「おお、そいつはありがてえ! おいパトリスあとは頼むぞ」
「はい。それではテツヤさん、細かな契約内容について話をさせてください」
条件などの説明については副ギルドマスターのパトリスさんが話をしてくれるようだ。
「こちらからの要望と致しましては、テツヤさんが販売されている方位磁石を冒険者ギルドに置かせていただきたく思います。もちろん仕入れ先や入手先について、こちらから探りを入れるようなことは絶対にしません。
定期的にある程度の数を仕入れさせていただきますので、テツヤさんのお店と同じ銀貨2枚で卸していただくことは可能でしょうか? ちなみに冒険者ギルドでは銀貨2枚と銅貨1〜2枚で販売させていただく予定です」
冒険者ギルドでの販売金額まで教えてくれた。……というかそれだと冒険者ギルド側の儲けがほとんどないんじゃないのか? 元の世界でも他のお店に商品を置いてもらう場合には、仕入れ値の値引きを多少はするはずだ。今回の場合でも、冒険者ギルドへ2〜3割引して卸すと思っていた。
「こちらの方位磁石の売り上げによる冒険者ギルドの儲けはほとんどありません。冒険者ギルド内の売店で商品を陳列したり、販売する人の人件費や場所を取ることを考えたらそれと同じくらいでしょうか」
俺が聞こうとしていた内容を聞く前に答えてくれた。パトリスさんはできる男らしい。
「冒険者ギルドとしては、すべての冒険者にこの方位磁石を持っていてほしいので、利益のことは考えておりません。というのも依頼を受けて行方不明になる冒険者達が減ること自体が、冒険者ギルドの利益へ直接つながるからです」
なるほど。確かに森で行方不明になる冒険者が減れば、それだけ冒険者ギルドにとってはありがたいはずだ。生還できた冒険者がまた依頼を受けることができるし、もしかしたら行方不明者の捜索費用なんかも、冒険者ギルドが負担しているのかもしれない。
「そして銅貨1〜2枚であれ、安く買えるのであれば、テツヤさんのお店に直接訪れる冒険者も多いかと思います。もちろん、方位磁石の売り場にテツヤさんのお店の情報も告知しておきます。以上の条件ではいかがでしょうか?」
駆け出し冒険者にとっては銅貨たとえ銅貨1枚でも節約できるなら節約しておきたいと思う可能性も高い。俺からしたら販売する値段も変わらないし、この街の冒険者ギルドに商品を置いてもらえること自体が、アウトドアショップの大きな宣伝となる。
「ええ、こちらとしては問題ありません。ぜひそちらの条件でお願いしたいと思います」
「おお、ありがとうございます!」
「よっしゃ、話は決まったな! いやあ、これだけすんなり決まってくれりゃあ文句なしだな!」
「………………」
あれ、ライザックさんって何かしたっけ? むしろライザックさんが初対面の時にあれだけ俺達を怖がらせなければ、もっとすんなりと話が決まった気もするような……
「それじゃあ、今後ともよろしくな!」
「よろしくお願いします!」
……まあ細かいことは置いておくとしよう。
「こちらこそよろしくお願いします!」
ライザックさんとパトリスさんと握手をする。今後とも長い付き合いになれるといいな。
「リリア、いろいろとありがとうね。また助けてもらったよ」
「なに、感謝するのはこちらのほうだ。ギルドマスターも言っていたが、あの方位磁石のおかげで、あの森で遭難する駆け出し冒険者もだいぶ減るだろう。この街の冒険者としてテツヤに礼を言いたい」
「わかったよ。こちらのほうがだいぶ助けてもらっているけれど、お互い様ということにしておこう」
「ああ、お互い様だな」
方位磁石を冒険者ギルドで販売してもらえることが決まったあと、今はパトリスさんが正式な書類を作ってくれているのを待っている。
ちなみに方位磁石と同様に、先日販売を始めた浄水器も冒険者ギルドに置いてもらえないかを相談してみたところ、すでに冒険者ギルドの職員が浄水器の機能確認を行っているらしい。さすがに情報が早いな。
やはりこの二つのキャンプギアは、森での遭難者への大きな助けになるから、冒険者全員に持っていてほしい道具である。浄水器については今後の機能確認で問題がなければ、また改めて相談することとなった。
「ではこちらで正式な契約が完了となります。どうぞ、今後ともよろしくお願いします」
「はい、こちらこそよろしくお願いします」
正式な書類にサインをして契約が成立した。もちろん書類については隅々まで目を通して、おかしな場所がないかを確認してある。この状況で冒険者ギルドが俺を騙すわけがないと思ってはいるのだが、悲しい営業マンの性である。
早速明日の朝に納品分の方位磁石を冒険者ギルドまで持ってくることになった。明日からはお店を閉めて店舗を探す予定なので、ちょうどいいと言えばちょうどいい。
「それとですね、冒険者ギルドにいくつか依頼したいことがあります」
「ん、なんだ?」
「はい、なんでしょうか?」
先程までのキャンプギアを冒険者ギルドに置いてもらう話とは別に、冒険者ギルドに依頼しようとしていたことがあったので、ギルドマスターと副ギルドマスターがいるこの機会にお願いしておこう。
「はい。それではテツヤさん、細かな契約内容について話をさせてください」
条件などの説明については副ギルドマスターのパトリスさんが話をしてくれるようだ。
「こちらからの要望と致しましては、テツヤさんが販売されている方位磁石を冒険者ギルドに置かせていただきたく思います。もちろん仕入れ先や入手先について、こちらから探りを入れるようなことは絶対にしません。
定期的にある程度の数を仕入れさせていただきますので、テツヤさんのお店と同じ銀貨2枚で卸していただくことは可能でしょうか? ちなみに冒険者ギルドでは銀貨2枚と銅貨1〜2枚で販売させていただく予定です」
冒険者ギルドでの販売金額まで教えてくれた。……というかそれだと冒険者ギルド側の儲けがほとんどないんじゃないのか? 元の世界でも他のお店に商品を置いてもらう場合には、仕入れ値の値引きを多少はするはずだ。今回の場合でも、冒険者ギルドへ2〜3割引して卸すと思っていた。
「こちらの方位磁石の売り上げによる冒険者ギルドの儲けはほとんどありません。冒険者ギルド内の売店で商品を陳列したり、販売する人の人件費や場所を取ることを考えたらそれと同じくらいでしょうか」
俺が聞こうとしていた内容を聞く前に答えてくれた。パトリスさんはできる男らしい。
「冒険者ギルドとしては、すべての冒険者にこの方位磁石を持っていてほしいので、利益のことは考えておりません。というのも依頼を受けて行方不明になる冒険者達が減ること自体が、冒険者ギルドの利益へ直接つながるからです」
なるほど。確かに森で行方不明になる冒険者が減れば、それだけ冒険者ギルドにとってはありがたいはずだ。生還できた冒険者がまた依頼を受けることができるし、もしかしたら行方不明者の捜索費用なんかも、冒険者ギルドが負担しているのかもしれない。
「そして銅貨1〜2枚であれ、安く買えるのであれば、テツヤさんのお店に直接訪れる冒険者も多いかと思います。もちろん、方位磁石の売り場にテツヤさんのお店の情報も告知しておきます。以上の条件ではいかがでしょうか?」
駆け出し冒険者にとっては銅貨たとえ銅貨1枚でも節約できるなら節約しておきたいと思う可能性も高い。俺からしたら販売する値段も変わらないし、この街の冒険者ギルドに商品を置いてもらえること自体が、アウトドアショップの大きな宣伝となる。
「ええ、こちらとしては問題ありません。ぜひそちらの条件でお願いしたいと思います」
「おお、ありがとうございます!」
「よっしゃ、話は決まったな! いやあ、これだけすんなり決まってくれりゃあ文句なしだな!」
「………………」
あれ、ライザックさんって何かしたっけ? むしろライザックさんが初対面の時にあれだけ俺達を怖がらせなければ、もっとすんなりと話が決まった気もするような……
「それじゃあ、今後ともよろしくな!」
「よろしくお願いします!」
……まあ細かいことは置いておくとしよう。
「こちらこそよろしくお願いします!」
ライザックさんとパトリスさんと握手をする。今後とも長い付き合いになれるといいな。
「リリア、いろいろとありがとうね。また助けてもらったよ」
「なに、感謝するのはこちらのほうだ。ギルドマスターも言っていたが、あの方位磁石のおかげで、あの森で遭難する駆け出し冒険者もだいぶ減るだろう。この街の冒険者としてテツヤに礼を言いたい」
「わかったよ。こちらのほうがだいぶ助けてもらっているけれど、お互い様ということにしておこう」
「ああ、お互い様だな」
方位磁石を冒険者ギルドで販売してもらえることが決まったあと、今はパトリスさんが正式な書類を作ってくれているのを待っている。
ちなみに方位磁石と同様に、先日販売を始めた浄水器も冒険者ギルドに置いてもらえないかを相談してみたところ、すでに冒険者ギルドの職員が浄水器の機能確認を行っているらしい。さすがに情報が早いな。
やはりこの二つのキャンプギアは、森での遭難者への大きな助けになるから、冒険者全員に持っていてほしい道具である。浄水器については今後の機能確認で問題がなければ、また改めて相談することとなった。
「ではこちらで正式な契約が完了となります。どうぞ、今後ともよろしくお願いします」
「はい、こちらこそよろしくお願いします」
正式な書類にサインをして契約が成立した。もちろん書類については隅々まで目を通して、おかしな場所がないかを確認してある。この状況で冒険者ギルドが俺を騙すわけがないと思ってはいるのだが、悲しい営業マンの性である。
早速明日の朝に納品分の方位磁石を冒険者ギルドまで持ってくることになった。明日からはお店を閉めて店舗を探す予定なので、ちょうどいいと言えばちょうどいい。
「それとですね、冒険者ギルドにいくつか依頼したいことがあります」
「ん、なんだ?」
「はい、なんでしょうか?」
先程までのキャンプギアを冒険者ギルドに置いてもらう話とは別に、冒険者ギルドに依頼しようとしていたことがあったので、ギルドマスターと副ギルドマスターがいるこの機会にお願いしておこう。