「それで店のほうはどうなんだ?」
「ええ、順調ですよ。新しい従業員も雇えましたし、大きなトラブルも今のところはないですからね」
「ほう、また新しく従業員を雇ったんだな。順調じゃねえか」
「……雇ったのは元Cランク冒険者のドルファだ」
「んっ? あのドルファか! そいつはまた……いや、あいつの妹さえ関わらなきゃ問題ねえか」
リリアがドルファのことを話す。どうやらライザックさんもドルファさんのシスコンぶりについて知っているらしい。
「まあ戦闘能力は問題ないだろ。そもそも妹と一緒にこの街で暮らすことにこだわらず、他の街へ行っていれば、とっくにCランク冒険者に上がっていただろうからな」
「へえ〜そうなんですね」
「この街は駆け出し冒険者が多い街で、周囲にそれほど強い魔物もいねえから、そもそも高いランクの依頼があまり回ってこねえんだよ」
なるほど。それもあって、ある程度経験を積んだ冒険者達はこの街から他の街を目指すんだな。
「今のところ仕事についてはまったく問題なさそうですよ。接客についても、むしろ普通の人よりも上手なくらいです」
「問題なさそうならなによりだぜ。ドルファのこともそうだが、もしなんか困ったことがあれば、遠慮なく冒険者ギルドを頼ってくれ」
「……ありがとうございます」
冒険者ギルドマスターのライザックさんからそう言ってもらえるのはありがたい。しかし純粋に信じきれない自分もいる……元の世界での仕事のように、どうしても商売をしている相手だと警戒してしまうんだよな。
「テツヤ、あまり深く考えなくて大丈夫だ。ギルドマスターはいつも細かいことなんて考えていないからな。それでパトリスがいつも苦労しているんだ……」
「やかましい! 俺は細かいことを考えるのが苦手だと自覚してっからいいんだよ。……ああ、そういうことか。リリアの言う通り、別に手を貸したからって、もっと安くしろだの、もっと仕入れさせろなんてことは言わねえよ。
俺もパトリスのやつもテツヤには感謝しているんだぜ。テツヤの店で売っている便利な道具のおかげで、駆け出し冒険者が森で迷う可能性が減ったからよ。
そのおかげで捜索隊やら救助隊を出す機会も減って、冒険者ギルド全体の支出も減ったし、依頼の消化率も上がっている」
……なるほど、どうやら駆け出し冒険者だけでなく、冒険者ギルドにも役に立っていたらしい。
「だからこそ、テツヤの店みたいに駆け出し冒険者の役に立ってくれる店は大歓迎だ。大抵の面倒ごとなら揉み消してやるから、遠慮なく声をかけてくれりゃあいい」
揉み消すって言っちゃったよ! というよりライザックさんなら、本当に物理的に揉み消しちゃいそうで怖い……
「ありがとうございます。この街では新参者の商店ですからね、なにかあったら遠慮なく相談させてもらいますよ!」
どうやら本気で俺やお店のことを心配してくれるようだ。その気持ちは本当にありがたい限りだ。本当に困ったら遠慮なく相談させてもらうとしよう。
「おうよ! そんじゃあ今日はとことん飲むぞ! そんなわけでその礼だ。冒険者ギルドの食堂にはいろんな肉や魚を揃えてあるからよ、遠慮なく好きなもんを頼んでくれよな」
うむ、こういう時はあまり遠慮をすべきではないな。ありがたくお言葉に甘えるとしよう。
「実を言うとまだ食べたことのない肉や魚が多いんですよね。ありがたく楽しませていただきますよ」
「おう、こっちのレッドシュリンプの塩焼きやストライプサーモンの塩焼きもうめえぞ!」
「テツヤ、このラミネー鳥やエグラ鹿の肉はこの辺りでは獲れないからおすすめだぞ!」
「おお、確かにどれもまだ食べたことがないな!」
確かに冒険者ギルドの食堂には俺がまだ食べたことがない肉や魚が多くあった。やはり異世界の新しい食材というものはどれも楽しみである。
そのあとは酒や料理を楽しみ、ライザックさんやリリアからいろいろな冒険譚を聞いた。ライザックさんは元Aランク冒険者で、かなり有名な冒険者だったようだ。美味しい酒も飲めたし、久しぶりに楽しい夜を過ごせた。
◆ ◇ ◆ ◇ ◆
「「「ありがとうございました!」」」
無事に今週の1週間が終わった。冒険者ギルドマスターのライザックさんと一緒に酒を飲んだ次の日も無事に酒を飲み過ぎることなく、営業を終えることができた。
もしも止めてくれるリリアがいなかったら、ライザックさんと酒を飲みすぎて次の日に影響していたかもしれない。ちなみにライザックさんは俺の何倍もの酒を飲んでいたけれど、次の日は大丈夫だったのかな……
「みんな、お疲れさま。ドルファも1週間お疲れさま。たった1週間でだいぶ仕事に慣れてきたみたいだね。お試しの1週間が終わって、お店としては正式に雇いたいと思うんだけど、ドルファはどうかな?」
「ああ、俺としてもぜひこの店で働かせてほしい。仕事内容も問題ないし、なにより新人冒険者を応援できてやりがいもある」
「そういってもらえてなによりだよ。それじゃあ今後もよろしくな!」
「よ、よろしくお願いします!」
「よろしく頼む!」
「ああ、こちらこそよろしく頼む!」
よし、無事に従業員も確保できたな。これで来週からも多少は楽になる。それに来週が終わったあたりで、少し無理をすれば、アウトドアショップの能力がまたレベルアップできそうだ。
おかげで今ある資金の限界まで商品を買うことになって、倉庫がいっぱいになりそうだけどな。またいろいろと忙しくなりそうだ。
「ええ、順調ですよ。新しい従業員も雇えましたし、大きなトラブルも今のところはないですからね」
「ほう、また新しく従業員を雇ったんだな。順調じゃねえか」
「……雇ったのは元Cランク冒険者のドルファだ」
「んっ? あのドルファか! そいつはまた……いや、あいつの妹さえ関わらなきゃ問題ねえか」
リリアがドルファのことを話す。どうやらライザックさんもドルファさんのシスコンぶりについて知っているらしい。
「まあ戦闘能力は問題ないだろ。そもそも妹と一緒にこの街で暮らすことにこだわらず、他の街へ行っていれば、とっくにCランク冒険者に上がっていただろうからな」
「へえ〜そうなんですね」
「この街は駆け出し冒険者が多い街で、周囲にそれほど強い魔物もいねえから、そもそも高いランクの依頼があまり回ってこねえんだよ」
なるほど。それもあって、ある程度経験を積んだ冒険者達はこの街から他の街を目指すんだな。
「今のところ仕事についてはまったく問題なさそうですよ。接客についても、むしろ普通の人よりも上手なくらいです」
「問題なさそうならなによりだぜ。ドルファのこともそうだが、もしなんか困ったことがあれば、遠慮なく冒険者ギルドを頼ってくれ」
「……ありがとうございます」
冒険者ギルドマスターのライザックさんからそう言ってもらえるのはありがたい。しかし純粋に信じきれない自分もいる……元の世界での仕事のように、どうしても商売をしている相手だと警戒してしまうんだよな。
「テツヤ、あまり深く考えなくて大丈夫だ。ギルドマスターはいつも細かいことなんて考えていないからな。それでパトリスがいつも苦労しているんだ……」
「やかましい! 俺は細かいことを考えるのが苦手だと自覚してっからいいんだよ。……ああ、そういうことか。リリアの言う通り、別に手を貸したからって、もっと安くしろだの、もっと仕入れさせろなんてことは言わねえよ。
俺もパトリスのやつもテツヤには感謝しているんだぜ。テツヤの店で売っている便利な道具のおかげで、駆け出し冒険者が森で迷う可能性が減ったからよ。
そのおかげで捜索隊やら救助隊を出す機会も減って、冒険者ギルド全体の支出も減ったし、依頼の消化率も上がっている」
……なるほど、どうやら駆け出し冒険者だけでなく、冒険者ギルドにも役に立っていたらしい。
「だからこそ、テツヤの店みたいに駆け出し冒険者の役に立ってくれる店は大歓迎だ。大抵の面倒ごとなら揉み消してやるから、遠慮なく声をかけてくれりゃあいい」
揉み消すって言っちゃったよ! というよりライザックさんなら、本当に物理的に揉み消しちゃいそうで怖い……
「ありがとうございます。この街では新参者の商店ですからね、なにかあったら遠慮なく相談させてもらいますよ!」
どうやら本気で俺やお店のことを心配してくれるようだ。その気持ちは本当にありがたい限りだ。本当に困ったら遠慮なく相談させてもらうとしよう。
「おうよ! そんじゃあ今日はとことん飲むぞ! そんなわけでその礼だ。冒険者ギルドの食堂にはいろんな肉や魚を揃えてあるからよ、遠慮なく好きなもんを頼んでくれよな」
うむ、こういう時はあまり遠慮をすべきではないな。ありがたくお言葉に甘えるとしよう。
「実を言うとまだ食べたことのない肉や魚が多いんですよね。ありがたく楽しませていただきますよ」
「おう、こっちのレッドシュリンプの塩焼きやストライプサーモンの塩焼きもうめえぞ!」
「テツヤ、このラミネー鳥やエグラ鹿の肉はこの辺りでは獲れないからおすすめだぞ!」
「おお、確かにどれもまだ食べたことがないな!」
確かに冒険者ギルドの食堂には俺がまだ食べたことがない肉や魚が多くあった。やはり異世界の新しい食材というものはどれも楽しみである。
そのあとは酒や料理を楽しみ、ライザックさんやリリアからいろいろな冒険譚を聞いた。ライザックさんは元Aランク冒険者で、かなり有名な冒険者だったようだ。美味しい酒も飲めたし、久しぶりに楽しい夜を過ごせた。
◆ ◇ ◆ ◇ ◆
「「「ありがとうございました!」」」
無事に今週の1週間が終わった。冒険者ギルドマスターのライザックさんと一緒に酒を飲んだ次の日も無事に酒を飲み過ぎることなく、営業を終えることができた。
もしも止めてくれるリリアがいなかったら、ライザックさんと酒を飲みすぎて次の日に影響していたかもしれない。ちなみにライザックさんは俺の何倍もの酒を飲んでいたけれど、次の日は大丈夫だったのかな……
「みんな、お疲れさま。ドルファも1週間お疲れさま。たった1週間でだいぶ仕事に慣れてきたみたいだね。お試しの1週間が終わって、お店としては正式に雇いたいと思うんだけど、ドルファはどうかな?」
「ああ、俺としてもぜひこの店で働かせてほしい。仕事内容も問題ないし、なにより新人冒険者を応援できてやりがいもある」
「そういってもらえてなによりだよ。それじゃあ今後もよろしくな!」
「よ、よろしくお願いします!」
「よろしく頼む!」
「ああ、こちらこそよろしく頼む!」
よし、無事に従業員も確保できたな。これで来週からも多少は楽になる。それに来週が終わったあたりで、少し無理をすれば、アウトドアショップの能力がまたレベルアップできそうだ。
おかげで今ある資金の限界まで商品を買うことになって、倉庫がいっぱいになりそうだけどな。またいろいろと忙しくなりそうだ。