「それじゃあ、夕方にまた宿でね」
「ああ、ランジェ、ドルファ。テツヤを頼んだぞ」
「さすがにそこまで人通りの少ない場所にはいかないから大丈夫。リリアは少しテツヤのことを心配し過ぎだよ」
「そうだな。テツヤの護衛は任せておいてくれ。そっちは……まあ、心配する必要はないだろうな」
「はい、みなさんの護衛はお任せください」
「こっちは任せて」
昨日は観光と市場へ行く組に分かれて王都を回ったが、今日は男女に分かれて王都を回る。ランジェさんはBランク冒険者だし、ドルファもCランク冒険者並みの戦闘力があることだし、護衛は2人がいれば大丈夫だ。
さすがにまだ王都では俺の顔は知られていないだろうし、ランジェさんの言うように、人通りの少ない場所に行く予定もないからな。女性の組にかんしてはAランク冒険者の2人がいるし、元Bランク冒険者のリリアもいるから、尚のこと大丈夫だろう。
「さて、それじゃあまずはテツヤさんの目的の店に行ってみるとしようか」
「2人とも付き合ってもらっちゃって悪いね」
「なに、これくらい全然構わないさ。俺も協力したいし、テツヤさんにはいつも世話になっているからな。それにアンジュもたまには俺のいない方が羽を伸ばせるだろう」
おおっ、あれほど妹のアンジュと離れたがらなかったあのドルファが……ドルファもほんの少しは妹離れができてきたのかもしれない。
「どちらにせよ夕方には会えるからな。ついでにアンジュへのプレゼントをたくさん買っていくとしよう」
「………………」
やっぱりドルファはドルファだったか……
「僕も気にしてないよ。事情を知ったら協力しないわけにはいかないからね」
「ランジェさんもありがとうね。男同士でどうしても行きたい店があるなんて言いづらいことまで言ってくれて、本当に助かったよ」
男女に分かれて王都を回るというのは俺のお願いなのだが、実際にみんなにその提案をしてくれたのはランジェさんだ。
俺たちだけで行きたい場所があるなんて女性陣に言えば、良からぬことを考えていると思われてしまう可能性が高いのに、ランジェさんがその役を買って出てくれて、本当に感謝している。
王都には有名な娼館や、そういった少しエロい物を売っている商店はあるのだが、もちろんそんなお店に行くつもりで男女に分かれて王都を回るようなつもりはない。
俺の目的は別のお店にある。
「気にしなくていいよ。どちらにしろそういう店には僕一人でも行こうとしていたからね。テツヤの目的の店に寄ったあと、少しだけ2人にも付き合ってもらうよ」
「………………」
どうやらランジェさんはそういった店へ寄るつもりだったらしい……
さすがに俺の用事にだけ付き合ってもらうのも悪いから仕方がないな。うん、まったくもって興味はないけれど、仕方がない。とはいえ、さすがに娼館には行かないけれど。
「ここが例のお店かあ。本当にアレフレアの街にある高級店とはレベルが違うね……」
「王都で一番有名ということはこの国で一番有名なお店だからね。そりゃ駆け出し冒険者が集まる街の高級店とはレベルが違うよ」
そう、ここが今回の俺の目的店である、王都で一番有名な魔道具店だ。建物の大きさ、独特な建築様式、技巧を凝らして作られた店の装飾、そのすべてのレベルがアレフレアにある高級店とはレベルが段違いだ。
「店の前には屈強な護衛が何人もいるな……ひとりひとりが俺よりも強いかもしれない」
「う~ん、全員低く見積もってもCランク冒険者以上の力はありそうだね。本当に王都は人材も豊富なんだね」
「それはすごいな……」
魔道具店の前には重装備をした護衛の人たちが5人も並んでいた。装備もかなり立派な物を身に付けているし、ドルファとランジェさんの見立てでは、その全員がかなりの実力者らしい。
そしてその店に入る人たちは身なりの良い人ばかりだ。一応俺たちも多少は見栄えの良い服を着ているが、それでも少し浮いてしまいそうだな。
というか貧乏人は入ってくるなオーラがすごい……
「いらっしゃいませ、誰かの紹介状はお持ちでしょうか?」
「あっ、はい。これをお願いします」
事前に聞いていた通り、このお店は誰かの紹介状がなければ入ることもできないらしい。さすがこの国一有名な魔道具店だ。
このお店を紹介してくれた冒険者ギルドマスターのルハイルさんに書いてもらった紹介状を店の入り口にいたピシッとした制服を着ている従業員さんへ手渡す。
昨日冒険者ギルドで交渉を終えた後、少しだけ2人きりで話させてもらって、ルハイルさんにお願いしたところ、快く紹介状を書いてくれた。やはり持つべきものはコネである。
「テツヤ様、確認ができました。どうぞ中へお入りくださいませ」
「はい」
一度店の中に入り、紹介状を確認していた30代の男性の店員さんの許可を得てお店に入れてもらう。
ふう~店に入るまでで一苦労だぜ……
「これはすごいな」
「すごいね、僕もこんな高級なお店に入ったのは初めてだよ」
店の中の内装も、俺が想像していた十倍くらい豪勢な内装だった。ルハイルさんの部屋に足を踏み入れた時も驚いたが、この店はそれ以上だ。
広々とした店内、ところどころに置かれている派手な美術品、天井にはキラキラとしたシャンデリアなんかもあった。店の外だけでなく、店内にまで護衛がいるようだお。それぞれの商品も少量ずつ透明なケースの中に入れられている。正直に言ってうちの店とはレベルが違うな……
「こちらでございます」
店員さんが紹介状に書いてもらった目的の商品にまで案内してくれる。どうやらこの店では一組のお客さんに対して一人の従業員が付いてくれるようだ。マジですげえな……
そして店員さんの案内に従って、目的である商品の前までやってきた。
「こちらが当店自慢の商品でございます完全回復薬となります」
そう、これこそがこのお店に来た目的である完全回復薬だ。これさえあれば、リリアの失った右腕すらも元に戻すことができる。
「ああ、ランジェ、ドルファ。テツヤを頼んだぞ」
「さすがにそこまで人通りの少ない場所にはいかないから大丈夫。リリアは少しテツヤのことを心配し過ぎだよ」
「そうだな。テツヤの護衛は任せておいてくれ。そっちは……まあ、心配する必要はないだろうな」
「はい、みなさんの護衛はお任せください」
「こっちは任せて」
昨日は観光と市場へ行く組に分かれて王都を回ったが、今日は男女に分かれて王都を回る。ランジェさんはBランク冒険者だし、ドルファもCランク冒険者並みの戦闘力があることだし、護衛は2人がいれば大丈夫だ。
さすがにまだ王都では俺の顔は知られていないだろうし、ランジェさんの言うように、人通りの少ない場所に行く予定もないからな。女性の組にかんしてはAランク冒険者の2人がいるし、元Bランク冒険者のリリアもいるから、尚のこと大丈夫だろう。
「さて、それじゃあまずはテツヤさんの目的の店に行ってみるとしようか」
「2人とも付き合ってもらっちゃって悪いね」
「なに、これくらい全然構わないさ。俺も協力したいし、テツヤさんにはいつも世話になっているからな。それにアンジュもたまには俺のいない方が羽を伸ばせるだろう」
おおっ、あれほど妹のアンジュと離れたがらなかったあのドルファが……ドルファもほんの少しは妹離れができてきたのかもしれない。
「どちらにせよ夕方には会えるからな。ついでにアンジュへのプレゼントをたくさん買っていくとしよう」
「………………」
やっぱりドルファはドルファだったか……
「僕も気にしてないよ。事情を知ったら協力しないわけにはいかないからね」
「ランジェさんもありがとうね。男同士でどうしても行きたい店があるなんて言いづらいことまで言ってくれて、本当に助かったよ」
男女に分かれて王都を回るというのは俺のお願いなのだが、実際にみんなにその提案をしてくれたのはランジェさんだ。
俺たちだけで行きたい場所があるなんて女性陣に言えば、良からぬことを考えていると思われてしまう可能性が高いのに、ランジェさんがその役を買って出てくれて、本当に感謝している。
王都には有名な娼館や、そういった少しエロい物を売っている商店はあるのだが、もちろんそんなお店に行くつもりで男女に分かれて王都を回るようなつもりはない。
俺の目的は別のお店にある。
「気にしなくていいよ。どちらにしろそういう店には僕一人でも行こうとしていたからね。テツヤの目的の店に寄ったあと、少しだけ2人にも付き合ってもらうよ」
「………………」
どうやらランジェさんはそういった店へ寄るつもりだったらしい……
さすがに俺の用事にだけ付き合ってもらうのも悪いから仕方がないな。うん、まったくもって興味はないけれど、仕方がない。とはいえ、さすがに娼館には行かないけれど。
「ここが例のお店かあ。本当にアレフレアの街にある高級店とはレベルが違うね……」
「王都で一番有名ということはこの国で一番有名なお店だからね。そりゃ駆け出し冒険者が集まる街の高級店とはレベルが違うよ」
そう、ここが今回の俺の目的店である、王都で一番有名な魔道具店だ。建物の大きさ、独特な建築様式、技巧を凝らして作られた店の装飾、そのすべてのレベルがアレフレアにある高級店とはレベルが段違いだ。
「店の前には屈強な護衛が何人もいるな……ひとりひとりが俺よりも強いかもしれない」
「う~ん、全員低く見積もってもCランク冒険者以上の力はありそうだね。本当に王都は人材も豊富なんだね」
「それはすごいな……」
魔道具店の前には重装備をした護衛の人たちが5人も並んでいた。装備もかなり立派な物を身に付けているし、ドルファとランジェさんの見立てでは、その全員がかなりの実力者らしい。
そしてその店に入る人たちは身なりの良い人ばかりだ。一応俺たちも多少は見栄えの良い服を着ているが、それでも少し浮いてしまいそうだな。
というか貧乏人は入ってくるなオーラがすごい……
「いらっしゃいませ、誰かの紹介状はお持ちでしょうか?」
「あっ、はい。これをお願いします」
事前に聞いていた通り、このお店は誰かの紹介状がなければ入ることもできないらしい。さすがこの国一有名な魔道具店だ。
このお店を紹介してくれた冒険者ギルドマスターのルハイルさんに書いてもらった紹介状を店の入り口にいたピシッとした制服を着ている従業員さんへ手渡す。
昨日冒険者ギルドで交渉を終えた後、少しだけ2人きりで話させてもらって、ルハイルさんにお願いしたところ、快く紹介状を書いてくれた。やはり持つべきものはコネである。
「テツヤ様、確認ができました。どうぞ中へお入りくださいませ」
「はい」
一度店の中に入り、紹介状を確認していた30代の男性の店員さんの許可を得てお店に入れてもらう。
ふう~店に入るまでで一苦労だぜ……
「これはすごいな」
「すごいね、僕もこんな高級なお店に入ったのは初めてだよ」
店の中の内装も、俺が想像していた十倍くらい豪勢な内装だった。ルハイルさんの部屋に足を踏み入れた時も驚いたが、この店はそれ以上だ。
広々とした店内、ところどころに置かれている派手な美術品、天井にはキラキラとしたシャンデリアなんかもあった。店の外だけでなく、店内にまで護衛がいるようだお。それぞれの商品も少量ずつ透明なケースの中に入れられている。正直に言ってうちの店とはレベルが違うな……
「こちらでございます」
店員さんが紹介状に書いてもらった目的の商品にまで案内してくれる。どうやらこの店では一組のお客さんに対して一人の従業員が付いてくれるようだ。マジですげえな……
そして店員さんの案内に従って、目的である商品の前までやってきた。
「こちらが当店自慢の商品でございます完全回復薬となります」
そう、これこそがこのお店に来た目的である完全回復薬だ。これさえあれば、リリアの失った右腕すらも元に戻すことができる。