「ベルベスク・マキュルは、マルべスウム国の魔道士。魔道士長シュウゼルの配下の者です」

「なるほど……そういえば、魔族の国は三ヶ国あるんだっだな」

 グレイがそう言うとムドルとメーメルは頷いた。

「うむ、妾の国はその中の一つ……ダークルスティ国じゃ。まさかマルベスウムが、この件に関与しておるとはのう」

「本当に、国絡みなのでしょうか。シュウゼルが、勝手に部下を動かしている可能性もあるように思えます」

「そうじゃな。あの国の王が戦を好むとは思えぬのじゃ」

 私はそれを聞いて不思議に思う。


 魔族ってもっと怖いイメージで、悪いことを平気でしているのかと思ってた。メーメルとムドルさんも魔族だけど、悪い人じゃないし。
 それを考えると人間と魔族の違いって能力の差だけで、そんなに私たちと変わらないんじゃないのかな。だけど、一部の人だけかもしれない。


 そう自問自答した。

「そうなると、その魔道士長がティハイド様と手を組んでるかもな」

「ええ、その可能性が高いと思います」

「もしこの町に現れたデビルミストが、ティハイド様の指示によるものなら」

 そうグレイが言うとコルザは真剣な表情で頷く。

「うむ、私の口封じと事が露見しないように町を破壊するのが目的化もしれんな」

「その可能性はありますね」

 なんかムドルさんの様子が変だ。それにメーメルも目だけをキョロキョロさせている。

「他の魔族がこの空き家におるのじゃ」

 小声でメーメルがそう言う。

「まさか、今までの話を聞かれたのか?」

「グレイ、それがおかしいのです。動く気配がなく、匂いはするのですが」

「その匂いって、どこからするの?」

 そう聞くとムドルさんは立ち上がり、さっき私が居た部屋に向かう。

「まさか、ルイが居た部屋に!?」

 グレイは立ち上がり、ムドルさんを追いかける。

「ちょっと待って、そうだとしたら……みられてたってこと?」

「そのようじゃな。恐らく、魔法か何かで自分の匂いと気配を消しておったのじゃ」

 それを聞き私は、恥ずかしくなった。そして蹲り、頭を抱える。


 うわあぁぁああ――――。他の人にもみられてた。無理無理、最悪だよ。


 私はそう考えたら涙が出てきた。

「ルイ、お前はメーメルとコルザ様とここにいろ! 俺とムドルでみてくる」

「そうですね。まぁ私だけでも大丈夫だと思います、が」

 それを聞き私は、グレイとムドルさんの方をみる。なぜかお互い睨み合っていた。

「う、うん……ありがとう……そうする」

 それを確認すると二人は、何か言い合いをしながら隣の部屋に入る。