「いやあ、良い買い物ができたな。また買いにくるよ!」
「「「ありがとうございました!」」」
オープン初日の営業が無事に終わり、最後のお客さんを3人で見送り、店の入り口にある『営業中』と書いてあるボードを『閉店』にひっくり返す。
「ああ〜疲れた〜」
「もう動けないです」
「フィアちゃんはともかく、テツヤはもう少し身体を鍛えたほうがいいんじゃないか?」
そう言うリリアは、まだまだ元気そうだ。俺も元の世界ではそこそこ体力のあるほうだと思っていたが、力作業をするにはまだ足りなかったらしい。接客をしたり、商品を棚卸しするのはかなり体力がいる。
「確かにもう少し身体を鍛えておけばよかったかもしれないね……とりあえず2人とも今日は本当にお疲れさま! 2人が頑張ってくれたおかげで、お店にとって大事だったオープン初日を乗り切ることができたよ」
「ああ、無事に終わってなによりだ。しかし冒険者の依頼と違って、接客業というのはなかなか難しいものだな。お客さんを相手にしなければならないし、片腕だとどうしても厳しい時もある……」
「いやいや、リリアの接客は完璧だったよ。普段から言葉遣いも丁寧だし、そのままで全然大丈夫だから。護衛も意識しながらあれだけの接客ができていたら満点だよ!」
「そ、そうか。それならよかった」
「うう……フィアは失敗ばかりで、テツヤお兄ちゃんに迷惑をかけてごめんなさいです……」
「フィアちゃんも全然大丈夫だよ! あれだけ忙しかったんだから、失敗するのは当然だから。失敗を少しずつ減らしていけばいいだけだよ。それに後半は慣れてきて、失敗はほとんどなかったし、お客さんへの接客も満点だったね!」
「ほ、本当ですか?」
「うん。お客さんに笑顔で丁寧に対応していたし、店の商品について聞かれた時もちゃんと答えられていたよ。
リリアとフィアちゃんがいてくれて、本当によかったよ。あと少しの間は忙しいと思うけれど、1週間もすれば落ち着くと思う。2人には悪いけれど、もう少しだけ頑張ってほしい」
「うん! フィア頑張るよ!」
「ああ、私も全力を尽くそう!」
2人がいてくれて本当に助かった。今日はお客さんが多くて、多少待たせてしまうこともあったが、しばらくすればこの忙しさもある程度落ち着くだろう。それでも忙しそうなら、もうひとりかふたりくらい従業員を雇うとしよう。
「それにしてもテツヤは本当に凄いのだな! あれだけお客さんが来ていても、常に落ち着いて周りの状況を見ているし、小さなトラブルが起きてもすぐに対応してくれていたな」
「フィアがお釣りを間違えた時も、テツヤお兄ちゃんは別のお客さんの対応をしていたのに気付いてくれたよね! 一番動いていたのにとても凄かったよ!」
「……悲しいことに、前の世界で働いていたことが役に立ったみたいだよ。絶対に感謝はしないけどね!」
悲しいことに元の世界のブラック企業で働いた経験が、また役に立ってしまったようだ。営業はトーク力だけでなく、対応力も鍛えられるんだよなあ……どんなに忙しくても、周りを見て冷静に仕事をしないといけないのである。でもあのブラック企業に感謝だけはしたくないぞ!
「とりあえず今日は2人とも本当にお疲れさま! そういえば冒険者ギルドマスターのライザックさんが、開店祝いに高級食材をくれたからみんなで食べよう。今日は忙しくて、もうお腹がペコペコだよ!」
「フィアもお腹ペコペコです!」
時刻はまだ夕方だが、お腹はとても空いている。今日のお昼は軽食だったことと、いろいろと動き回って働いていたこともあって、もうお腹が限界である。
ロイヤ達から貰った開店祝いの沢山のお花は花瓶に入れて店の入り口に飾ってある。ライザックさんから貰ったお肉はすでに2階に運んである。ロイヤ達やライザックさんには改めてお礼をするとしよう。
「そういえばギルドマスターから食材をもらったと言っていたな。何をもらったんだ?」
「なんだっけな……確かダナマベアの肉とか言っていたか。冒険者ギルドじゃなくて、ライザックさんが自分で仕留めてくれたってさ」
「おお、ダナマベアはかなりの高級食材だぞ! この辺りでは獲れない魔物だから、ギルドマスターはわざわざ遠くまで狩りに行ってくれたのだな」
「そうなんだ。今度またちゃんとお礼を言いにいかないといけないな。あと方位磁石のおかげで、森で迷う冒険者が減ったって喜んでいたよ」
「なるほど。方位磁石があれば森で迷う冒険者が減る。冒険者ギルドとしても、テツヤのお店に感謝しているのだろう」
「俺としてもロイヤ達みたいな冒険者に少しでも恩を返せてよかったよ。そういえばロイヤ達からも開店祝いに綺麗な花をたくさんもらったから、今度またお礼をしようと思っているんだ。それにロイヤ達からこの店で買った商品の使い心地を聞きたいな」
「そうだな。私も元冒険者だが、実際にこの街にいて、現在も活動しているロイヤ達の意見のほうが役に立つだろう」
「うん、だから今度はロイヤ達も一緒に……」
ぐうううう〜
「はうう!?」
話の途中でフィアちゃんのお腹が盛大に鳴った。そうだな、今日の反省や今後のことも大事だが、まずは腹ごしらえだ。
「ごめん、ごめん。なにはともあれ、2人とも本当にお疲れさま! 昼もそんなに食べてれていないし、まずはご飯にしよう!」
「「「ありがとうございました!」」」
オープン初日の営業が無事に終わり、最後のお客さんを3人で見送り、店の入り口にある『営業中』と書いてあるボードを『閉店』にひっくり返す。
「ああ〜疲れた〜」
「もう動けないです」
「フィアちゃんはともかく、テツヤはもう少し身体を鍛えたほうがいいんじゃないか?」
そう言うリリアは、まだまだ元気そうだ。俺も元の世界ではそこそこ体力のあるほうだと思っていたが、力作業をするにはまだ足りなかったらしい。接客をしたり、商品を棚卸しするのはかなり体力がいる。
「確かにもう少し身体を鍛えておけばよかったかもしれないね……とりあえず2人とも今日は本当にお疲れさま! 2人が頑張ってくれたおかげで、お店にとって大事だったオープン初日を乗り切ることができたよ」
「ああ、無事に終わってなによりだ。しかし冒険者の依頼と違って、接客業というのはなかなか難しいものだな。お客さんを相手にしなければならないし、片腕だとどうしても厳しい時もある……」
「いやいや、リリアの接客は完璧だったよ。普段から言葉遣いも丁寧だし、そのままで全然大丈夫だから。護衛も意識しながらあれだけの接客ができていたら満点だよ!」
「そ、そうか。それならよかった」
「うう……フィアは失敗ばかりで、テツヤお兄ちゃんに迷惑をかけてごめんなさいです……」
「フィアちゃんも全然大丈夫だよ! あれだけ忙しかったんだから、失敗するのは当然だから。失敗を少しずつ減らしていけばいいだけだよ。それに後半は慣れてきて、失敗はほとんどなかったし、お客さんへの接客も満点だったね!」
「ほ、本当ですか?」
「うん。お客さんに笑顔で丁寧に対応していたし、店の商品について聞かれた時もちゃんと答えられていたよ。
リリアとフィアちゃんがいてくれて、本当によかったよ。あと少しの間は忙しいと思うけれど、1週間もすれば落ち着くと思う。2人には悪いけれど、もう少しだけ頑張ってほしい」
「うん! フィア頑張るよ!」
「ああ、私も全力を尽くそう!」
2人がいてくれて本当に助かった。今日はお客さんが多くて、多少待たせてしまうこともあったが、しばらくすればこの忙しさもある程度落ち着くだろう。それでも忙しそうなら、もうひとりかふたりくらい従業員を雇うとしよう。
「それにしてもテツヤは本当に凄いのだな! あれだけお客さんが来ていても、常に落ち着いて周りの状況を見ているし、小さなトラブルが起きてもすぐに対応してくれていたな」
「フィアがお釣りを間違えた時も、テツヤお兄ちゃんは別のお客さんの対応をしていたのに気付いてくれたよね! 一番動いていたのにとても凄かったよ!」
「……悲しいことに、前の世界で働いていたことが役に立ったみたいだよ。絶対に感謝はしないけどね!」
悲しいことに元の世界のブラック企業で働いた経験が、また役に立ってしまったようだ。営業はトーク力だけでなく、対応力も鍛えられるんだよなあ……どんなに忙しくても、周りを見て冷静に仕事をしないといけないのである。でもあのブラック企業に感謝だけはしたくないぞ!
「とりあえず今日は2人とも本当にお疲れさま! そういえば冒険者ギルドマスターのライザックさんが、開店祝いに高級食材をくれたからみんなで食べよう。今日は忙しくて、もうお腹がペコペコだよ!」
「フィアもお腹ペコペコです!」
時刻はまだ夕方だが、お腹はとても空いている。今日のお昼は軽食だったことと、いろいろと動き回って働いていたこともあって、もうお腹が限界である。
ロイヤ達から貰った開店祝いの沢山のお花は花瓶に入れて店の入り口に飾ってある。ライザックさんから貰ったお肉はすでに2階に運んである。ロイヤ達やライザックさんには改めてお礼をするとしよう。
「そういえばギルドマスターから食材をもらったと言っていたな。何をもらったんだ?」
「なんだっけな……確かダナマベアの肉とか言っていたか。冒険者ギルドじゃなくて、ライザックさんが自分で仕留めてくれたってさ」
「おお、ダナマベアはかなりの高級食材だぞ! この辺りでは獲れない魔物だから、ギルドマスターはわざわざ遠くまで狩りに行ってくれたのだな」
「そうなんだ。今度またちゃんとお礼を言いにいかないといけないな。あと方位磁石のおかげで、森で迷う冒険者が減ったって喜んでいたよ」
「なるほど。方位磁石があれば森で迷う冒険者が減る。冒険者ギルドとしても、テツヤのお店に感謝しているのだろう」
「俺としてもロイヤ達みたいな冒険者に少しでも恩を返せてよかったよ。そういえばロイヤ達からも開店祝いに綺麗な花をたくさんもらったから、今度またお礼をしようと思っているんだ。それにロイヤ達からこの店で買った商品の使い心地を聞きたいな」
「そうだな。私も元冒険者だが、実際にこの街にいて、現在も活動しているロイヤ達の意見のほうが役に立つだろう」
「うん、だから今度はロイヤ達も一緒に……」
ぐうううう〜
「はうう!?」
話の途中でフィアちゃんのお腹が盛大に鳴った。そうだな、今日の反省や今後のことも大事だが、まずは腹ごしらえだ。
「ごめん、ごめん。なにはともあれ、2人とも本当にお疲れさま! 昼もそんなに食べてれていないし、まずはご飯にしよう!」