「これはコルザ様を信じて話す。ルイは、この世界の者じゃない」
そう言いグレイはコルザを見据えた。
「なるほど、思った通りか。国で聖女召喚を行うと言っていたが……。もしや聖女さまなのか?」
そう言われ私は首を横に振る。
「いいえ、聖女は清美の方です。私は、その召喚に巻き込まれてこの世界に来ました」
「巻き込まれて……そんなことがあり得るのか?」
「分からない。だが、実際に起きた」
グレイは私の方に視線を向けた。
「私もなんで巻き込まれて、この世界に来たのか分かりません」
「巻き込まれたとしても、召喚されたことは事実。本当に、ただ巻き込まれただけなのでしょうか」
「ムドルもそう思うか? 俺もそう思っている。いや、召喚した神官カイルディ様も同じ意見だ」
私はそれを聞き驚いた。
もしそうだとしたら、何のためにこの世界に召喚されたの? それに……そもそも、聖女だけを召喚する儀式のはず。それなのに、どうして……。
そう思考を巡らせる。
「本当に巻き込まれたのかのう。誰かが意図的に仕組んだように思えるのじゃ」
「誰かが……って、どういう事?」
私はなんでメーメルがそう言ったのか理解できなかった。
「だがそうだとしても、そんなことできるのか?」
「神であれば、可能かもしれませんね」
「神がルイを召喚したっていうのか? それも聖女の召喚に紛れて……」
グレイはつらそうな表情で私をみる。
「うむ、今の話を聞く限りだと……ないとも言えんだろう。そんな芸当ができるのは、恐らく神ぐらいだ」
「コルザ様……そうかもしれない。だが、なんのために?」
「それは分からぬ。そういえばルイ、なんらかの証は現れていないのかのう?」
そう聞かれ私は、自分の体のみえる範囲を見回した。
「どうだろう? みえる範囲にはないよ」
「そうなると、分からない場所に証がある可能性も考えられる」
「そうなのかぁ。でもそうだとしたら、なんの証だろう?」
私は思考を巡らせる。そうだとしたら……どこかに証があり、何か使命があるんだろうと思った。
「証の確認か。メーメル、ルイの体を調べてくれないか?」
「分かったのじゃ。ルイ、向こうの部屋に行こうかのう」
そう言うとメーメルは、隣の部屋に向かう。私は、そのあとを追った。
――場所は移り、バールドア城のティハイドの部屋――
ティハイドはソファーに座り考えている。
(まだ式は始まらぬのか? おかしい、どうなっている)
そう思っていると左手の腕輪の魔石が光、魔法陣が展開された。
それに気づきティハイドは、右手で魔石に触れる。
「何かあったのか?」
“ティハイド、確認のための連絡だ”
「シュウゼルか、計画の通り決行する。ただ、気になることができた。式典が一向に始まらない」
そう言い目を細め一点をみた。
“私の方からそっちの様子は分からない。どうする? 本当にいいのか”
「問題ない。それよりも、タルキニアの町の方はどうなった?」
ティハイドは窓の方に視線を向ける。
“まだ分からん。連絡が来ていないからな”
「そうか、まぁ心配はないだろう。あとはお前に任せた。時刻になったら、迎えをよこせ」
“ああ、分かっている”
そう言うとシュウゼルは通信を切った。
それを確認するとティハイドは考え始める。
(何か変だ。フウルリスクの連絡もまだこない。ちゃんと調べているのか?)
ティハイドはそう思いながら険しい表情をした。
「まあいい。もし式典が中止になったとしても、計画は遂行されるのだからな」
そう言いティハイドは「ワハハハハ――」と笑う。
――そして刻々と、その時が近づいていたのだった。
そう言いグレイはコルザを見据えた。
「なるほど、思った通りか。国で聖女召喚を行うと言っていたが……。もしや聖女さまなのか?」
そう言われ私は首を横に振る。
「いいえ、聖女は清美の方です。私は、その召喚に巻き込まれてこの世界に来ました」
「巻き込まれて……そんなことがあり得るのか?」
「分からない。だが、実際に起きた」
グレイは私の方に視線を向けた。
「私もなんで巻き込まれて、この世界に来たのか分かりません」
「巻き込まれたとしても、召喚されたことは事実。本当に、ただ巻き込まれただけなのでしょうか」
「ムドルもそう思うか? 俺もそう思っている。いや、召喚した神官カイルディ様も同じ意見だ」
私はそれを聞き驚いた。
もしそうだとしたら、何のためにこの世界に召喚されたの? それに……そもそも、聖女だけを召喚する儀式のはず。それなのに、どうして……。
そう思考を巡らせる。
「本当に巻き込まれたのかのう。誰かが意図的に仕組んだように思えるのじゃ」
「誰かが……って、どういう事?」
私はなんでメーメルがそう言ったのか理解できなかった。
「だがそうだとしても、そんなことできるのか?」
「神であれば、可能かもしれませんね」
「神がルイを召喚したっていうのか? それも聖女の召喚に紛れて……」
グレイはつらそうな表情で私をみる。
「うむ、今の話を聞く限りだと……ないとも言えんだろう。そんな芸当ができるのは、恐らく神ぐらいだ」
「コルザ様……そうかもしれない。だが、なんのために?」
「それは分からぬ。そういえばルイ、なんらかの証は現れていないのかのう?」
そう聞かれ私は、自分の体のみえる範囲を見回した。
「どうだろう? みえる範囲にはないよ」
「そうなると、分からない場所に証がある可能性も考えられる」
「そうなのかぁ。でもそうだとしたら、なんの証だろう?」
私は思考を巡らせる。そうだとしたら……どこかに証があり、何か使命があるんだろうと思った。
「証の確認か。メーメル、ルイの体を調べてくれないか?」
「分かったのじゃ。ルイ、向こうの部屋に行こうかのう」
そう言うとメーメルは、隣の部屋に向かう。私は、そのあとを追った。
――場所は移り、バールドア城のティハイドの部屋――
ティハイドはソファーに座り考えている。
(まだ式は始まらぬのか? おかしい、どうなっている)
そう思っていると左手の腕輪の魔石が光、魔法陣が展開された。
それに気づきティハイドは、右手で魔石に触れる。
「何かあったのか?」
“ティハイド、確認のための連絡だ”
「シュウゼルか、計画の通り決行する。ただ、気になることができた。式典が一向に始まらない」
そう言い目を細め一点をみた。
“私の方からそっちの様子は分からない。どうする? 本当にいいのか”
「問題ない。それよりも、タルキニアの町の方はどうなった?」
ティハイドは窓の方に視線を向ける。
“まだ分からん。連絡が来ていないからな”
「そうか、まぁ心配はないだろう。あとはお前に任せた。時刻になったら、迎えをよこせ」
“ああ、分かっている”
そう言うとシュウゼルは通信を切った。
それを確認するとティハイドは考え始める。
(何か変だ。フウルリスクの連絡もまだこない。ちゃんと調べているのか?)
ティハイドはそう思いながら険しい表情をした。
「まあいい。もし式典が中止になったとしても、計画は遂行されるのだからな」
そう言いティハイドは「ワハハハハ――」と笑う。
――そして刻々と、その時が近づいていたのだった。