「とても美味しいご飯だったぞ。テツヤは料理がうまいのだな!」
「いや、これは料理がうまいっていうわけじゃ……そうだね、明日詳しく説明するよ」
「んん?」
店舗も無事に借りれたし、あと数日もしたらいよいよこの街にお店をオープンする。その前に一緒に働くリリアとフィアちゃんには、俺のアウトドアショップの能力についてちゃんと話そうと思っている。
明日はフィアちゃんも誘って、お店を始めるために必要なものを買いに行く予定だ。借りたこの物件が店舗用の店だったため、商品を置く棚などの基本的な物はあるので、値札やカゴなど細々したものを中心に買っていく。そのあとで2人には俺の能力のことについて話しておくとしよう。
「晩ご飯の片付けは俺がやるよ」
「私も手伝いくらいはできるぞ」
「それじゃあ2人で一緒にやろうか」
カチャ、カチャ
「………………」
……うん、なぜだか分からないが、もの凄く気恥ずかしい。さっきの晩ご飯の時にはあんまり意識していなかったのだが、2人で一緒に作業をしていると、同い年くらいの綺麗な女性と一緒にひとつ屋根の下で暮らしていることを改めて思い出してしまう。
というか今更なんだけど、リリアは誰かと付き合ったりしたことはあるのかな? こんなに綺麗で性格の良い女性なんだから、やっぱり男性と付き合ったことがあるよな。少なくとも、今俺と一緒にいるということは、今付き合っている男はいないということでいいはずだ。
俺はもちろん女性と付き合ったことなんてないよ。なにがもちろんなのかよく分からないけれど、これまで女性と付き合ったことはない。いや、たぶんいろいろとタイミングとかが悪かっただけなんだよ、きっと……
「そういえばテツヤはこの街から遠い場所より来たと言っていたな?」
「うおっと!?」
「ど、どうしたんだ!? 何か悪いことでも聞いてしまったか?」
「いや、ごめん。ちょっと別の考え事をしていただけで、なんでもないんだ。そうだね、俺の故郷はここからとても遠くにあるんだ。それこそもう一度帰れるかも分からないくらい遠くにね」
今のところ元の世界に帰れそうな気配はまったくない。日本などといった元の世界の情報などもまったく入ってこない。
「テツヤは故郷に帰れるとしたら帰りたいのか?」
「……いや、言われてみるとそこまで帰りたいというわけでもないな。家族や友人に会えなくなったのは寂しいけれど、生活は今のほうが楽しい気がする」
両親や友人に会えなくなったことは寂しいが、ブラック企業で働いているよりは、よっぽど今の生活のほうが楽しい。休みもこれからは週に2日は休む予定だしな。
「この街はみんな優しくてとても良い街だし、いろんな人達にも出会えた。リリアにも本当に感謝しているよ」
「そ、そうなのか」
「そういえばリリアの故郷はこの辺りなんだっけ?」
「ああ、このアレフレアの街から少し離れたところにある村が私の故郷だ。まだ幼い頃に両親を病で亡くしてしまってな。女ひとりで娼館くらいしか行き先がないところを、この街にいたとある冒険者に助けられたんだ。
冒険者になり始めたころに助けてくれたこの街のみんなには、いくら感謝してもし足りない。だから私は冒険者を引退する時には、みんなが私を助けてくれたように、この街で駆け出し冒険者達を手助けしようと思っていたんだ」
「そっか……リリアがいつも駆け出し冒険者を応援していたのはそういう理由だったんだ」
「ああ。だから冒険者を引退したあとも、駆け出し冒険者の役に立つことができるテツヤの店に雇ってもらえて、私もとても感謝しているのだぞ」
「……その冒険者には俺も感謝しないといけないな。その人のおかげで、リリアをこの店で雇えることになったんだから」
間接的にだが、幼い頃のリリアを手助けしてくれた冒険者のおかげで、リリアがこの店で護衛として働いてくれることになったんだからな。また少しだけリリアのことを知ることができた。
「……テツヤ、これはいったいなんなんだ?」
「ふっふっふ、これはポータブルシャワーと、ブルーシートで作った簡易シャワー室だ!」
店舗の裏庭にあるスペース、そこには青いシートによって作られた小さな個室のようなものがあった。俺の身長よりも高い場所にある店の端に2本の長い棒を打ち込み、そこにアウトドアショップで購入したブルーシートをかけて、周りから見えない小さなシャワー室を作った。
そして吊り下げ式のポータブルシャワーと呼ばれる黒いビニール製の水が入ったタンクと、そこから伸びるシャワーがある。このキャンプギアがあれば、どこでも簡単にシャワーを浴びることができる。
この黒いビニール製のタンクに温水を入れてから高い位置に設置して、ノズルを開けば中に入った温水のシャワーが出てくるという簡単な仕組みだ。今回は先程インスタントスープを作る際に多めに沸かしたお湯に水を混ぜてタンクに入れてある。
しかもこのタンク、なんとお湯を沸かさなくても、水を入れて陽の当たる場所にしばらく置いておけば、黒い素材でできているため、太陽光の熱で温められて勝手に温水になるという優れものなのだ。
さすがにお風呂がある物件は借りれなかったが、このポータブルシャワーがあれば、この世界でもシャワーを浴びることができてしまう。このブルーシートもポータルシャワーもアウトドアショップのレベルが3に上がったことによって増えた商品である。
「いや、これは料理がうまいっていうわけじゃ……そうだね、明日詳しく説明するよ」
「んん?」
店舗も無事に借りれたし、あと数日もしたらいよいよこの街にお店をオープンする。その前に一緒に働くリリアとフィアちゃんには、俺のアウトドアショップの能力についてちゃんと話そうと思っている。
明日はフィアちゃんも誘って、お店を始めるために必要なものを買いに行く予定だ。借りたこの物件が店舗用の店だったため、商品を置く棚などの基本的な物はあるので、値札やカゴなど細々したものを中心に買っていく。そのあとで2人には俺の能力のことについて話しておくとしよう。
「晩ご飯の片付けは俺がやるよ」
「私も手伝いくらいはできるぞ」
「それじゃあ2人で一緒にやろうか」
カチャ、カチャ
「………………」
……うん、なぜだか分からないが、もの凄く気恥ずかしい。さっきの晩ご飯の時にはあんまり意識していなかったのだが、2人で一緒に作業をしていると、同い年くらいの綺麗な女性と一緒にひとつ屋根の下で暮らしていることを改めて思い出してしまう。
というか今更なんだけど、リリアは誰かと付き合ったりしたことはあるのかな? こんなに綺麗で性格の良い女性なんだから、やっぱり男性と付き合ったことがあるよな。少なくとも、今俺と一緒にいるということは、今付き合っている男はいないということでいいはずだ。
俺はもちろん女性と付き合ったことなんてないよ。なにがもちろんなのかよく分からないけれど、これまで女性と付き合ったことはない。いや、たぶんいろいろとタイミングとかが悪かっただけなんだよ、きっと……
「そういえばテツヤはこの街から遠い場所より来たと言っていたな?」
「うおっと!?」
「ど、どうしたんだ!? 何か悪いことでも聞いてしまったか?」
「いや、ごめん。ちょっと別の考え事をしていただけで、なんでもないんだ。そうだね、俺の故郷はここからとても遠くにあるんだ。それこそもう一度帰れるかも分からないくらい遠くにね」
今のところ元の世界に帰れそうな気配はまったくない。日本などといった元の世界の情報などもまったく入ってこない。
「テツヤは故郷に帰れるとしたら帰りたいのか?」
「……いや、言われてみるとそこまで帰りたいというわけでもないな。家族や友人に会えなくなったのは寂しいけれど、生活は今のほうが楽しい気がする」
両親や友人に会えなくなったことは寂しいが、ブラック企業で働いているよりは、よっぽど今の生活のほうが楽しい。休みもこれからは週に2日は休む予定だしな。
「この街はみんな優しくてとても良い街だし、いろんな人達にも出会えた。リリアにも本当に感謝しているよ」
「そ、そうなのか」
「そういえばリリアの故郷はこの辺りなんだっけ?」
「ああ、このアレフレアの街から少し離れたところにある村が私の故郷だ。まだ幼い頃に両親を病で亡くしてしまってな。女ひとりで娼館くらいしか行き先がないところを、この街にいたとある冒険者に助けられたんだ。
冒険者になり始めたころに助けてくれたこの街のみんなには、いくら感謝してもし足りない。だから私は冒険者を引退する時には、みんなが私を助けてくれたように、この街で駆け出し冒険者達を手助けしようと思っていたんだ」
「そっか……リリアがいつも駆け出し冒険者を応援していたのはそういう理由だったんだ」
「ああ。だから冒険者を引退したあとも、駆け出し冒険者の役に立つことができるテツヤの店に雇ってもらえて、私もとても感謝しているのだぞ」
「……その冒険者には俺も感謝しないといけないな。その人のおかげで、リリアをこの店で雇えることになったんだから」
間接的にだが、幼い頃のリリアを手助けしてくれた冒険者のおかげで、リリアがこの店で護衛として働いてくれることになったんだからな。また少しだけリリアのことを知ることができた。
「……テツヤ、これはいったいなんなんだ?」
「ふっふっふ、これはポータブルシャワーと、ブルーシートで作った簡易シャワー室だ!」
店舗の裏庭にあるスペース、そこには青いシートによって作られた小さな個室のようなものがあった。俺の身長よりも高い場所にある店の端に2本の長い棒を打ち込み、そこにアウトドアショップで購入したブルーシートをかけて、周りから見えない小さなシャワー室を作った。
そして吊り下げ式のポータブルシャワーと呼ばれる黒いビニール製の水が入ったタンクと、そこから伸びるシャワーがある。このキャンプギアがあれば、どこでも簡単にシャワーを浴びることができる。
この黒いビニール製のタンクに温水を入れてから高い位置に設置して、ノズルを開けば中に入った温水のシャワーが出てくるという簡単な仕組みだ。今回は先程インスタントスープを作る際に多めに沸かしたお湯に水を混ぜてタンクに入れてある。
しかもこのタンク、なんとお湯を沸かさなくても、水を入れて陽の当たる場所にしばらく置いておけば、黒い素材でできているため、太陽光の熱で温められて勝手に温水になるという優れものなのだ。
さすがにお風呂がある物件は借りれなかったが、このポータブルシャワーがあれば、この世界でもシャワーを浴びることができてしまう。このブルーシートもポータルシャワーもアウトドアショップのレベルが3に上がったことによって増えた商品である。