「ほい、お待たせ。今日の朝食はダナマベアの燻製肉とたまごとチーズのホットサンドだ」
昨日の面接が終わったあと、リリアと話し合ってドルファさんを雇うことに決めた。今日はドルファさんがお店に来て、お店の説明をしたり、接客の練習をする予定だ。
休みの日に申し訳ないのだが、フィアちゃんにも顔合わせをさせたいので、一足先にお店に来てもらって、みんなで朝食を取っている。
「良い匂いです!」
「ああ、見た目も美味しそうだな!」
今日の朝食は冒険者ギルドマスターのライザックさんからお店の開店祝いにもらった高級食材のダナマベアの燻製肉と目玉焼きとチーズを入れたホットサンドだ。
ステーキや鍋にして食べたダナマベアの肉のあまりは、長時間燻製することによって保存しておいた。肉はそのままだとすぐに駄目になってしまうが、燻製することによって数週間はもつ。
「うむ、濃い味の付いたダナマベアの燻製肉にたまごと溶けたチーズが絡んで最高に美味しいぞ!」
「こっちのスープとサラダも美味しいです!」
ダナマベアの燻製肉にはいつものアウトドアスパイスで味付けをしている。少し味を濃くしておくと目玉焼きやチーズと合わさってちょうどいい味になる。
「ダナマベアの燻製肉もこれでおしまいだから、よく味わっておかないとな」
ダナマベアの肉もこれで終わりである。ちなみに昨日は面接が終わったあと、方位磁石を冒険者ギルドに卸しにいくついでに、ライザックさんにお礼を伝えた。
その時にダナマベアの燻製肉にアウトドアスパイスをかけたものをライザックさんに持っていったら、普通に焼くよりもうめえと、ものすごく感謝された。
酒の肴になると伝えたら特に喜んでいたな。相変わらず顔は怖いが、ライザックさんの顔に多少は慣れてきた。酒も飲めるようだし、今度はぜひ一緒に飲みに行きたいところだ。
「とっても美味しかったのに、残念だね……」
「今度の休みの日には久しぶりに狩りにでも行ってくるか。ダナマベアの肉とまではいかないが、角ウサギやライガー鳥もなかなか美味しいぞ」
「おお、それは期待しちゃうな!」
とりあえず来週はゆっくりと休みを取ることにしよう。どんなに仕事が忙しくても安らぎの時間は大切である。
「ドルファという。今日からこの店でお世話になる。接客の仕事は初めてだから、迷惑をかけることもあると思うが、どうかよろしく頼む」
そしてお店にドルファさんがやってきた。相変わらずのイケメンぷりである。冒険者の時に使っていたと思われる武器や防具を装備している。
うちの店ではまだ制服のようなものはない。リリアも軽めの防具だし、フィアちゃんや俺は普通の服である。従業員も増えたし、今度このお店の制服を作るとしよう。
「フ、フィアです! よろしくお願いします!」
「リリアだ、よろしく頼む」
「テツヤだ。このアウトドアショップの店長をしている。こちらこそよろしくな、ドルファさん」
「ドルファで大丈夫だ、テツヤさん」
「そうか、俺もテツヤで大丈夫だぞ」
「年上で雇い主だからな、テツヤさんと呼ばしてもらうさ」
「まあ呼び方は任せるよ。えっとそれで……」
そう、店に来ていたのはドルファだけではなかった。なぜかもうひとり同行者がいたのだ。
「初めまして、アンジュと申します。この度は兄がお世話になります」
ドルファと同じ茶色い髪に整った顔立ち。髪型もドルファと同じで、髪を後ろに束ねたポニーテールだ。身長は160くらいで、年頃は高校生くらいだろうか。
……この国で一番可愛いかは分からないが、確かに可愛い女性ではある。彼女がドルファの妹さんのアンジュさんか。
しかしなぜ妹さんも? もしかして妹さんのほうもブラコンで、兄を心配してやってきたなんて話じゃないだろうな。さすがにそこまでいくと、ちょっと引いてしまうぞ……
「すみません、兄がお世話になると聞いたのでご挨拶に来ました。実は兄は私のことになるとちょっと……いえ、かなり無茶をすることがあるんです……その場合には私の名前を出してくれれば、大抵は収まりますので」
……どうやら兄が暴走した時のために、止め方をわざわざ教えに来てくれたようだ。アンジュさんに嫌われるぞ、とか言えば収まるのだろうか。いや、そこまで単純じゃないか……
「わざわざアンジュまで挨拶に来る必要はないと言ったんだがすまないな。まあ俺としてはアンジュと1秒でも長くいれて嬉しい限りなんだが!」
「「「………………」」」
デレデレとした顔でアンジュさんを見つめるドルファ。うん、そこまで単純そうかもしれない……
「……兄が本当にすみません。ですが仕事はちゃんとやると思いますので、どうかよろしくお願いします」
……妹さんもだいぶ苦労しているようだな。よかった、どうやら妹さんはまともな性格らしい!
「それでは失礼します。兄さん、みなさんに迷惑だけはかけないでくださいね!」
「あ、ああ! もちろんだよ、アンジュ!」
綺麗な姿勢で頭を下げてから、帰っていくアンジュさん。う〜む、この兄にしてこの妹さんか……いや、この兄だからこそ、立派でまともに育ったのかもしれないな。
昨日の面接が終わったあと、リリアと話し合ってドルファさんを雇うことに決めた。今日はドルファさんがお店に来て、お店の説明をしたり、接客の練習をする予定だ。
休みの日に申し訳ないのだが、フィアちゃんにも顔合わせをさせたいので、一足先にお店に来てもらって、みんなで朝食を取っている。
「良い匂いです!」
「ああ、見た目も美味しそうだな!」
今日の朝食は冒険者ギルドマスターのライザックさんからお店の開店祝いにもらった高級食材のダナマベアの燻製肉と目玉焼きとチーズを入れたホットサンドだ。
ステーキや鍋にして食べたダナマベアの肉のあまりは、長時間燻製することによって保存しておいた。肉はそのままだとすぐに駄目になってしまうが、燻製することによって数週間はもつ。
「うむ、濃い味の付いたダナマベアの燻製肉にたまごと溶けたチーズが絡んで最高に美味しいぞ!」
「こっちのスープとサラダも美味しいです!」
ダナマベアの燻製肉にはいつものアウトドアスパイスで味付けをしている。少し味を濃くしておくと目玉焼きやチーズと合わさってちょうどいい味になる。
「ダナマベアの燻製肉もこれでおしまいだから、よく味わっておかないとな」
ダナマベアの肉もこれで終わりである。ちなみに昨日は面接が終わったあと、方位磁石を冒険者ギルドに卸しにいくついでに、ライザックさんにお礼を伝えた。
その時にダナマベアの燻製肉にアウトドアスパイスをかけたものをライザックさんに持っていったら、普通に焼くよりもうめえと、ものすごく感謝された。
酒の肴になると伝えたら特に喜んでいたな。相変わらず顔は怖いが、ライザックさんの顔に多少は慣れてきた。酒も飲めるようだし、今度はぜひ一緒に飲みに行きたいところだ。
「とっても美味しかったのに、残念だね……」
「今度の休みの日には久しぶりに狩りにでも行ってくるか。ダナマベアの肉とまではいかないが、角ウサギやライガー鳥もなかなか美味しいぞ」
「おお、それは期待しちゃうな!」
とりあえず来週はゆっくりと休みを取ることにしよう。どんなに仕事が忙しくても安らぎの時間は大切である。
「ドルファという。今日からこの店でお世話になる。接客の仕事は初めてだから、迷惑をかけることもあると思うが、どうかよろしく頼む」
そしてお店にドルファさんがやってきた。相変わらずのイケメンぷりである。冒険者の時に使っていたと思われる武器や防具を装備している。
うちの店ではまだ制服のようなものはない。リリアも軽めの防具だし、フィアちゃんや俺は普通の服である。従業員も増えたし、今度このお店の制服を作るとしよう。
「フ、フィアです! よろしくお願いします!」
「リリアだ、よろしく頼む」
「テツヤだ。このアウトドアショップの店長をしている。こちらこそよろしくな、ドルファさん」
「ドルファで大丈夫だ、テツヤさん」
「そうか、俺もテツヤで大丈夫だぞ」
「年上で雇い主だからな、テツヤさんと呼ばしてもらうさ」
「まあ呼び方は任せるよ。えっとそれで……」
そう、店に来ていたのはドルファだけではなかった。なぜかもうひとり同行者がいたのだ。
「初めまして、アンジュと申します。この度は兄がお世話になります」
ドルファと同じ茶色い髪に整った顔立ち。髪型もドルファと同じで、髪を後ろに束ねたポニーテールだ。身長は160くらいで、年頃は高校生くらいだろうか。
……この国で一番可愛いかは分からないが、確かに可愛い女性ではある。彼女がドルファの妹さんのアンジュさんか。
しかしなぜ妹さんも? もしかして妹さんのほうもブラコンで、兄を心配してやってきたなんて話じゃないだろうな。さすがにそこまでいくと、ちょっと引いてしまうぞ……
「すみません、兄がお世話になると聞いたのでご挨拶に来ました。実は兄は私のことになるとちょっと……いえ、かなり無茶をすることがあるんです……その場合には私の名前を出してくれれば、大抵は収まりますので」
……どうやら兄が暴走した時のために、止め方をわざわざ教えに来てくれたようだ。アンジュさんに嫌われるぞ、とか言えば収まるのだろうか。いや、そこまで単純じゃないか……
「わざわざアンジュまで挨拶に来る必要はないと言ったんだがすまないな。まあ俺としてはアンジュと1秒でも長くいれて嬉しい限りなんだが!」
「「「………………」」」
デレデレとした顔でアンジュさんを見つめるドルファ。うん、そこまで単純そうかもしれない……
「……兄が本当にすみません。ですが仕事はちゃんとやると思いますので、どうかよろしくお願いします」
……妹さんもだいぶ苦労しているようだな。よかった、どうやら妹さんはまともな性格らしい!
「それでは失礼します。兄さん、みなさんに迷惑だけはかけないでくださいね!」
「あ、ああ! もちろんだよ、アンジュ!」
綺麗な姿勢で頭を下げてから、帰っていくアンジュさん。う〜む、この兄にしてこの妹さんか……いや、この兄だからこそ、立派でまともに育ったのかもしれないな。