「「「ありがとうございました!」」」

 本日の営業最後のお客さんを従業員全員で見送った。今日は新たにアウトドアスパイス、インスタントカレー、ようかんの3種類の商品の販売を開始したが、特に大きな問題なく、無事に営業を終えることができた。

「ふう~みんなお疲れさま。おかげさまで無事に今日の営業を終えることができたよ」

「お疲れさま、テツヤ。今日は久しぶりに忙しかったな」

「いっぱいお客様が来てくれたです!」

 リリアとフィアちゃんの言う通り、数日前から新しい商品を販売すると事前に宣伝していたこともあって、朝から大勢のお客さんが店に来てくれた。新商品が食品系なので、いつも以上に並んでくれていたな。

「試食用のようかんもすごく好評でしたよ。このお菓子は保存食としてだけでなくて、甘くてとてもおいしいですからね。皆さんとても驚いていました」

「インスタントカレーもだいぶ売れていたようだな。ただ保存パックと含めて、食べ方についてお客さんに何度か聞かれたな」

「なるほど。やっぱりこの街じゃ甘いものは少ないから、ようかんは人気が出そうだな。一応保存パックの説明は書いておいたけれど、少し難しかったか。あと文面をもう少し考えてみるかな」

 アンジュにはお客さんが少なくなるまで、店内の入場制限をしてもらいつつ、待っているお客さんにようかんの試食をしてもらっていた。その試食の時点で好評だったらしい。

 一応保存パックの説明や、使い終わったらアウトドアショップで再利用するということも記載してあるのだが、少し難しかったのかもしれない。インスタントカレーについても湯煎して食べるという感覚が分かりにくいのかもしれないな。あとでもう一度文面を考えてみるとしよう。

「アウトドアスパイスの方もすごい人気だったよ。でもきっと驚くのは実際に使ってみてからだと思うから、明日からまた忙しくなるね」

「そうだね。今日売り切れで買えなかった人たちもきっと来てくれるから、明日からはしばらくまた忙しくなりそうだね」

 アウトドアスパイスの方はランジェさんの言う通りだろう。試食できなかった人たちは今日以降に実際これを使ってみてアウトドアスパイスの素晴らしさが広がっていくだろう。

 今日販売する商品は少し多めに購入していたのだが、午後の14~15時くらいには倉庫に用意していた分がすべて完売していた。俺のアウトドアショップの能力の秘密を守るため、倉庫にある分が売り切れたらその日の分は売り切れになる。

 明日は売り切れて今日購入することができなかったお客さんも来るだろうから、今日よりも忙しくなることは間違いなさそうだ。

 それにしてもみんながいてくれるといろんな意見が聞けるからありがたい。また明日からも忙しくなりそうだが、みんなと一緒に頑張るとしよう。





 ◆ ◇ ◆ ◇ ◆

「「「ありがとうございました」」」

 新商品の発売から5日間が過ぎた。

 以前と同様に朝の入場の際にお客さん同士でのトラブルがあったりもしたが、そこまで大きな問題にはならなかったのでよかった。最近はこの街の冒険者ギルドの提携店としても有名になってきたので、このアウトドアショップにちょっかいを出してくるような輩もいない。

 従業員もみんなも接客に慣れてきたこともあって、最近は大きなトラブルなんかはほとんど起きなくなった。

「さすがに今週は忙しかったねえ~」

「ふう~ランジェさんの言う通り、今週は久しぶりにだいぶ忙しかったよ」

 今週は新しくアウトドアスパイス、レトルトカレー、ようかんを新商品として発売したため、ありがたいことにお客さんが大勢来てくれてとても忙しかった。

「ですがアウトドアスパイスの方はすぐになくなるものでもなさそうなので、来週からは客足も少し落ち着くかもしれませんね」

「なるほど、さすがアンジュだな!」

「アンジュの言う通り、今週の最期の方は多少客足も落ち着いてきたからな。明日から2日間は店も休みだし、休み中に噂を聞いたお客さんが次の営業日に大勢来るかもしれないけれど、それから少しずつ落ち着いていくはずだ」

 アウトドアスパイスのほうはたとえ毎食使ったとしてもそんなにすぐになくなる量じゃないから、しばらくすれば売れ行きも落ち着いてくるだろう。

「問題はレトルトカレーとようかんの方だな。用意しておいた分が毎日売り切れになっていたぞ」

「毎日朝から並んでくれるお客さんもいっぱいいたです!」

 リリアとフィアちゃんの言う通り、カレーとようかんはかなりの人気があった。グレゴさんにかなり多めに用意してもらっていた保存パックもなくなりかけていたもんな。

 洗い物だけでも相当な量だし、いつもお世話になっている宿に洗い物を任せて正解だったようだ。

「ようかんに至っては、購入してすぐに店の外で食べきったお客さんも大勢いたからな。この街ではあれほど甘い菓子なんてないから、お客さんの気持ちもよく分かるぞ」

 リリアの言う通り、アウトドアショップの目の前で保存パックを開けてようかんを食べているお客さんも見かけた。

 この世界の人たちがいかに甘いものに飢えていたのかがよく分かる。……一応行動食のつもりで保存期間が長くなる保存パックに入れて販売しているんだけれどなあ。