ここは市場街の空き家。私とメーメルは、グレイ達が居る部屋の隣にいた。

「ルイ、何をやっておる。脱がなければ、調べられぬのじゃ」

「うん、分かってるんだけどね。なんかメーメルに、ジーっとみられているとさぁ」

「ハァー、分かったのじゃ。妾は、後ろを向いておる」

 そう言いながらメーメルは後ろを向く。

 それを確認すると私は急いで脱いだ。

「メーメル、脱いだよ。恥ずかしいから早くしてね」

 それを聞きメーメルは振り返る。そして私を、ジッとみた。

「うむ、思ったより育っておるのう」

「えーっと……メーメル、どこみてるの?」

 そう聞くとメーメルは、私のそばまできて胸を指差す。

「ルイの胸じゃ。それにくびれも……羨ましいのう」

 そう言われ私は顔が熱くなり……。

「な、って……きゃあぁぁぁあああああ――――!?」

 つい叫んでしまった。

 すると扉が開く。

「何かあったのか?」

「ルイさん、どうされました?」

 その声がする方を私とメーメルは向いた。出入口でグレイとムドルさんが私の方をみて固まっている。

「ちょ、出てけぇぇえええええええ――――。うわあぁぁん――――」

 そう言いながら服を持ち蹲る。メーメルは自分が着ている服を私に被せてくれた。

「二人共、何をやっておるのじゃ!」

 そう言いメーメルは、猛スピードでグレイとムドルさんの方に駆け出した。と同時に、二人を隣の部屋へ押し出す。

 その後メーメルは、私のそばに駆け寄る。

「二人は追い出したから心配ないのじゃ。それよりも大丈夫かのう?」

「ヒクッ……間違いなく……ヒクッ……みられた、よね? あーどうしよう……最悪、お嫁にいけないよ〜!!」

 そう言い私は泣きながらメーメルをみた。

「気持ちは分かるのじゃが。そこまで考えなくても、良いと思うがのう」

「うう……グスン……だって、真面にみられたんだよ」

「うむ、そうじゃな。それなら、こういうのはどうじゃ。二人にみた責任をとってもらうというのは?」

 そう問われ私は考える。


 責任、っていう事は……結婚? でも、やっぱりそういうのは……二人が愛し合ってするもんだよね。それにムドルさんまで巻き込むのは違うし。


 そう思い扉の方へ視線を向けた。

「ねぇ、メーメル。あの扉からみえたと思う?」

「みえたと思うのじゃ。特にムドルはのう」

「……そうなんだね。ハァ……」

 私は落ち込んだ。メーメルに慰めてもらっても、流石に立ち直れない。これからどうすればいいのかと自問自答した。だけど、思いつかず。

「ルイ、二人のこと嫌いなのかのう?」

「ううん、好きだよ。グレイのことが好き。ムドルさんも好きだけど多分、グレイに抱いている感情と違う。それにムドルさんはメーメルの……」

「前にもムドルにフラれたと言ったのじゃ」

 メーメルはそう言い私を覗き込む。

「うん、聞いた。だけどメーメルは、まだムドルさんのこと好きなんでしょ?」

「そうじゃな。今でも好きじゃ。でもムドルには、既に想い人がおる」

「そうかぁ。だけど、ムドルさんの想い人って誰だろう。でも、私の知らない人だよね」

 そう言いメーメルをみた。メーメルは溜息をつく。

「ルイの知ってる者じゃ」

「私が知ってる人? 誰だろう……んー、分からないよ」

「分からぬなら良い。そのうち、分かると思うのじゃ」

 そう言われ私は頷いた。

「そっかぁ、どんな人だろう」

「……ムドルも報われんのう」

 ボソッとメーメルが呟く。私はその言葉が、ハッキリ聞こえなかった。

「報われないって、何が?」

「なんでもない。ただの一人言じゃ。それよりも、落ち着いたようじゃな」

「んーそういえば、いつの間にか気持ちが楽になってる」

 それを聞きメーメルは、ニコリと笑みを浮かべる。

「良かったのじゃ」

「うん、ありがとう。だけど、真面に顔を合わせられるかだけどね」

「そうじゃな。それはそうと、早く調べるのじゃ」

 そう言われ私は、コクリと頷いた。そして立ち上がる。

 メーメルは私の体を調べ始めた。

「あったのじゃ!」

「えっ!? どこどこ……」

 それを聞き探すが見当たらない。

「右側の腰じゃ。後ろだからみえぬ」

「そうなんだね。どんな証だろう?」

「これは、下向きに交差した二本の剣と盾と竜じゃ。色は紫じゃな」

 そう言うとメーメルは考え始める。

「なんの証だろう? 雰囲気だけなら、勇者の紋章みたいだね」

「そうじゃな。その部分なら捲ればみせられるのじゃ」

「じゃあ、判断してもらうってこと?」

 そう問うとメーメルは頷いた。

「その方が良いのじゃ」

「そうだね。まだちょっと恥ずかしいけど……」

「服を着たら隣の部屋に行くのじゃ」

 そう言われ私は、急いで服を着る。

 そして服を着ると私は、まだちょっと恥ずかしい気持ちが残りながらも、メーメルと隣の部屋へと向かったのだった。