を国王にした俺達特殊隊は、国王の粋な計らいにより全員が特別報酬を受け、皆ここぞとばかりに欲しい物や要求をしまくった。
皆の勢いに若干引いたが、世界を救ったと考えれば、全然ありなのかもしれない。
レベッカは何時ぞやのネオシティで泊まった、あの宿のフカフカベッドが未だに忘れられないらしく、それを国王にお願いしていた。何だかんだバタバタで直ぐ特殊隊にも入ったから、結局ベッド買ってあげられなかったな。まぁでもこれで間違いなくゲットだ。良かったなレベッカ。
♢♦♢
~大聖堂~
「――失礼します。“新婦”の準備が整いましたのでこちらへどうぞ」
「は、はい!」
やっべー。もうずっと緊張が収まらない……!心臓がバクバクだ。半年前にオロチと戦った時よりヤバいかも……。
「では“新郎様”はこちらでお待ち下さい」
「あ、はい!分かりました!」
そう。
オロチ討伐から早半年。
世界中が徐々に落ち着きを見せていく中、俺は今日結婚をする――。
勿論相手はレベッカだ。それ以外考えられない。
俺はオロチ討伐の特別報酬で国王に、レベッカとの結婚式をプレゼントしてもらった。
元から物欲があまり無かった俺は直ぐに欲しい物が浮かばず、気が付いたらレベッカと結婚式がしたいと口走っていた……。
ふと我に返った瞬間は体が燃える様に熱かったのを覚えている。レベッカも恥ずかしくてずっと下を向いていた。特殊隊の皆の茶化され弄られたのを一生忘れないだろう。
まぁそんなこんなで、今俺は色々な思い出が詰まったこの大聖堂で、レベッカと結婚をする――。
俺にとっては全ての始まり。
ここは母さんを失った絶望の場所でもあったが、ここから全てが始まったんだ。
ジークと出会い、そしてレベッカと出会った。それに他にも多くの出会いをさせてくれた。
この大聖堂は俺にとってもう悲しい場所ではない。寧ろかけがえのない場所だ。しかもここならきっと母さんも見てくれている筈――。
「――新郎様、参列者の皆様の移動が終わりましたので、こちらの扉から祭壇へお向かい下さい」
「わ、分かりました……」
そう言って係りの人が扉を開くと、国王やモレー大団長、それにマスターやジャックさんやフリードさんダッジ隊長や……って兎に角大勢の人が盛大な拍手で迎えてくれた。
とんでもなく恥ずかしくて照れくさい。
何度も皆に頭を下げながら、俺は神父の待つ祭壇まで足を運び、レベッカが来るのを待った。
そして……。
綺麗な音色が奏でられると同時、聖歌隊の歌も響き、直後に開いた扉の向こうから純白のドレスに身を包んだレベッカが現れた――。
「綺麗~!」
「可愛い過ぎるよレベッカ」
「素敵です!」
「ルカには勿体ないな」
「俺より先に結婚しやがって……」
「可愛いよ~レベッカ!」
レベッカの登場に皆も盛り上がりを見せた。
俺が言うのもアレだが……マジで可愛い。
多くの拍手を送られる中レベッカは1歩1歩ゆっくりとこちらに向かって来る。隣ではレベッカのお父さんがエスコートをしている。今も勿論緊張してるけど、レベッカの両親に挨拶に行った時も緊張したな。
「――頼んだよルカ君」
「はい」
エスコートを終え、レベッカの手が俺へと移された時、お義父さんが静かにそう言ってくれた。本当にしっかりしなくちゃと改めて思った。
「レベッカ、凄い綺麗だよ」
「フフフ、ありがとう。ルカも格好いいよ」
そんな言葉を交わしながら、俺達は2人で祭壇を上がり神父様の前に立った。
「――新郎、ルカさん。そして新婦、レベッカさん。貴方達はこの先健やかなるときも病める時も、互いに支え合い一生寄り添う事を誓いますか?」
「「はい。誓います」」
「それでは……誓いの口付けを――」
向かい合ってレベッカのベールを上げると、いつの間にか緊張が消えていた。目の前にいる何よりも大切なレベッカを見て、安心感が生まれていた。
これから先もずっと、俺はレベッカを守って幸せにする。
そう思いながら、俺はレベッカの唇にそっと口付けをした――。
~ペトラ遺跡・西ルート~
「――いた。あそこだ! クレーグ達がいる」
「モンスターと戦ってるみたい」
「ニクス。奴の真上に行ってくれ。俺が仕留める」
「了解!」
見つけたクレーグ達2番隊はやはりモンスターと戦っていた。見た事の無いモンスターだが強さはかなりのもの。恐らくオロチが魔石を使って生み出したモンスターだろう。
「“トール”!」
――バリバリバリバリッ!
「「……!」」
俺はニクスから飛び降り、真上からモンスターに攻撃を食らわせそのまま仕留めた。
「……ルカ⁉」
「ニクスもレベッカもいるぞ!」
「ここにいるという事はもしかして……!」
俺達が突如現れた事に、クレーグ達は皆驚きの表情を浮かべている。
「クレーグ! それに皆も無事か?」
「こっちは大丈夫だよ。まぁまぁ手強かったけどね。それより……」
「ああ。オロチの野郎は倒してきたぜ!」
「「おおー!!」」
俺がそう伝えると、皆ガッツポーズをして喜んでくれた。
「ルカ達も無事で良かったよ!」
「一安心……」
「よくオロチを倒したわね。未だに信じられないわ……」
「取り敢えず話は後で。皆俺の背中に乗って。ダッジ隊長のところにも向かおう」
今度は俺がドラゴン化して、クレーグ達全員を背に乗せた。そしてダッジ隊長達の元へ向かう――。
~ペトラ遺跡・北ルート~
魔力を辿って急いでダッジ隊長達の元へ来たが……。
「流石隊長……。こっちは片付いているみたいだね」
上空からダッジ隊長を見つけたが、隊長達の周りにはモンスターの残骸があちこちに散らばっていた。どんな戦い方をしたらこうなるんだろうか……。まぁ兎も角無事で良かったけど。
「「――隊長!」」
俺達はゆっくりと地上に降り、皆の無事を確認した。
「ルカではないか……。まさか、オロチを倒したのか?」
「はい。結構危なくてギリギリでしたが何とか……。隊長達は余裕みたいですね」
「当たり前だ。コイツらのいいトレーニングにもなった」
「おー……ルカじゃねぇか……」
「何? もう親玉倒したの……」
「流石ね……」
成程。余裕なのはダッジ隊長だけで、こっちもこっちで相当な激戦だった様だ……。ヴァンもエレナもジェニーも何とか無事みたいだが完全に目が死んでる。
お疲れ様です……。
「ニクス。皆に回復魔法使えるか? 特にヴァン達が余りにも不憫で……」
「はい勿論。というか私も同じ事思っていたので……」
そう言って、ニクスは全員に回復魔法を施した。
すると、今にも疲労で倒れそうだったヴァンとエレナとジェニーの3人はみるみるうちに元気を取り戻していき、他の皆も体力と魔力が回復した様子だ。
「――よし!それでは全員、特殊隊へと帰るぞ!」
「「はいッ!!」」
こうして、俺達はペトラ遺跡を後にした――。
♢♦♢
~ドラシエル王国~
俺達特殊隊がオロチを倒した事は、瞬く間に王国中……そして世界へと伝わった――。
ジークが封印されてからというもの、実質全モンスターのトップに君臨していたオロチの影響力は想像以上に凄まじいものだった。故に、その強力な力の存在が無くなり、世界中のあちこちで直ぐに変化が生じたのだった。
これまでSランクやAランク指定のモンスターが数多く存在していたのだが、暫くすると急激に数が減っていき、数ヶ月も経つとSランクやAランクはおろか、強くてもBランク程度のモンスターがたまに出る程度となった。
世界中からモンスターの脅威が無くなった事により大勢の人が喜び祝った。何処の王国でも連日のように宴や催し物が開かれ、世界中がお祭り状態だ――。
オロチ討伐の報告を国王にした俺達特殊隊は、国王の粋な計らいにより全員が特別報酬を受け、皆ここぞとばかりに欲しい物や要求をしまくった。
皆の勢いに若干引いたが、世界を救ったと考えれば、全然ありなのかもしれない。
レベッカは何時ぞやのネオシティで泊まった、あの宿のフカフカベッドが未だに忘れられないらしく、それを国王にお願いしていた。何だかんだバタバタで直ぐ特殊隊にも入ったから、結局ベッド買ってあげられなかったな。まぁでもこれで間違いなくゲットだ。良かったなレベッカ。
♢♦♢
~大聖堂~
「――失礼します。“新婦”の準備が整いましたのでこちらへどうぞ」
「は、はい!」
やっべー。もうずっと緊張が収まらない……!心臓がバクバクだ。半年前にオロチと戦った時よりヤバいかも……。
「では“新郎様”はこちらでお待ち下さい」
「あ、はい!分かりました!」
そう。
オロチ討伐から早半年。
世界中が徐々に落ち着きを見せていく中、俺は今日結婚をする――。
勿論相手はレベッカだ。それ以外考えられない。
俺はオロチ討伐の特別報酬で国王に、レベッカとの結婚式をプレゼントしてもらった。
元から物欲があまり無かった俺は直ぐに欲しい物が浮かばず、気が付いたらレベッカと結婚式がしたいと口走っていた……。
ふと我に返った瞬間は体が燃える様に熱かったのを覚えている。レベッカも恥ずかしくてずっと下を向いていた。特殊隊の皆の茶化され弄られたのを一生忘れないだろう。
まぁそんなこんなで、今俺は色々な思い出が詰まったこの大聖堂で、レベッカと結婚をする――。
俺にとっては全ての始まり。
ここは母さんを失った絶望の場所でもあったが、ここから全てが始まったんだ。
ジークと出会い、そしてレベッカと出会った。それに他にも多くの出会いをさせてくれた。
この大聖堂は俺にとってもう悲しい場所ではない。寧ろかけがえのない場所だ。しかもここならきっと母さんも見てくれている筈――。
「――新郎様、参列者の皆様の移動が終わりましたので、こちらの扉から祭壇へお向かい下さい」
「わ、分かりました……」
そう言って係りの人が扉を開くと、国王やモレー大団長、それにマスターやジャックさんやフリードさんダッジ隊長や……って兎に角大勢の人が盛大な拍手で迎えてくれた。
とんでもなく恥ずかしくて照れくさい。
何度も皆に頭を下げながら、俺は神父の待つ祭壇まで足を運び、レベッカが来るのを待った。
そして……。
綺麗な音色が奏でられると同時、聖歌隊の歌も響き、直後に開いた扉の向こうから純白のドレスに身を包んだレベッカが現れた――。
「綺麗~!」
「可愛い過ぎるよレベッカ」
「素敵です!」
「ルカには勿体ないな」
「俺より先に結婚しやがって……」
「可愛いよ~レベッカ!」
レベッカの登場に皆も盛り上がりを見せた。
俺が言うのもアレだが……マジで可愛い。
多くの拍手を送られる中レベッカは1歩1歩ゆっくりとこちらに向かって来る。隣ではレベッカのお父さんがエスコートをしている。今も勿論緊張してるけど、レベッカの両親に挨拶に行った時も緊張したな。
「――頼んだよルカ君」
「はい」
エスコートを終え、レベッカの手が俺へと移された時、お義父さんが静かにそう言ってくれた。本当にしっかりしなくちゃと改めて思った。
「レベッカ、凄い綺麗だよ」
「フフフ、ありがとう。ルカも格好いいよ」
そんな言葉を交わしながら、俺達は2人で祭壇を上がり神父様の前に立った。
「――新郎、ルカさん。そして新婦、レベッカさん。貴方達はこの先健やかなるときも病める時も、互いに支え合い一生寄り添う事を誓いますか?」
「「はい。誓います」」
「それでは……誓いの口付けを――」
向かい合ってレベッカのベールを上げると、いつの間にか緊張が消えていた。目の前にいる何よりも大切なレベッカを見て、安心感が生まれていた。
これから先もずっと、俺はレベッカを守って幸せにする。
そう思いながら、俺はレベッカの唇にそっと口付けをした――。