「ふう、ご馳走さま。とっても美味しかったよ」
「私もお腹いっぱいだ。この唐揚げという料理は癖になりそうだな」
「フィアもお腹いっぱいです! こんな美味しいお肉初めて食べました」
結局だいぶ多めに作った唐揚げが、レーアさんに渡す分を除いてすべてなくなってしまった。ランジェさんだけじゃなくて、リリアもフィアちゃんも結構な量を食べるということがよく分かった。
そういう俺も久しぶりに唐揚げという元の世界の料理を食べることができて、いつもより多く食べてしまったな。異世界で初めて食べる料理もいいけれど、食べ慣れた元の世界の料理も悪くない。
「俺の故郷の料理をみんな気に入ってくれたようでなによりだ。他にもいろんな料理があるから、また今度作ってご馳走するよ。俺も久しぶりに美味しいお酒を楽しめた。ランジェさん、ありがとう」
「いいっていいって。こっちも久しぶりに大勢で食事してとても楽しめたよ。お腹もいっぱいになったし大満足だ」
「それで本題なんだけど、実はランジェさんに定期的に依頼を受けてほしいんだ。冒険者ギルドマスターのライザックさんからランジェさんは収納魔法が使えて、しかもBランク冒険者だと聞いている。
今度ここで店を開くことになったんだけど、うちのお店の商品はかなり特別な物が多くて、特殊な場所から仕入れをしているんだ。それで商品の仕入れを収納魔法が使える人にお願いしたくて冒険者ギルドに依頼をしたわけなんだ」
「うん、そのあたりはギルマスから聞いているよ。それと冒険者ギルドで方位磁石ってやつを買ったみたけど、すごいねこれ! 冒険者だけじゃなくて、いろんな街を渡り歩く僕や商人にはとてもありがたいよ!」
そういって懐から方位磁石を取り出すランジェさん。どうやら昨日冒険者ギルドに卸した方位磁石を買ってくれたらしい。
「それと他の店では売っていない商品だから、街の外でちょっかいを出してくるやつらがいるかもしれなくて、普通よりも危険が多い依頼になると思う。依頼料は相場よりも多く出すから、この依頼を受けてくれないだろうか?」
「うん、オッケーだよ! テツヤのその依頼を引き受けるよ」
「………………え?」
あれ、今なんて言った? 普通ここから交渉が始まるものじゃないの?
「いや、その、まだ依頼料の提示も依頼の詳細な説明もしていないんだけど……」
「うん、もうこの時点でテツヤの依頼が十分に面白そうなことはよくわかったよ。僕は面白い依頼は基本的に受けるようにしているんだ。そりゃもちろん絶対に達成できない依頼や、赤字になるような依頼はさすがに無理だけど、それ以外でね。
本音を言うとギルマスから話を聞いた時点で、よっぽどのことがない限りこの依頼は受けようと思っていたんだよ。だって面白すぎるでしょ! いきなりこの街にやってきて、駆け出し冒険者の役に立つ見たこともない道具を売り始めて、しかもあのリリアが雇われているお店の依頼なんて受けるしかないじゃん!」
「……相変わらず変わったやつだな」
「「………………」」
薄々気付いてはいたが、どうやらこのエルフのランジェさんは少し……いや、かなり変わっているらしい。依頼の条件や依頼料などよりも面白さを優先しているとはな……
とはいえお金にそれほど執着がないというのはこちらにとっても都合が良い。お金目当てで裏切って、このお店の情報を売るなんてことがないわけだからな。
「それに加えて、さっき食べさせてもらった見たことない料理はとても美味しかったよ。他にもテツヤの故郷の料理を食べてみたいな。そうだね、依頼料は普通でいいから、たまにテツヤの作った料理を食べさせてもらおうかな」
「ああ、この唐揚げみたいな料理だったらいろいろと作れるよ。でもランジェさん、この依頼は結構な危険があると思うからよく考えてほしい。方位磁石を見てもらったならわかると思うけれど、このお店でしか売っていない商品は結構あるんだ。その仕入れルートを探るために、ちょっかいを出してくる輩が出てくる可能性が高い」
「ああ、それなら大丈夫だよ。僕は戦闘よりも逃げたり隠れたりすることのほうが得意だからね。逃げることだけに集中すれば、たとえ盗賊が大勢いても、Aランク冒険者からでも逃げ切る自信があるよ」
「おお、それはすごい!」
「そうだな。確かにランジェの逃げ足ならば、盗賊達やAランク冒険者からも逃げることが可能だろう。むしろひとりのほうが逃げやすいに違いない」
リリアが戦闘面でそういう判断をするなら、その通りなのだろう。なるほど、ランジェさんがパーティを組まずにソロで依頼を受けているのは、そういう理由もあるのか。
正直に言うとランジェさんに出会った当初は、こんな軽い人にアウトドアショップの能力の秘密を話しても大丈夫なのかと思っていた。しかしお金に執着がなく、冒険者ギルドマスターやリリア達から聞く実績や信用もあるし、ひとりでも盗賊や襲撃者から逃げられる実力もあり、今回頼む依頼にピッタリだ。
それに俺個人としても、なんとなくだがこの人なら信用できる気がしている。この人に裏切られたらそれまでだったと割り切るしかないな。……それと元の世界の料理を食べてもらえ、美味しくて冷たいお酒を一緒に飲めるという飲み仲間ができるのはとても嬉しいことでもある。
「私もお腹いっぱいだ。この唐揚げという料理は癖になりそうだな」
「フィアもお腹いっぱいです! こんな美味しいお肉初めて食べました」
結局だいぶ多めに作った唐揚げが、レーアさんに渡す分を除いてすべてなくなってしまった。ランジェさんだけじゃなくて、リリアもフィアちゃんも結構な量を食べるということがよく分かった。
そういう俺も久しぶりに唐揚げという元の世界の料理を食べることができて、いつもより多く食べてしまったな。異世界で初めて食べる料理もいいけれど、食べ慣れた元の世界の料理も悪くない。
「俺の故郷の料理をみんな気に入ってくれたようでなによりだ。他にもいろんな料理があるから、また今度作ってご馳走するよ。俺も久しぶりに美味しいお酒を楽しめた。ランジェさん、ありがとう」
「いいっていいって。こっちも久しぶりに大勢で食事してとても楽しめたよ。お腹もいっぱいになったし大満足だ」
「それで本題なんだけど、実はランジェさんに定期的に依頼を受けてほしいんだ。冒険者ギルドマスターのライザックさんからランジェさんは収納魔法が使えて、しかもBランク冒険者だと聞いている。
今度ここで店を開くことになったんだけど、うちのお店の商品はかなり特別な物が多くて、特殊な場所から仕入れをしているんだ。それで商品の仕入れを収納魔法が使える人にお願いしたくて冒険者ギルドに依頼をしたわけなんだ」
「うん、そのあたりはギルマスから聞いているよ。それと冒険者ギルドで方位磁石ってやつを買ったみたけど、すごいねこれ! 冒険者だけじゃなくて、いろんな街を渡り歩く僕や商人にはとてもありがたいよ!」
そういって懐から方位磁石を取り出すランジェさん。どうやら昨日冒険者ギルドに卸した方位磁石を買ってくれたらしい。
「それと他の店では売っていない商品だから、街の外でちょっかいを出してくるやつらがいるかもしれなくて、普通よりも危険が多い依頼になると思う。依頼料は相場よりも多く出すから、この依頼を受けてくれないだろうか?」
「うん、オッケーだよ! テツヤのその依頼を引き受けるよ」
「………………え?」
あれ、今なんて言った? 普通ここから交渉が始まるものじゃないの?
「いや、その、まだ依頼料の提示も依頼の詳細な説明もしていないんだけど……」
「うん、もうこの時点でテツヤの依頼が十分に面白そうなことはよくわかったよ。僕は面白い依頼は基本的に受けるようにしているんだ。そりゃもちろん絶対に達成できない依頼や、赤字になるような依頼はさすがに無理だけど、それ以外でね。
本音を言うとギルマスから話を聞いた時点で、よっぽどのことがない限りこの依頼は受けようと思っていたんだよ。だって面白すぎるでしょ! いきなりこの街にやってきて、駆け出し冒険者の役に立つ見たこともない道具を売り始めて、しかもあのリリアが雇われているお店の依頼なんて受けるしかないじゃん!」
「……相変わらず変わったやつだな」
「「………………」」
薄々気付いてはいたが、どうやらこのエルフのランジェさんは少し……いや、かなり変わっているらしい。依頼の条件や依頼料などよりも面白さを優先しているとはな……
とはいえお金にそれほど執着がないというのはこちらにとっても都合が良い。お金目当てで裏切って、このお店の情報を売るなんてことがないわけだからな。
「それに加えて、さっき食べさせてもらった見たことない料理はとても美味しかったよ。他にもテツヤの故郷の料理を食べてみたいな。そうだね、依頼料は普通でいいから、たまにテツヤの作った料理を食べさせてもらおうかな」
「ああ、この唐揚げみたいな料理だったらいろいろと作れるよ。でもランジェさん、この依頼は結構な危険があると思うからよく考えてほしい。方位磁石を見てもらったならわかると思うけれど、このお店でしか売っていない商品は結構あるんだ。その仕入れルートを探るために、ちょっかいを出してくる輩が出てくる可能性が高い」
「ああ、それなら大丈夫だよ。僕は戦闘よりも逃げたり隠れたりすることのほうが得意だからね。逃げることだけに集中すれば、たとえ盗賊が大勢いても、Aランク冒険者からでも逃げ切る自信があるよ」
「おお、それはすごい!」
「そうだな。確かにランジェの逃げ足ならば、盗賊達やAランク冒険者からも逃げることが可能だろう。むしろひとりのほうが逃げやすいに違いない」
リリアが戦闘面でそういう判断をするなら、その通りなのだろう。なるほど、ランジェさんがパーティを組まずにソロで依頼を受けているのは、そういう理由もあるのか。
正直に言うとランジェさんに出会った当初は、こんな軽い人にアウトドアショップの能力の秘密を話しても大丈夫なのかと思っていた。しかしお金に執着がなく、冒険者ギルドマスターやリリア達から聞く実績や信用もあるし、ひとりでも盗賊や襲撃者から逃げられる実力もあり、今回頼む依頼にピッタリだ。
それに俺個人としても、なんとなくだがこの人なら信用できる気がしている。この人に裏切られたらそれまでだったと割り切るしかないな。……それと元の世界の料理を食べてもらえ、美味しくて冷たいお酒を一緒に飲めるという飲み仲間ができるのはとても嬉しいことでもある。